楽しみにしていたサービスコーナーがまさかの空っぽ
父の還暦旅行は、娘にとっても特別な思い出になるはずでした。宴会を終え、旅館のロビーで「ケーキ・ジュースサービス」と「ワインの試飲」の案内を見つけると、娘は「デザートがあるの? やったー!」と目を輝かせます。
私も「今日はお祝いだからね」と笑顔で返し、ワインが大好きな父も「試飲が楽しみだな」とうれしそうにしていました。ところが、いざサービスコーナーへ向かうと、そこには空のお皿だけが置かれ、何も残されていなかったのです。
その場にいた女性スタッフさんに尋ねると「他のお客様がすべて持っていかれてしまい、今日の分は終了しました。申し訳ございません……」とのこと。周囲を見渡すと、ケーキとジュースを大量に抱えた家族の姿がありました。父母と小中学生くらいの男の子2人の4人家族でした。
思いがけない光景に娘はがっかりしてうつむき、父や母も落胆してしまいました。
順番を無視して割り込み、スタッフに怒鳴り散らす家族
気を取り直して、お一人様2杯までと決められたワインの試飲コーナーへ向かいましたが、なんとそこも空っぽでした。「すぐに補充します!」とスタッフさんに言われ、順番に並んで待っていると、先ほどケーキを独占していた家族が現れ、私たちを押しのけて割り込んできたのです。
思わず「順番ですよ」と声をかけると、父親らしき男性から返ってきたのは、「うるせーな! 俺も客だ!」という怒声でした。さらに、ルールを無視して、補充されたワインを何杯もコップに注ぎ始めます。
スタッフさんが「お客様、試飲は2杯までです」と説明しても反省する様子はなく、険悪なムードが漂います。しまいには、「俺たちは客なんだぞ! いいだろう、このくらい!」とスタッフさんに怒鳴り散らす始末でした。
その後、上司らしきスタッフさんが出てきて対応していましたが、娘が私の袖をぎゅっと握り、「もう帰ろう……」と泣き出してしまったため、私たちはワインも味わえないまま、その場を去ることに。父も母もあまりの衝撃に言葉を失っていました。
せっかくの還暦祝いが苦い思い出になってしまいましたが、翌日は気持ちを切り替えて、家族みんなで観光を満喫しました。旅先では、たった1人の身勝手な行動が、誰かの大切な思い出を簡単に塗り替えてしまいます。あの家族の振る舞いを反面教師として、自分自身も周囲への配慮を忘れないよう、常識ある行動を心がけたいと強く思いました。
著者:御法川 元子/40代女性。2015年生まれの女の子の母。子どもが生後4カ月のころから企業の広報担当として働いているワーキングマザー。パニック障害を患いながらも明るい性格で元気に毎日過ごしている。波瀾万丈な人生だが、明るく楽しくをモットーに! 趣味は音楽鑑賞・カラオケ。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
※AI生成画像を使用しています