「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【管理栄養士に相談】。そのなかから特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、妊娠中の甘酒摂取に関するご相談です。
Q.妊娠初期から甘酒を牛乳や豆乳に混ぜて飲んでいました
現在、妊娠32週になります。妊娠初期から甘酒を牛乳や豆乳に混ぜて飲んでいました。よく見たら「アルコール1%未満」「妊娠中の方はご注意ください」と書いてありました。ずっと気づかず飲んでおり、それを知って今へこんでいます。赤ちゃんに何か影響はないか不安です。
久野多恵管理栄養士からの回答
厚生労働省では、以下のように注意喚起しています。
妊娠期の飲酒の影響
妊娠期にアルコールを常用すると、知能障害、発育障害を伴う胎児性アルコール症候群の子どもが生まれる可能性が高まる。我が国の研究では、1~2万人の出生に1人と考えられている。また、胎児性アルコール症候群は、1日に純アルコール(エタノール換算)60ml 以上の摂取で高頻度の発症が認められている。純アルコール60mlは約50g に相当し、ビールでは中瓶約2.5 本(1250ml)、清酒では約2合(400ml)、ウイスキーではダブル約2.5杯(150ml)、ワインではグラス約4杯(500ml)に相当する。飲酒による異常のうち、奇形は妊娠初期に、発達遅延や中枢神経系の機能不全は妊娠末期の飲酒と関連がある。
上記の記載からすると、長期間にわたってかなりの量を飲酒されている方に対して、胎児性アルコール症候群のお子様が生まれる可能性が高まるとされています。時々少し飲んでいる分にはアルコール量は少ないので胎児性アルコール症候群の可能性としては低いと思います。
今後は表示をよく確認して、少しでもアルコールが含まれる飲料や菓子類なども控えるようにしたほうが安心ですね。米麹から作られた甘酒など、アルコールが含まれていないものもあるので、探してみてください。心配のない量だと思いますが、心配な気持ちが残る場合は医師に相談してみてくださいね。
※参考:ベビーカレンダー「管理栄養士に相談」コーナーより
アルコールを含む甘酒とアルコールを含まない甘酒について
加工食品として販売されている甘酒は、アルコールを含む甘酒とアルコールを含まない甘酒の2種類があり、それぞれ製造過程に違いがあります。
アルコールが含まれる甘酒は酒粕から作られています。
日本酒の製造過程で生産される“もろみ”からできる酒粕に、水と砂糖などを加えて火にかけることで作られます。酒かすから作られる甘酒は、食物繊維が豊富に含まれ、アミノ酸やブドウ糖のほか、ビタミン、有機酸、ミネラルなどの栄養素が微量に含まれています。酒粕はアルコールが6~8%ほど含まれており、甘酒を作る際に沸騰させることでほとんど飛びますが、微量のアルコールが残ります。
一方、アルコールが含まれない甘酒は米麹から作られています。
蒸米と麹菌を合わせて約60度に保ち8時間ほどおくことで作られます。麹菌が作り出した酵素によって米のデンプンがブドウ糖に分解され、甘くなります。栄養素として、発酵の過程でビタミンB群が豊富になり、他にもアミノ酸や糖類、ミネラルなどが豊富に含まれています。
ただ、米麹の甘酒であっても商品によっては発酵の過程で微量にアルコールが含まれる場合や酒粕をわずかにブレンドしたものもありますので、飲める甘酒なのか飲めない甘酒なのかは、商品表示をしっかり確認して、アルコールを含んでいないものを選ぶようにしましょう。
妊婦さんが甘酒を飲む場合の注意点
甘酒を飲む場合はアルコールが含まれていないかどうかを必ず確認する以外にも、飲む量や飲み方についても注意が必要です。
甘酒のカロリーは100mlあたり、81kcal(お茶碗半分くらいの白米)と低めですが、飲む量が増えてしまうとそれなりのカロリーを摂取してしまうことになります。また、甘味飲料なので一気に飲むと血糖値が急激に上がってしまう恐れもあります。体重管理や妊娠糖尿病の予防の観点からも、甘酒の摂りすぎには注意が必要です。甘酒の摂り過ぎを避けるためにも、噛みながらゆっくり飲んだり、甘すぎる場合には水で薄めて半量を飲んだりするなど、飲み方も工夫しましょう
※参考:基礎知識(妊娠中)「妊婦さんは甘酒を飲んでも大丈夫? 妊娠中に甘酒を飲むときの注意点について」【監修者:管理栄養士 井上わかこ】
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