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「疲れ」「イライラ」「太りやすさ」は腸からのサイン?45歳を過ぎたら始めたい「大人の腸活」【医師コラム】

こんにちは、内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
45歳を過ぎたあたりから「最近、なんだか体が変わってきたな」と感じることはありませんか? 仕事や家庭で忙しい日々を送る中で、ふと「昔に比べて疲れが取れにくくなった」「寝てもすっきりしない」といった、ちょっとした不調を覚える方はとても多いです。その中でも、特に年齢のせいにして見過ごされがちなのが、便通の乱れやおなかの張りといった「腸のサイン」です。

「いつものことだから」「年を取ればこんなものだろう」と諦めてしまうのは、実はとてももったいないことです。近年の医療データや研究では、腸内環境の乱れが、肥満や糖尿病、大腸がんといった具体的な病気のリスク、さらには日々のイライラや気分の落ち込みといったメンタルの状態にまで深く関わっていることがわかってきました。

つまり、今ここで腸のケアを始めるかどうかが、これからの人生を健やかに、自分らしく楽しめるかどうかの大きな分かれ道になります。今回は、未来の健康を守るために、今日から無理なく始められる「大人の腸活」について、詳しく解説していきます。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師橋本 将吉 先生
西新宿セルフライフ内科クリニック院長

株式会社Gift Circle(リーフェグループ)代表取締役。西新宿セルフライフ内科クリニック。内科・総合診療・予防医学を専門とし、患者様の生活習慣に寄り添った診療をおこなう。YouTube「ドクターハッシー/内科医 橋本将吉」では、医学知識を一般向けにわかりやすく発信している。
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腸内細菌が「全身の健康」に影響する仕組み

そもそも「腸内細菌」と聞いて、皆さまはどんなイメージを持たれるでしょうか? 「おなかの中にいる小さな生き物」「テレビのCMでよく見るビフィズス菌や乳酸菌のことかな?」 という方が多いかもしれません。実は、私たちの腸の中には、目に見えないほど小さな細菌たちが、なんと約100兆個も棲みついています。その総量は1〜2kgにも及び、私たちはこれら無数の細菌たちをおなかの中に抱えて日々を過ごしています。 これらの細菌が腸の粘膜にぎっしりと集まって生息している状態を、医学的には「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」または「腸内フローラ」と呼びます。

 

これまでは「ただ便を作るだけの場所」と思われがちだった腸ですが、近年の医学では、この腸内細菌たちが私たちの体全体と緊密なネットワークを築き、全身の健康をコントロールしていることがわかってきました。では次に、その代表的な3つの役割を詳しく解説していきます。

 

ウイルスに負けない体を作る「免疫力」のコントロール

私たちの体には、風邪のウイルスや病原菌などの外敵から身を守る「免疫」という優れたシステムが備わっています。実は、この免疫を司る細胞の約7割が腸に集中しているのをご存知でしょうか?

 

腸内細菌(特に善玉菌)は、この免疫細胞たちに「これが敵だよ」「今は暴れちゃダメだよ」と教える、いわば優秀な「教官」のような役割を果たしています。腸内環境が整うことでこのシステムが正しく働くため、ウイルスに強い体になるだけでなく、花粉症やアトピーといった免疫の暴走(アレルギー反応)を抑えることにもつながります。

 

太りやすさや病気を防ぐ「生活習慣病」との深い関係

おなかの中で「悪玉菌」と呼ばれる菌が増えると、彼らは食べカスを発酵させて体に有害な物質を作り出します。この有害物質が腸の壁からじわじわと血液に溶け込み、全身をめぐることで、体の中で慢性的な炎症を引き起こします。

 

この慢性的な炎症が続くと、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの効き目が悪くなって糖尿病を招いたり、脂肪の燃焼を妨げて肥満の原因になったりします。「最近、食べる量は変わらないのに太りやすくなった……」という方は、もしかしたら腸内環境の乱れが原因かもしれません。

 

イライラや不安を和らげる「脳腸相関」と心の健康

「緊張するとおなかが痛くなる」という経験はどなたにもあると思います。これは脳のストレスが腸に伝わるからですが、実はその逆で「腸の乱れが脳にストレスを与える」という双方向のネットワークがあります。これを医学では「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼びます。

 

私たちが心の穏やかさや幸福感を感じるために必要な「セロトニン(通称:幸せホルモン)」という脳内物質があります。実は、このセロトニンのもとになる物質の約9割は、脳ではなく腸で作られています。 腸内環境が悪化するとこの物質がうまく作れなくなり、脳へストレス信号が送られるため、理由のないイライラや気分の落ち込みを引き起こす原因になります。

 

また、45歳以降は仕事の責任や環境の変化によるストレスが増える一方で、加齢にともなって体内の「善玉菌」が自然と減少し、反対に「悪玉菌」が優勢になりやすくなります。だからこそ、45歳からは「勝手におなかが整う」のを待つのではなく、意識して腸内環境をケアしていくことが、心と体の健康を保ち、将来の病気リスクを減らす最大の秘訣になるのです。

 

 

中高年でも無理なく続けられる“腸活”の基本

「では、具体的にどうやって腸内環境を整えればいいの?」と思われるかもしれません。このように、食事や生活習慣を見直しておなかの環境を整えていく取り組みのことを、最近では「腸活」と呼ぶようになりました。

 

「腸活」と聞くと「毎朝ヨーグルトをたくさん食べる」「ストイックな食事制限をする」といった大変なイメージを持たれがちですが、そこまで身構える必要はありません。45歳からの大人の腸活において、何より大切なのは「育てる」と「補う」というシンプルな2つのアプローチです。

 

菌を「育てる」

まずは、今あなたのおなかの中にいる善玉菌たちを元気に育てることが大切です。善玉菌も生き物ですから、元気に働いてもらうためには「エサ」が必要です。そのエサとなる代表的な栄養素が「水溶性(すいようせい)食物繊維」と「オリゴ糖」です。

 

■水溶性食物繊維(便を柔らかくし、善玉菌の大好物になる)

食物繊維には2種類ありますが、大人の腸活で特に意識したいのが水に溶けるタイプの「水溶性」です。便に水分を与えて柔らかくし、スルッと出やすくする効果があります。さらに、善玉菌がこれを食べると、腸内を理想的な弱酸性に保つ成分(短鎖脂肪酸)を作ってくれるため、悪玉菌の増殖を抑えることにもつながります。

 

【おすすめの食材】

カボチャ、ゴボウ、アボカド、オクラ、海藻類(ワカメ・ヒジキ)、キノコ類

 

■オリゴ糖(善玉菌をダイレクトに増やす)

オリゴ糖は、胃や小腸で吸収されずに大腸までしっかりと届き、ビフィズス菌などの善玉菌に直接栄養を届けます。効率よく善玉菌を増やしたいときの強い味方です。

 

【おすすめの食材】

バナナ、タマネギ、大豆製品(納豆・豆腐)

 

菌を「補う」

次に、外から新しい善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)を直接、体内に取り入れて「補う」方法です。実は、外から摂った菌は腸内にずっと住み着くことはできません。しかし、通過する数日間の間、もともといる善玉菌を元気にし、悪玉菌を抑え込むために働きをしてくれます。数日で便として排出されてしまうからこそ「毎日コツコツ続けて、絶えず新しい善玉菌を送り込んであげること」が何より大切です。

 

■発酵食品の活用

伝統的な発酵食品には、日本人の腸ととても相性が良い乳酸菌や麹菌(こうじきん)、納豆菌などが豊富に含まれています。日々の食事に無理なく取り入れられる、最も身近で優秀な善玉菌の供給源です。

 

【おすすめの食材】

納豆、味噌、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルト

 

■ポイント!

腸活を頑張ろうとして、一度にたくさんの量を食べる必要はありません。一度にたくさん摂っても、身体が吸収しきれなかったり、逆にお腹が張ってしまったりすることがあります。「いつものお味噌汁にワカメとキノコを足してみる」「朝食にバナナとヨーグルトをプラスする」といった、日々の食事への「ちょい足し」で十分です。毎日少しずつ、楽しみながら続けてみてくださいね。

 

 

やり過ぎ注意!腸活で気を付けたい落とし穴

健康意識が高い人ほど、ついつい頑張り過ぎてしまうことがあります。腸のために良かれと思って始めているその習慣、実は逆効果になっているかもしれません。体を労わるために、注意したい3つのポイントをお伝えします。

 

特定の食品ばかりを食べ続ける

「テレビで〇〇が腸に良いと見たから」と、毎日そればかりを大量に食べるのはおすすめできません。腸内環境を整える上で最も重要なのは、菌の「多様性(たくさんの種類がバランスよく存在すること)」です。

 

私たちの腸内には何百種類もの細菌がいて、それぞれ好むエサが異なります。特定の食品ばかりに偏ると、一部の菌だけが異常に増えてしまい、全体のバランス(多様性)が崩れてしまいます。いろいろな食材を少しずつ、バラエティ豊かに摂るのが大切です。

 

おなかの張りを無視して「食物繊維」を摂り過ぎる

便秘を解消しようと、ごぼうや玄米、サツマイモなどの「食物繊維」を一生懸命食べているのに、一向に改善しない、むしろおなかが張って苦しい……という声をよく耳にします。

 

食物繊維には2種類あり、ごぼうや玄米などに含まれるのは「不溶性(水に溶けない)食物繊維」です。 これは便の水分を吸収して膨らむ性質があるため、もともと便秘がちで腸の動きが弱っている人が急に摂り過ぎると、便が体内で硬く通せんぼをしてしまい、かえって便秘が悪化する原因になります。おなかの張りを感じたら一度控えて、まずは水分をしっかり摂りつつ、便を柔らかくしてくれる「水溶性(水に溶ける)食物繊維(ワカメやアボカドなど)」から始めてみましょう。

 

サプリメントへの依存

手軽に乳酸菌やビフィズス菌を補給できるサプリメントは非常に便利ですが、これだけに頼り切ってしまうのは禁物です。

 

サプリメントはあくまで日々の食事をサポートする「補助」の役割です。私たちは食事をして、かんで、消化するという一連の動作そのものが腸の筋肉や神経を心地よく刺激し、おなかの働きを活発にしています。カプセルや錠剤を飲むだけでは、この大切な「自然の刺激」が生まれません。基本はあくまで毎日の食事からおいしく栄養を摂り、どうしても不足する分をサプリで補うという距離感が、長期的な腸の健康を保つ秘訣です。

 

 

まとめ

腸活は、特別なことをするよりも「バランスの良い食事」「適度な運動」「規則正しい生活」を積み重ねていくことが大切だと考えています。診療を続ける中で、私は「腸内環境」が体全体の状態に大きく関わっていることを、日々実感してきました。実際に、便通やおなかの不調だけでなく、疲れやすさ、肌の状態、免疫力など、さまざまな悩みの背景に“腸”が関係しているケースを数多く見てきました。

 

もちろん、薬や治療も大切です。ただ、それだけではなく「毎日の生活の中で、無理なく続けられる健康習慣」がとても重要だと感じています。だからこそ私は、“続けやすさ”を大切にした乳酸菌飲料「乳酸菌V28」を開発しました。何か特別なことを頑張るのではなく、毎日の生活の中で自然と健康を支えられる。そんな存在になれたらうれしく思っています。

 

年齢を理由に諦めるのではなく、小さな工夫から、腸にやさしい習慣を少しずつ増やしていきましょう。毎日の「おいしい」を楽しみながら、ご自身の体に寄り添う習慣を、今日から一緒に始めていけたらうれしいです。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

監修/内科医 橋本将吉 先生(西新宿セルフライフ内科クリニック院長)

 

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シニアカレンダー編集部

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