妻から突然、離婚届を渡されて
結婚してまもないある日、帰宅すると妻から離婚届を差し出されました。「本当はあなたと結婚するつもりじゃなかったの」と冷たく言われたのです。
あまりに突然のことで、僕が「冗談だよね?」と聞き返すと、妻は「本気だよ」と言いました。「少し時間がほしい」と自室へこもったあと、気持ちを落ち着かせた僕は、「離婚したい気持ちが固いなら話し合うしかないと思う。でも、結婚を急いでいたのは君のほうだったよね?」と尋ねました。
すると妻は、「親戚がうるさく言ってきたから結婚したの。一度結婚しておけば、そのあとは離婚してもなんとかごまかせると思って」と告げたのです。
妻の本心を知り、僕はただただショックでした。夫婦としてやり直すのは不可能だと判断し、話し合いをしたうえで、後日、離婚届を提出しました。
ただ、妻が家を出ていく際に放った「会社では今まで通りにしてね。余計なことは言わないで」という言葉は、妙に引っかかりました。急に離婚を迫ったのは、何か別の事情があるのかもしれない。そんな疑念が残ったのです。
元妻からの電話に動揺していると…
離婚から間もなく、僕は海外事業の責任者に選ばれました。成功すれば、昇進や待遇アップも見込める重要な役目です。
その話は、元妻の耳にも入ったようで……。ある日、元妻から「この間はあんな形で別れたけど、もっと話し合うべきだったなって。少し会えない?」と、復縁を匂わせる電話がかかってきたのです。
元妻はもともと、世間体や損得を気にするところがありました。海外事業を任された僕を見て、急に惜しくなったのかもしれません。僕は「もう離婚は成立してるし、やり直すつもりはないよ」と伝えました。
電話を切ると、そばにいたA子さんが心配そうにこちらを見ていました。A子さんには、離婚の経緯を少しだけ話していたのです。「今さら連絡してくるなんて、都合が良すぎますよ!」と、彼女は僕の代わりに怒ってくれました。
その後、海外事業を共に進める中で、A子さんはいつも僕を気にかけ、励ましてくれました。そして彼女のやさしさに触れるうち、A子さんの存在は、僕の中で少しずつ心の支えになっていったのです。
信じていた結婚の裏にあった真実
海外事業は順調に進みました。一方で、元妻について思いがけないうわさを聞くことに。
元妻は、僕と結婚する前から同僚のB田と婚約していたというのです。B田は別の部署にいて、これまで接点はほとんどなく、社内で将来有望と言われている人物でした。真相を確かめるためB田本人に確認すると、2人は婚約しており、今も交際中だとわかったのです。
後日、僕とB田は元妻と話し合う場を設けました。
僕が「B田さんとも結婚の話をしていたの?」と聞くと、B田も「俺と婚約しておきながら、彼と結婚したってことか?」と怒りをこらえながら尋ねました。すると元妻は、「だって、B田くんがなかなか結婚してくれないから……」と言い訳を始めたのです。この瞬間、元妻が僕とB田のあいだで二股をかけていたことが、はっきりしたのです。
元妻との決着、そして新しい日々へ
その後、僕は経緯を弁護士に相談し、元妻に慰謝料を請求することにしました。しばらくして、社内でうわさが広まって居づらくなったのか、元妻は会社を辞めたようです。
元妻と別れて数カ月後、僕は海外事業を成功させ、充実した日々を送っていました。A子さんとは仕事を通じて話す機会が増え、少しずつ大切な存在だと感じるようになりました。
ある夜、職場で残業をしていると、A子さんとふたりきりに。僕は「よければ今度、食事に行きませんか?」と誘ってみました。するとA子さんは少し驚いたあと、「ぜひ! 私も、ゆっくり話したいと思っていました」と笑ってくれたのです。
突然の離婚はつらい経験でしたが、A子さんをはじめ、周囲の人たちに支えられながら少しずつ前を向けるようになりました。いつか傷ついた経験を乗り越えて、新しい幸せをつかめたらいいなと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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