親友と元婚約者の裏切り
立ち上げたデザイン事務所の仕事に追われていた僕を見て、Bは「財務関係だけでも、私が引き受けるよ!」と言ってくれて……。僕は、「ありがたい」という気持ちで、経理のすべてを任せていました。
ところがある日、忘れ物を取りに事務所に戻ると、信じられない光景を目にしました。なんと、AとBが親密にしている現場を目撃してしまったのです。「なんで!?」と必死に問い詰める僕に対し、Bは「真面目すぎてつまらなかった」と言っていて……。
Aは手っ取り早く利益を出したかったらしく、僕の堅実なやり方に不満を抱えていたようです。そんな2人は意気投合したよう。Bは、僕と婚約しながら、Aに「私たち、早く結婚したいね~」と言っていたそう。
結局、2人は僕の知らないところで準備を進め、僕を出し抜く形で新会社を設立。割の良いプロジェクトや主要な顧客、さらには社員の多くをそちらへ引き抜いて独立してしまったのです。経理を彼女に完全に任せきりだったことも災いし、気がついたときには資金は底をついて……。僕の手元には事務所の多額の負債だけが残されていました。本来なら訴えるべき事案でしたが、あまりのショックと裏切りに、当時の僕には彼らを追及する気力すら残されていませんでした。
僕を救い出してくれたのは…
会社も信用も失い、ひとりぼっちで自己破産すら考えていた僕を救ってくれたのは、独立当初から取引があった出版社の方でした。
彼は僕の丁寧な仕事ぶりを評価してくれており、「君の腕があればひとりでもやり直せるはずだ」と、再びデザインの仕事を依頼してくれたのです。
その仕事を通じて、同じ職場でアシスタントをしている彼の娘さんと交流を持つように。当時、僕にとって彼女は頼れる仕事仲間でしたが、こちらの事情を察して真っすぐにサポートしてくれる彼女に支えられるうち、いつしか僕は彼女をかけがえのないパートナーとして意識し始めていたのです。
僕の抱える負債や心の傷をすべて受け入れ、寄り添ってくれた彼女と結婚。3年後、地道な営業が実を結んで事務所は再び軌道に乗り、妻の妊娠という新しい家族の誕生を待ちわびる幸せな毎日を送っていました。
幸せの絶頂なのに…「因縁」と再会
順調に会社が成長し、家庭でも幸せを感じていたある日のこと。突然、事務所にアポなしの訪問者が訪れました。
なんとそれは、すっかりやつれた姿のAとBで……。聞けば、彼らの会社は経営難に陥って苦しい状況であるとのこと。Aは「また一緒にやろう」と言い、Bは「あのときは魔が差したの。やっぱりあなたのことが好きだから…結婚してあげる」と自分の非を棚に上げた信じられないほど都合の良い言葉を並べてすり寄ってきたのです。彼らのあまりにも厚かましい態度に、僕は怒りを通り越して呆れ果てました。
僕と2人が話をしているところに「どうしたの?」と大きなおなかを抱えた妻が現れました。事情を知っていた妻ですが、あまりにも騒いでいた僕たちが気になり様子を見に来たよう。そこで、僕は妻を2人に紹介しつつ、「僕には守るべき大切な家族もいるし、この会社も守りたいと思っている」と彼らを拒絶。2人は、僕の事業の再建と幸せな家庭を目の当たりにして青ざめていました。
それでも去らない2人に、僕は「これ以上付きまとうなら、警備員を呼ぶよ。2度と僕たちの前に現れないで」と一喝して退去させました。
不誠実な経営を続けた2人の末路
その後、噂でAとBが経営していた会社は倒産したと聞きました。目先の利益を優先した手抜き仕事や、成果に見合わない不当な高額請求が原因で顧客が離れ、社内の人間関係も崩壊してしまったよう。もともと僕の会社にいた社員のうち数名は、「やっぱりあなた(僕)のところで働きたい」と声をかけてくれました。
AとBは、かつて僕を裏切ったときと同じように、自分たちの利己的な欲望ばかりを優先し続けたのだと思います。その結果、誰からも信頼されず、すべてを失うことになったのでしょう。
その後、無事に娘が生まれ、僕は愛する妻と娘に囲まれて幸せな毎日を過ごしています。あの時の絶望を乗り越えられたのは、自分を信じて仕事を与えてくれる人たちを大切にしようと心に決めたから。これからも、支えてくれる周囲への感謝を忘れず、家族を全力で守り抜いて行こうと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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