孫のためと思って建て替えた100万円
娘は離婚後、生活費や教育費のことで困るたびに、私へ連絡してくるようになりました。A子が高3になったある日も、娘から電話がありました。
「お母さん、お願い。あの子の大学進学に向けた費用、少し助けてもらえないかな」
聞けば、A子は国公立大学を第一志望にしているそう。奨学金を利用するにしても、実際の振り込みは進学後になることが多く、予備校代や参考書代、受験料、合格後すぐに必要になる入学金など、先に用意しなければならない費用もあります。
A子の父親から養育費はもらっているものの、日々の生活費や学用品代に充てるだけで精いっぱいで、受験料や入学金のようなまとまった費用までは用意できそうにないのだと娘は説明しました。
A子が頑張っているなら、できる範囲で支えたい。そう思った私は、娘にこう伝えました。
「A子の進学に必要なお金なら、今回は私が100万円を立て替えるよ。定期預金を解約すれば工面できるはず。ただし、あなた自身も働き方を見直して、返せる分は少しずつ返してね」
すると娘は、ほっとしたような声で「ありがとう。でも、このことはA子には黙っていてほしいの。おばあちゃんに立て替えてもらったお金だと知ったら、A子が気をつかって進学を迷うかもしれないし、私が母親として何もできていないみたいで……」と言いました。
少し引っかかる気持ちはありました。けれど、A子に余計な心配をかけたくないという思いもあり、私はA子には何も言わず、娘の口座に100万円を振り込んだのです。
孫から届いた突然の相談
それから数カ月、A子とはほとんど連絡を取れませんでした。娘からは「受験勉強で忙しいみたい」「今は集中させてあげて」と聞いていたため、私も邪魔をしないようにしていたのです。
ところがある日、A子から突然「おばあちゃん、相談してもいい?」というメッセージが届きました。
すぐに「どうしたの? いいわよ」と返事をすると、しばらく間が空いた後、ポツンとこんな言葉が送られてきました。
「ママからお金を受け取るの、やめてもらえないかな」
「私、このままじゃ大学に行けないかもしれないの」
私は意味がわかりませんでした。「どういうこと?」と聞くと、A子は信じられない話を始めました。
「ママが、おばあちゃんに毎月お金を送っているから、私の進学費用を出すのが難しいかもしれないって言うの。受験料も入学金も、今のままだと用意できないかもしれないって……」
私は思わず声を失いました。私はお金を受け取っているどころか、A子の進学費用として100万円という大金を娘に振り込んでいたのです。話がまったく逆になっていました。
食い違っていたお金の説明
私はすぐにA子へ電話をかけ、自分は1円も受け取っていないこと、むしろ100万円を渡してあることを伝えました。電話の向こうでA子はしばらく黙った後、震える声で「じゃあ、そのお金はどこにいっちゃったの……?」と泣き出しました。
その後すぐに、私は娘の家へ向かい、A子から聞いた話と振り込みの事実を伝えて、事情を確認しました。最初は言い訳をしていた娘でしたが、最後は泣き崩れ、私が立て替えた100万円を、A子の進学費用ではなく別の支払いに使っていたことを認めたのです。
原因は、娘が抱えていた買い物の問題でした。離婚後の孤独から、ブランド服や化粧品を衝動的に買ってしまうことが続いていたそうです。家計は以前から苦しく、クレジットカードのリボ払いの返済にも追われていたとのこと。私がA子の進学費用として渡したお金も、その支払いに回してしまっていたと打ち明けました。
娘は泣きながら謝りました。けれど、どれほど追い詰められていたとしても、A子の進学に関わるお金を別の用途に使ったことは、簡単に受け入れられるものではありませんでした。さらに、お金が足りない理由を「おばあちゃんに渡しているから」とA子に説明していたことにも、強いショックを受けました。
孫の将来を守るために
しかし、怒ってばかりはいられません。私はA子に向き直り、改めて事情を説明しました。
「あなたは進学を諦めなくていい。必要なお金は、おばあちゃんが直接用意するからね」
その後、当面の受験料や入学金などは、娘の口座を通さず、A子と一緒に支払先や期限を確認しながら、私が直接振り込む形に切り替えました。
A子は少しずつ落ち着きを取り戻し、最後まで受験勉強を続けました。その後、無事に志望校へ合格。合格の知らせを聞いたとき、私は心からほっとしました。
今回のことで、家族だからこそ見えにくくなることがあるのだと痛感しました。私は娘を信じたい気持ちから、渡したお金の使い道を細かく確認していませんでした。お金の問題は、親子であっても曖昧にしてはいけないのだと感じました。
これからは、A子が安心して学べるように支えながら、娘にも自分の買い物の問題や家計の状況と向き合ってもらいたいと思っています。必要であれば専門家の力も借りながら、少しずつ立て直していってほしいです。
家族だからこそ信じたい気持ちはあります。けれど、大切な人の将来に関わることまで曖昧にしてしまうと、取り返しのつかない不安を生んでしまうのだと感じた出来事でした。
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孫の進学費用として渡していたはずのお金が、別の用途で扱われていたと知った主人公。驚きや悔しさは大きかったはずですが、感情的になるだけでなく、お孫さんの不安を受け止め、進学を守るために動いた姿が印象的でした。家族間のお金だからこそ曖昧になりやすい一方で、大切な人の将来に関わることは、きちんと確認する必要があるのだと感じるエピソードです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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