頻繁に人を家に呼ぶ義母が迷惑
仕事から帰宅して玄関のドアを開けると、リビングからはにぎやかな笑い声。義母が友人を家に招いているようです。
2日に1度は繰り返されるこの光景。テーブルの上には、私が週末に家族のために買い置きしておいた飲み物やお菓子がずらりと広げられています。楽しみにしていたご褒美のスイーツも、あっという間になくなっていました。
散らかしたままなので、夜な夜な私が片付けをするしかありません。さらに、リビングを占領されているため、私たち夫婦の夕食は狭いキッチンの隅。2人で並んで立ち、手早く夕食を済ませる日々にやるせない気持ちが募ります。
義母が友人と楽しい時間を過ごすのは良いことですが、家族の生活ペースにしわ寄せがきてしまうのは考えものです。どうしたら遊びに来る頻度が減らせるのか、いつも頭を悩ませていました。
夫が強く言えない理由は…
見かねた夫が「友人を家に呼ぶのを少し控えてほしい」と直談判してくれました。ところが、義母から返ってくるのは決まって「女手一つで育ててきたのに……」という言葉です。このセリフを言われると、夫もそれ以上は強く言えなくなってしまいます。
とはいえ、生活のペースが乱されて困っているのは事実。せめて集まる頻度を減らしてほしいと、私も同席して改めてお願いしたところ、義母は「そんなに家に来てほしくないのなら、外食代くれない? パート代じゃ足りないんだよ~」と耳を疑うようなことを言い出しました。
現実問題として、これから子育てやマイホーム購入を見据えている私たちには、義母へあげるようなお金の余裕はありません。「そのうち宝くじにでも当たったら、お小遣いあげるよ」と夫が軽く受け流し、その場を収めました。
夫婦の会話を盗み聞きしていた義母
ある日の夕方。夫からの電話を受けた私は、思わず声を弾ませました。
「えっ、本当に? 1等当選!? 最高!」
隣の部屋に義母がいることを思い出し、慌てて声のトーンを落とします。「ずっと続けてきたかいがあったね! あ、でも、お義母さんには内緒ね! 当たったのバレたら取られちゃうよ」
しかし、その声は壁の向こうにいた義母にも、しっかり届いていたようです。あとで聞いた話では、義母は「1等当選って……まさか宝くじ!? 私に内緒で豪遊するつもり? そうはさせない!」と勝手に思い込んだのだとか。すぐさま、いつも家に来ているあの友人に電話をかけたところ、「億万長者なんてすごい! 黙って指をくわえて見てる場合じゃないよ!」とそそのかされ、すっかり舞い上がってしまったそうです。
こうして2人が企てたのは、「先にクレジットカードで買い物を済ませ、あとから私たちに支払いを押し付けて賞金を分けさせる」という、なんとも大胆な計画でした。そして義母は、友人に言われるがまま、手持ちのクレジットカードをリボ払い設定にし、限度額の上限ギリギリまで最新のスマホやブランドバッグを買いあさったのでした。
義母の手元に残ったのは…!?
翌月、いよいよカードの引き落とし日が迫ってきたころ。義母と友人がそろってリビングに陣取り、私と夫を呼び止めました。「あなたたちが1等を当てたこと、もう知ってるんだから! 独り占めするなんて許さないよ。親戚中に知られたくなかったら、私たちにもしっかり分けなさい!」
結託した2人は、自分たちの買い物代を丸ごと私たちに払わせようと、自信たっぷりに迫ってきます。私はにっこりとほほ笑み返しました。「バレてしまったなら仕方ありませんね……。それじゃ、お2人にもお分けします」そう告げて私は冷蔵庫を開けました。「そんなところに隠して! ずるいわね〜」嫌みを言う義母と友人の前に置かれたのは、なめらかでおいしそうな極上のプリン。
「えっ……?」
「先日、私たち夫婦が当てた大人気スイーツ懸賞の1等『極上プリン1年分』ですけど……どうかしましたか?」
きょとんとして首をかしげる私に、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で固まる2人。ここでようやく話が見えました。どうやら義母たちは「1等」という言葉だけで、宝くじで億単位のお金が手に入ると壮大な勘違いをしていたようです。残されたのは、現実的すぎるカードの請求書だけ。甘くて冷たいプリンを口に運びながらも、真っ青な顔でぼう然とする2人だったのでした。
結局、義母は買った品を泣く泣く手放し、なけなしの貯金まで切り崩して支払う羽目になったそうです。この一件以来、義母と友人はすっかり気まずくなり、以前のようにわが家で頻繁に盛り上がることもなくなったのでした。
◇ ◇ ◇
人のお金を当てにして行動すると、思わぬトラブルを招くことがあります。今回の義母は、たったひと言を早とちりした結果、手元に残ったのは高額な請求だけでした。お金が絡む話ほど、思い込みで動かず、冷静に確認することが大切ですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。