義母に伝えた3人目の妊娠
その日、私は義母の家を訪ねていました。夫は約2カ月間の長期出張中で、「時々、母さんのところへ顔を出してやってほしい」と言われていたのです。
子どもたちが昼寝をしている間、私は義母と居間で向かい合って座っていました。その流れで、私は以前から報告しようと思っていたことを口にしました。
「実は、3人目を妊娠したんです」
上には女の子が2人います。夫の仕事が忙しく、3人目の育児をほぼひとりで担うことを考えると不安もありましたが、こうして時々義母の家へ行ったときに、義母が子どもたちと一緒に遊んでくれるなら心強いと思っていました。
私は義母に、「生まれたら、かわいがってくださいね」と伝えました。ところが、義母の反応は思いがけないものでした。
「それは性別次第ね。まさか、また女の子じゃないでしょうね」
一瞬、何を言われたのかわかりませんでした。私は戸惑いながら、「女の子の予定です」と答えました。
すると義母は、はっきり不満そうな顔をして「あなた、いつになったら男の子を産むのよ」と言いました。私は胸が詰まりました。「性別は選べるものではないですし……」と返しましたが、義母は聞く耳を持ちません。
上の娘たちが生まれたころから、義母は時々「次は男の子だといいわね」「男の子が1人いると安心なのに」と口にすることがありました。
ただ、夫の前ではあまりそういう話をしませんでしたし、私も波風を立てるのが怖くて、「昔ながらの考え方なのかもしれない」と自分に言い聞かせていました。夫は出張も多く、仕事で忙しそうだったため、わざわざ心配をかけたくないという気持ちもありました。
けれど、3人目も女の子だとわかったときの義母の反応は、これまでの嫌みとは比べものにならないほど傷つくものでした。
妊娠中の私に向けられた無理な頼み事
その後、義母は何事もなかったかのように「せっかく来たんだから、あの荷物を奥の部屋まで運んでくれない?」と言いました。見ると、廊下には重そうな段ボールがいくつか置かれていました。
しかし、妊娠中で体調に波があった私は、重い荷物を持つことに不安がありました。「すみません。今は妊娠中なので、重い物を持つのは避けたいです」と断ると、義母は不満そうにため息をつきました。
「昔は妊娠中でも家のことくらい普通にしていたわよ」
「女の子ばかりなら、せめてそのくらい役に立ってくれないと」
その言葉を聞いた瞬間、私はこれ以上ここにいるのがつらくなりました。義母が本気で私を傷つけようとしているとまでは思いたくありませんでした。けれど、私の体のことも、おなかの子のことも、軽く扱われているように感じたのです。
私は「今日は帰ります」とだけ伝え、昼寝から起きてきた子ども2人を連れて早めに義母の家を出ました。
夫から届いた義母の転倒の知らせ
その日の夜、出張先の夫から電話がありました。「母さんが家の中で転んで、病院に運ばれたらしい」と話す夫の声は少し焦っていました。聞けば、義母が自分で近所の方に電話で助けを求め、その方が救急車を呼んでくれたとのことでした。
「近所の人から聞いた限り、意識はあって、命に関わる状態ではなさそうなんだけど、母さんも不安だと思う。俺もできるだけ早く戻るから、それまでに病院へ顔を出せそうなら行ってくれないか」
私は一瞬、言葉に詰まりました。義母の容体が深刻ではなさそうだと聞いて、安心する気持ちはありました。けれど、昼間に義母から言われた言葉が、どうしても頭から離れなかったのです。
「ごめん。今の状態で、私がお義母さんに会いに行くのは難しい」と伝えると、夫は驚いたように黙りました。「どうして? 母さんが心配じゃないのか?」という責めるような口調に、私は胸が苦しくなりました。
それでも、これ以上曖昧にしてはいけないと思い、昼間に義母から言われたことや、重い荷物を運ぶよう頼まれたことを夫に話しました。
「必要な連絡や手続きには協力する。でも、今の私には、お義母さんと直接向き合うのはつらい。自分の体と子どもたちを守ることを優先したいの」
と言うと、電話の向こうで夫はしばらく黙っていました。やがて、怒りに震えるような声で「……そんなことを言われたのか。知らなかった。ごめん」と言いました。
そして翌朝、夫は出張先での予定を調整し、家に戻ってくることになりました。
義母に向き合った夫
翌日、昼ごろに夫は帰宅してきました。幸い、義母は命に関わるような状態ではなく、すぐに退院できるとのことでした。帰宅してすぐ、「後でゆっくり話そう」とだけ言い残し、夫は義母の退院手続きのため、ひとりで病院へ向かいました。
その後、夫は私に対する言動について義母に確認したそうです。義母は最初、「そんな大げさな話じゃない」と言っていたそうです。しかし夫が、「妊娠中の妻に、男の子を産めと言ったのか」と問いただすと、義母は黙り込んだと言います。
夫は義母にはっきりこう伝えてくれたのだそうです。
「俺は男の子にこだわっていない。上の娘たちも、これから生まれてくる子も、全員大切な家族だ」
「性別で子どもの価値を決めるようなことを、二度と言わないでほしい」
さらに夫は、しばらく私と子どもたちを義母に会わせないと決めました。けがをしたばかりで安静が必要な義母の世話は、夫自身が仕事を調整し、遠方に住む夫の姉にも数日間来てもらって対応する予定だと伝えたそうです。
義母は「大げさだ」「そんなつもりじゃなかった」と言ったそうですが、夫は「言った側にそのつもりがなくても、言われた側が傷ついたことは変わらない」と返したと聞きました。その言葉を聞いたとき、私はようやく少し肩の力が抜けました。
その後、義母から私に連絡がありました。「悪かったわ。私も昔からそう言われてきたから、つい同じように言ってしまったの」と謝られました。けれど、私はすぐに以前のような関係に戻ることはできませんでした。
妊娠中の不安な時期に、性別を理由に責められたことは、簡単に忘れられるものではありません。今は無理をして距離を縮めるより、安心して過ごせる環境を整えることを優先したいと思っています。
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妊娠中は、体調面だけでなく気持ちの面でも不安が大きくなりやすい時期。そんな中で、子どもの性別を理由に責められたり、無理な頼み事をされたりすれば、心が傷ついてしまうのも無理はありません。
家族だからこそ、何でも許されるわけではなく、相手の状況や気持ちを思いやる姿勢が大切なのだと感じるエピソードでした。夫が主人公の言葉を受け止め、義母との間に立ってくれたことで、家族にとって必要な距離を見直すきっかけになったのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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