そんなことで!? 父と義父が一歩も譲らず…
関東出身の私の父が、お造りを食べながら何気なくつぶやきました。「やっぱり、醤油はキリッと辛口に限るな」すると、九州出身の義父の表情が一変。「いやいや、刺身の旨味を引き出すなら甘口の醤油でしょう」
父は辛口派、義父は甘口派。どちらも一歩も引きません。「違うだろ!」「いや、こっちのほうが合うんだ!」気づけば、両家顔合わせの席でまさかの醤油論争が始まってしまいました。
さっきまで和やかだった個室の空気は、一気にピリピリしたものに。私は「このままでは顔合わせが気まずい雰囲気で終わってしまう」と焦りました。
気まずい空気を変えた一手! 店員さんを呼んだ私は……
そこで私は、すかさず店員さんを呼びました。「すみません。一番辛い一味唐辛子をいただけますか?」突然の注文に、父も義父もきょとんとしています。私は笑顔で言いました。
「せっかくなので、今日は味の違いを楽しむ会にしませんか?」あまりの急展開に、両家は一瞬静まり返ったあと大爆笑。父も義父も肩の力が抜けたようで、醤油論争はそこで終了しました。その後は、関東と九州で味の好みが違うことや、それぞれの地元の食文化の話で盛り上がり、会食は無事に和やかな雰囲気に戻りました。
その後、私たちの結婚式では、両家のテーブルにそれぞれの地元の醤油を並べる演出を取り入れました。ゲストからも「おもしろいね」と好評で、父と義父もすっかり笑い話に。今では両家が集まるたびに、あの顔合わせの“醤油事件”が語られています。
お互いの実家を行き来するときには、地元の醤油をお土産にするのが定番になりました。最初はどうなることかと思いましたが、価値観の違いを否定し合うのではなく、笑いに変えられたことで、両家の距離がぐっと縮まった気がします。
◇ ◇ ◇
出身地や家庭によって、慣れ親しんだ味や食の好みは違うものです。両家顔合わせのように緊張感のある場では、何気ないひと言から空気が変わってしまうこともありますよね。
意見がぶつかったとき、どちらが正しいかを決めようとするのではなく、違いそのものを楽しむ方向に切り替えられると、関係がやわらぐこともあります。家族になるからこそ、お互いの文化や好みを尊重していきたいですね。
著者:竹原 牧子/30代女性/4歳の女の子を育てる母。育児や家事に奮闘中。息抜きは子どもが寝たあとのチョコレート。
イラスト:きょこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)