初対面で向けられた心ない言葉
息子から「結婚を考えている人がいる」と聞いたとき、私はとてもうれしく思いました。夫を亡くしてから、息子とは以前ほど頻繁に会えていませんでした。それでも、大切な存在であることには変わりません。どんな方と家庭を築いていくのか、会える日を楽しみにしていました。
そして後日、息子は婚約者のA子さんを連れて、私の家にやって来ました。最初は当たり障りのない会話をしていました。A子さんも息子の前ではにこやかで、私も「感じの良い方なのかもしれない」と思っていました。
ところが、息子が仕事の電話で席を外した途端、A子さんの態度が少し変わりました。
「お義母さんって、中学を出てすぐ働いたんですか?」
突然そう聞かれ、私は少し驚きました。私は若いころ、家庭の事情で進学せず働き始めました。そのことを簡単に話すと、A子さんは少し含みのある言い方をしました。
「そうなんですね。うちの親、学歴とか気にするタイプなんです。親族にそういう人がいるって、ちょっと説明しづらいかも」
胸の奥が冷たくなるようでした。それでも、息子の大切な人だと思い、私はすぐには言い返せませんでした。ところがA子さんは、さらに続けました。
「結婚式の親族席って、どうしても見られるじゃないですか。服装とか話し方とか、ちゃんとしてもらわないと困るんです」
私はそのとき、ようやく違和感を覚えました。A子さんは、最初から私を値踏みするような目で見ていたのかもしれない。そう感じたのです。
ご祝儀という名目の100万円
その後は息子も戻ってきたため、A子さんはまたにこやかな態度に戻りました。しかし数日後、A子さんから私にメッセージが届いたのです。
「結婚式の費用、思ったよりかかるんです。新郎側のお母さんなら、お祝いも兼ねて100万円くらい援助してくれますよね?」
私は目を疑いました。何と返信すべきか迷っていると、続けてA子さんからこう送られてきました。
「ご祝儀としてでも、式費用の援助としてでもいいんです。新郎側の親なら、そのくらい出してくれるものかなと思って」
私は冷静になって、「お祝いは考えていたけれど、こちらから金額を約束するつもりはなかったの」と答えました。するとA子さんは、さらにこう言ってきました。
「難しいなら、無理に出席していただかなくても大丈夫です」
「正直、親族席に座られると、うちの親にいろいろ聞かれそうですし」
その言葉で、私の中の何かがすっと冷めていくのを感じました。悔しい気持ちがなかったわけではありません。けれど、感情的に返せば、息子を余計に苦しめるだけだと思いました。
「そうですか。では、いったん息子とも話しますね」と言って、私はスマホを置きました。
その後、私はしばらく迷いました。息子に言えば、2人の関係に大きな影響が出るかもしれません。けれど、このまま黙っていれば、A子さんの言葉を受け入れたことになってしまう。そう思い、私は息子に事実だけを伝えることにしました。
息子が知った婚約者の本音
私から話を聞いた息子は、最初、信じられないという様子でした。
「A子が母さんにそんなことを言ったの?」
私は、学歴について見下すようなことを言われたこと、親族席に座られると困ると言われたこと、そしてご祝儀や式費用の援助として100万円を求められたことを、できるだけ感情を交えずに伝えました。
息子はすぐにA子さんへ確認したそうです。するとA子さんは、最初こそ「そんなつもりじゃなかった」と言ったものの、やがて本音を口にしたといいます。
「うちの親に恥ずかしいと思われたくなかった」
「それに、新郎側の親なら少しくらい援助してくれてもいいと思った」
さらに話し合う中で、A子さんの実家には金銭的な事情があることがわかったそうです。息子は、話し合いの中で、結婚後は自分の収入や私からの援助にも期待していたのではないかと感じたそうです。
息子は深く落ち込んでいました。それでもすぐに結論を出すのではなく、A子さんと話し合った上で、まず結婚式を延期することにしたそうです。その後も何度か話し合いを重ねたそうですが、価値観の違いは埋まりませんでした。最終的に、息子とA子さんは婚約を解消することになりました。
息子を見守ると決めた日
A子さんからは、後日「失礼なことを言って申し訳ありませんでした」と連絡がありました。けれど、私は彼女と直接会うことはありませんでした。
学歴や暮らしぶりで人を判断されることは、やはり悲しいものです。けれど、それ以上に苦しかったのは、息子の結婚相手になる人が、私との関係だけでなく、息子とのこれからの生活までお金で測っているように見えたことでした。
今は、息子が自分の気持ちを整理しながら、少しずつ前を向こうとしているところです。私も母親として、必要以上に口を出すのではなく、本人が納得できる道を選べるよう、これからも静かに見守っていきたいと思っています。
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結婚は本人同士だけでなく、家族との関わり方や価値観も見えてくるもの。初対面で学歴や暮らしぶりを値踏みするような言葉を向けられた主人公の戸惑いは、とても大きかったのではないでしょうか。
さらに、ご祝儀や式費用の援助を当然のように求められたことで、息子も婚約者との将来を冷静に見つめ直すことになりました。大切な節目だからこそ、相手やその家族を尊重する姿勢があるかどうかが、関係を続ける上で大きな意味を持つのだと感じるエピソードでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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