骨粗鬆症とは、骨の密度が低下して骨折しやすくなる病気です。意外にも出産後に骨の密度が低下しやすくなり、極端な場合には骨粗鬆症がみられることもあります。骨粗鬆症について正しい知識を持っておき、適切な方法で予防しましょう。この記事では、産後の骨粗鬆症の原因や予防法などについて解説します。
骨粗鬆症の原因とは
骨は硬くて体の中で変化していないように思われますが、実は「骨吸収」(骨を溶かす作用)と「骨形成」(骨を造る作用)が常に起こっていて、そのバランスが絶妙に維持されている状態です。骨粗鬆症は「骨を溶かす作用」>「骨を造る作用」となったときに骨量が減少して起こると考えられています。
骨粗鬆症の分類
骨粗鬆症は加齢や閉経などが原因で起こるものが多く、これを「原発性骨粗鬆症」と呼びます。出産後に起こる骨粗鬆症もこれに含まれます。
副甲状腺機能亢進症や甲状腺機能亢進症、クッシング症候群などの病気や、ステロイド、抗てんかん薬などの薬の投与が原因となって起こるものを「続発性骨粗鬆症」と呼びます。
産後の骨粗鬆症とは
一般的に、「骨粗鬆症は高齢者が罹患する病気」というイメージですが骨粗鬆症は高齢者だけではなく、若年者でも発症する可能性があり、産後のお母さんにも起こりうることが最近わかってきました。骨折してしまうと、育児に専念することは難しくなるため、妊娠を考えている女性は特に骨のケアを十分におこなう必要があると言えるでしょう。
妊娠してから発症する「妊娠後骨粗鬆症」に関しては、カルシウム不足が原因のひとつであると指摘されています。妊娠中や授乳中には、母体から胎児へとカルシウムの供給がおこなわれます。このとき、母親の体はカルシウムが不足した状態となっているのです。
最近の調査では、もともと骨密度が低い状態から完全母乳で育児をおこなったことによって、骨代謝状態が変化したという結果が得られました。
「妊娠後骨粗鬆症」の予防法
妊娠後の骨粗鬆症には、母体の骨密度の低下が大きくかかわっています。まず、妊娠を希望する女性は、妊娠前からカルシウムを積極的に摂取することが望まれます。
加えて、妊娠後骨粗鬆症を防ぐという意味合いから、妊娠や出産をする前に骨密度検査を受けることも検討してみましょう。妊娠する前に骨密度検査を受けて、自分の骨の状態を把握しておけば、心身ともに健康な状態で育児に専念することができるようになります。もし、妊娠前に骨密度検査を受けて骨密度の低下がわかると、専門医による治療や助言を受けることも可能になります。
また、一般的に骨密度の低下に有効なのは運動です。適度な運動で骨に刺激を与え続けることで骨量の低下を防ぐことが示唆されています。現代の若い女性も運動不足が指摘されていますが、積極的な筋力トレーニングあるいは日常生活の中での活動量を高めていくことが骨量維持には重要なことと思われます。屋外で運動する習慣のない女性には、骨の形成に必要なビタミンDが体の中で十分に作られないことも考えられます。
まとめ
現代の女性は偏った食事習慣や運動不足から骨量が減少しやすいことが考えられ、産後の骨密度の低下も心配です。そのため、妊娠前から積極的に運動する習慣を生活の中に取り入れたり、バランスのとれた食生活の中でカルシウムやビタミンDの摂取を心がけるなどの取り組みをすることが望まれます。また、妊娠前には骨密度検査を受けて、自分の骨の状態を把握しておきましょう。