違和感の始まり
当時、僕たちは結婚してまだ半年ほど。新年のあいさつのため義実家へ向かう道中、妻は妙に浮かれていました。「お父さんとお母さんに会うのすごく楽しみ〜♡」と、はしゃいでいたのです。
妻は、義父母と頻繁に連絡を取るタイプではありません。その不自然な高揚感に、僕は引っかかりを覚えました。
義実家の近くまで来たとき、妻の幼なじみのA子さんとバッタリ遭遇。
「あれ、久しぶり! 実家に来るなら連絡してくれたらよかったのに。B山も会いたがってたよ」
すると妻は「あ……久しぶり。こんなところで会うなんて珍しいね」と、落ち着かない様子でした。そんな妻の挙動に不安を感じたまま、僕は義実家の門をくぐりました。
義実家で味わった屈辱
リビングに入ると、義母と義父、そしてなぜかB山が談笑していました。B山も妻の幼なじみで、義両親とも長い付き合いです。
妻は彼が来ることを知っていたようで、「そういえば、借りてた物を持ってきたよ!」と自然に話しかけました。僕はまるで蚊帳の外です。
そんな中、義母はB山に「あなたが義理の息子だったらどんなによかったか。やっぱり大手に勤めている人は安心感が違うわね」と話しかけました。義父も「B山くんは昔から優秀だからな。きみに娘をもらってほしかったよ」と、悪びれもせず言うのです。僕は露骨に比較されていました。
妻は止めるどころか、クスクスと笑っているだけ。B山も「いやいや、僕なんて上司に気に入られるのがうまいだけですよ」と軽く受け流しています。結婚して間もない僕にとってこの扱いはあまりにもつらく、こらえきれずに口を開きました。
「……じゃあ離婚で」
周囲は驚き、「え、なんで?」「ただの冗談でしょ」と流そうとしました。しかし、僕はもう黙っていられず、妻に向かってこう切り出しました。
「やっぱり君は浮気してたんだね」
明かされた妻と幼なじみの関係
僕は「最近、君の行動が不審だったから、探偵に調査してもらったんだ」と打ち明け、持ってきていた資料を出しました。この資料には、妻とB山の関係が示されています。
「な、何の話だよ」「言いがかりはやめて」と、ふたりは言い逃れを始めました。そんなとき、「お邪魔します」と現れたのはA子さん。実は僕は、事前にA子さんに協力をお願いしていたのです。
「B山くんが自分から口を滑らせたんです。結婚前からずっとふたりは密会してたって」
すると妻は観念したのか、「仕方ないでしょ! B山くんは出世しそうだし、昔から気も合うし、贅沢させてくれるしさ〜」と開き直ったのです。さらに義父と義母まで、「まぁ、これも何かの縁かもしれないな」「B山くんのほうがお似合いだもの」と、ふたりをかばったのです。
その瞬間、僕はこの家族とはもう関わるべきではないと確信しました。するとA子さんが、「いい加減にしてください! 結婚したばかりのご主人に対してあまりにも失礼です」ときっぱり言ってくれました。
僕は「今後のことは後日話し合いましょう」と告げ、その場を後にしました。
思わぬ再会と再出発
義実家を出たあと、僕はA子さんに「先ほどはありがとうございました」とお礼を伝えました。すると彼女は「お礼なんて言わないでください。少しでも力になれたならよかったです」と、僕を気づかってくれました。
その後、僕は必要な手続きを進め、慰謝料についても話し合ったうえで妻と離婚しました。気持ちを立て直すため、しばらくは仕事に集中することに。
数カ月後、新たな取引先との商談に出向いた際、思いがけない再会がありました。目の前に現れた営業担当者は、A子さんだったのです。それをきっかけに、僕たちは仕事を通じて顔を合わせるようになりました。
さらに時が過ぎ、B山は職場で信頼を失う問題を起こしたそうです。それをきっかけに元妻との関係も悪化し、結局、ふたりは破局したのだとか。
一方、僕とA子さんは共通の価値観や誠実さに惹かれ合い、交際を始めました。ずっと落ち込んでいた僕は、A子さんと過ごす中で少しずつ前を向けるように。今は、心から信頼できる相手といられることに、幸せを感じています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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