妊娠報告で返ってきたまさかのひと言
当時の私はA男と同棲していました。交際は順調で、お互い結婚も意識していたため、近いうちに入籍しようという話も出ていました。
A男は、真面目で責任感のある人でした。ただひとつ気になっていたのは、とても疑い深い性格だったことです。
ネット通販の商品が予定日に届かないと、「本当に発送されたのかな?」
レストランで店員さんから説明を受けても、「それ本当?」
――そんなふうに、何かあるたびにまず疑う癖がありました。
そんなある日、妊娠が判明したのです。私はうれしくてすぐにA男に報告したのですが……。
「本当に俺の子?」
まるで荷物の配送状況でも確認するかのような軽い口調でした。私は思わず、「え?」と聞き返しましたが、A男は、「いや、なんとなく聞いただけ」と笑います。
その後、私たちは入籍しました。それでもA男は、ときどき冗談めかしながら、「本当に俺の子だよね?」と口にすることがあったのです。私はそのたびにモヤモヤしていましたが、まさか出産後まで続くとは思ってもみませんでした。
出産後も続いたDNA鑑定への執着
妊娠中は体調の変化に戸惑うこともありましたが、おなかの赤ちゃんは順調に育ってくれていました。
そして出産の日を迎え、私は無事に娘を出産したのです。初めて娘を抱いたときの感動は、今でも忘れられません。
ところが出産直後、病室で娘の顔を見ながらA男が言ったのです。
「すぐにDNA鑑定をしよう!」
……私は言葉を失いました。
「なんで今、そんなこと言うの?」と聞いても、「念のため確認したいだけ」の一点張り。何度説明しても聞く耳を持たず、私はしぶしぶDNA鑑定することを受け入れたのです。
本来なら幸せなはずの産後の時間も、私の心は晴れませんでした。
DNA鑑定にこだわった、まさかの理由は!?
数週間後、DNA鑑定の結果が届きました。結果は当然ながら親子関係を示すもの。もちろん私自身、浮気などしていませんし、娘は間違いなくA男の子どもでした。
A男は結果を見るなり、「よかった。これで安心した」とホッとした表情を浮かべました。
結果が出たあと、私は改めてA男に「どうしてそこまでDNA鑑定にこだわったの?」と、聞いてみました。するとA男はスマホを取り出しました。
「最近こういうの多いじゃん」と、A男はスマホを操作しながら、DNA鑑定や“托卵”をテーマにした動画やSNSの投稿を次々と見せてきました。そしてA男は真面目な顔で「父親だと思って育てていたら違った、とか。こういう話、結構あるらしいよ」と言ったのです。
離婚を決意!そして現在は…
DNA鑑定の結果が出れば、もう疑われることはないと思っていました。ですが、A男は変わりませんでした。
私が友人と食事に行くと、「本当に友だちだけ?」
職場の飲み会に参加すると、「男もいたの?」
会社から電話がかかってくると、「仕事の電話だよね?」
……そんなやり取りが何度も続き、次第に私は疲れてしまいました。
A男は相変わらず、友人の話も、お店の説明も、会社の人も疑っていました。その一方で、SNSや動画で見た根拠のない情報は簡単に信じてしまいます。
会ったこともない誰かの言葉は信じるのに、毎日一緒に暮らしている私の言葉は信じてもらえない――。その状況が変わることはありませんでした。
私は、この先もずっと同じことの繰り返しなのだろうと感じました。そして、夫婦として一緒に歩んでいくことは難しいと思うようになったのです。
その後、何度も話し合いを重ねましたが、お互いの考え方の違いは埋まらず、私たちは離婚しました。
離婚後は娘との生活に必死でしたが、周囲に支えられながら少しずつ前を向けるようになりました。そして数年後、ご縁があって現在の夫と出会いました。
今の夫は、私の言葉をそのまま受け止めてくれる人です。
この経験を通して、夫婦にとって何より大切なのは信頼なのだと実感しました。相手を疑う理由を探すのではなく、信じようとする気持ちこそが、良い関係を築く土台なのだと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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