ある日、義実家から「お父さんのことで大切な話がある」と呼び出しがありました。そのとき、私は少し風邪気味……。けれど熱はなく、咳が少し残っている程度だったので、義実家へ行くつもりでいました。
ところが夫は、やけに私の体調を気にしてきたのです。
「まだ咳してるだろ? 大丈夫なのか?」「無理して行って、親にうつしたら大変だしな……」
たしかに義父は最近体調を崩しがちだと聞いていました。私自身は大したことはないと思っていましたが、万が一義父母にうつしてしまったら申し訳がありません。
「どうする? 行く?」と、夫は私に判断を委ねるような言い方をしますが、そこまで言われたら、行くとは言い難いもの……。義父母のことを思うと無理に行くべきではない気もして「今回は遠慮しておこうかな」と返しました。
義父からの密告
数週間後、夫が急な週末出張で家を空けた日の夜、義父から電話がかかってきました。私が送った誕生日プレゼントのお礼から会話がスタートしたものの、そこで思わぬ事実を知らされます。
義父曰く、義母と夫が結託し、私を悪者に仕立て上げて離婚させようと、とんでもない計画を立てているというのです。
それは、不倫相手と再婚したい夫が自分の有責を隠すため、義母と口裏を合わせて私を非難するというものでした。先日の義実家での重要な話し合いを欠席した私を「大事なときに来なかった薄情な嫁」として責め立て、それを口実に離婚を迫るというあまりにもバカげた内容です。
私を行かせないように仕向けたのは夫なのに、裏でそんなシナリオを描いていたとは……。
協力を求められたという義父の密告に衝撃を受けた私は、すぐに興信所へ調査を依頼しました。まずは不倫の真偽をたしかめなければと思ったのです。
結果は義父の言う通り。夫の度重なる出張は嘘で、あの幼馴染の女性と密会を繰り返していました。しかも彼女も既婚者であり、W不倫……。あまりのショックに目の前が真っ暗になりましたが、私は決して泣き寝入りはしないと心に決めたのです。
理不尽な非難と反撃
証拠が揃った数日後、私のスマホに義母からメッセージが入りました。そこには「大事な家族の話し合いにも来ないなんて、嫁なのに本当に薄情ね。息子とは離婚させるから」と書かれていたのです。
さらに夫からも「本当に大事な話だったのに、風邪を引くなんて間が悪い」「熱があったわけではないのだから嫁として出向くべきだった」と、追い討ちをかけるようなメッセージが届きました。まさに義父の言っていた通りの理不尽な非難です。
ちょうどそのとき、今後のことを話し合うためにわが家に来ていた義父本人が、私の目の前に座っていました。私は義父に届いたメッセージを見せ、義母に電話をかけてもらいました。
義母は、義父が私にバラしたとは思ってもみなかったのでしょう。ひどくうろたえる様子が電話越しでも伝わってきます。私はすぐに翌日に向けての準備を整えました。
私を騙したワケ
翌日の朝、私と夫は話し合いの場を持ちました。作戦がバレた夫はひどくバツが悪そうな様子……。私がテーブルの上に離婚届と慰謝料の条件を記した書面を突きつけると、夫は顔面蒼白になりました。
さらに、私は興信所の調査報告書も夫に見せ、幼馴染の女性と不倫関係にあったこと、そして義母と結託して私を「薄情な嫁」に仕立て上げ、離婚しようとしていたことのすべてを知っていると改めて伝えました。
夫は「君を傷つけない形で離婚したかった」「母さんが手伝うと言ったから作戦にのった」などと聞き苦しい言い訳を並べましたが、自分の不倫を隠して私を悪者にしようとした卑劣なおこないは決して許されるものではありません。
不倫相手が選んだのは……?
その後、夫は開き直ったのか、「慰謝料は払うから文句はないだろう。これからは彼女と一緒になるんだ」と言い放ちました。ですが、その強気な態度はすぐに崩れ去ることになります。
「彼女はあなたと結婚するつもりはないみたいよ」私がそう告げると、夫は鼻で笑いました。
しかし、私はすでに幼馴染の夫にも不倫の事実を伝えていたのです。幼馴染は夫に泣きついて離婚を拒否し、不倫関係を断ち切るために連絡先も消去したと聞いていました。
「今すぐ、彼女に連絡してみてよ」
私の言葉に急いでスマホを取り出した夫は、つながらない電話・既読のつかないLINEに絶望の表情を浮かべました。
再婚の当てが外れた夫は、途端に態度を変え「俺が悪かった。もう一度やり直してほしい」と私にすがりついてきました。自分勝手にも程があります。
「いい加減にして。どうぞ、あなたの思う通りに好きに生きてください」私は夫を冷たく突き放したのでした。
裏切りのその後……
協議の末、慰謝料の支払いについても合意し、無事に離婚が成立しました。義母と夫の常軌を逸した計画に愛想を尽かした義父も、義母と離婚したそうです。
行き場を失った義母は私と離婚した元夫の家に転がり込み、今では親子で責任を押し付け合いながら険悪な共同生活を送っていると義父から聞きました。不倫相手だった女性は離婚こそ免れたものの、夫からは完全に冷遇され、家庭内で居場所のない日々を過ごしているそうです。
私はすぐに引っ越しをし、今は穏やかで落ち着いた生活を取り戻しています。どん底にいた私を助けてくれた義父とは、今でもたまに連絡を取り合う仲です。過去の傷を癒すためにも、これからは自分のために楽しい思い出をたくさん作っていきたいと思っています。
◇ ◇ ◇
一番の味方であるはずの夫に騙されていたショックは計り知れません。それに、わが子の不倫を正すどころか、一緒になって嫁を追い出そうと計画した義母も、許されることではないでしょう。息子の不倫を隠蔽するなど、親としてあるまじき行為です。
嘘を正当化し、相手を悪者に仕立て上げようとする身勝手な振る舞いは、到底許されるものではありません。夫婦である以上、何か不満や問題があるのなら、逃げずに結婚相手としっかりと向き合うべきではないでしょうか。
一生のパートナーとして選んだ相手とは、どんな時でも誠実に向き合っていきたいものですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。