公園での再会
ある休日、僕は母とB美と一緒に、近所の大きな公園へ出かけました。B美は遊具を見るなり走り出し、母は「元気ねえ」と笑いながら見守っています。僕もベンチに座り、穏やかな時間を過ごしていたのですが……。
「久しぶり。こんなところで会うなんてね」
と、背後からふいに声をかけられたのです。戸惑いながら振り返ると、高校時代の同級生・A子さんが立っていました。
A子さんはB美を見て、「お前の子ども?」と尋ねてきました。高校時代のA子さんは派手なグループの中心にいて、口調も強く、周囲からは「ヤンキー」と呼ばれる存在でした。正直、彼女には近寄りがたい印象があったため、僕は思わず身構えてしまいました。
昔とは違う表情に…
「いや、姪なんだ。数年前に姉が亡くなって、今は母と一緒に育てていて……」
僕が説明すると、A子さんは「……そっか」と言葉を詰まらせます。しかしB美を見ると表情をやわらげ、しゃがんで目線を合わせてから「こんにちは、B美ちゃん。すべり台で遊んでたの? じょうずじゃん」と、B美の反応を見ながら自然に声をかけたのです。
A子さんは母に礼儀正しくあいさつしたあと、僕に向かって真剣な表情で「……大変だったな。でもさ、B美ちゃん、ちゃんと大事にされてる顔してるよ」と言ってくれました。その姿は、昔の印象とはまるで異なるものでした。
聞けば、A子さんは公園のすぐ近くに住んでいるそうです。「またこの公園に来るときは連絡して!」と言ってくれ、僕たちは連絡先を交換することに。
それから、僕とB美、A子さんの3人で、たまに公園で会うようになったのです。
小さな異変に気づいて
その後、B美は少しずつA子さんに懐き、「お姉ちゃん、また遊べる?」と聞くようになりました。
ある日、A子さんから「B美ちゃんのこと、めちゃくちゃ大事にしてるんだね」と言われたとき、僕は思わず言葉に詰まりました。B美が寂しい思いをしないよう、これまで母と一緒に必死で向き合ってきたからです。その思いを、A子さんは汲み取ってくれたのです。
そんなある休日、3人で公園で遊んでいたときのことです。B美はいつもより口数が少なく、僕のそばを離れようとしませんでした。
「B美ちゃん、今日あんまり元気なくない? 顔色が少し悪い気がする。無理させないで早めに帰ったほうがいいよ」
A子さんにそう言われ、僕はすぐにB美を連れて帰りました。すると、その日の夜にB美が発熱。翌朝、病院を受診したところ、幸い大事には至らず、ほどなく体調も落ち着きました。
A子さんはB美のちょっとした異変を、敏感に感じ取ってくれたのです。
変わり始めた関係
それからしばらく経ったころ、公園で遊んだ帰り道、B美がA子さんの手をぎゅっと握りました。
「A子お姉ちゃん、ずっと一緒にいてくれたらいいな」
僕は少し慌てました。しかしA子さんは困った顔をせず、ほほえみながら「私もB美ちゃんといる時間が好きだよ。だからまた遊ぼうね」と言ってくれたのです。そして少し照れたように、僕のほうを見て「……あんたといる時間も、嫌いじゃないし」とぽつりと言いました。
その言葉で、僕はようやくA子さんへの気持ちに気づきました。いつからか、A子さんのやさしさに少しずつ惹かれていたのです。
今後は、B美の気持ちを大切にしながら、A子さんとの関係も少しずつ深めていけたらと思っています。人は、昔の印象だけではわからないものです。A子さんとの再会は、僕たち家族にとって大切な出会いになりました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!