ある日の午前中、夫が仕事で使う資料を家に忘れていることに気付いた私。何度電話をかけてもつながらなかったため、昼休みに会社まで届けに行くことに。
資料を届けに行くだけだったのに、まさかあんな光景を目にすることになるとは思ってもみませんでした。
私のお弁当を売っていた夫
会社に着いて夫を探していると、廊下の隅で同僚と話している夫が。声をかけようとしたその瞬間、私は思わず足を止めました。
夫は同僚から500円を受け取ると、「俺はいつもの弁当があるから」と笑いながら言って、私が朝早く作ったお弁当をその同僚へ手渡していたのです。
頭の中が真っ白になりました。
「いつもの弁当って何……?」
私が作ったお弁当ではない、別のお弁当があるということなのだろうと直感的に思いました。不安でいっぱいになりましたが、その場で問い詰めることはおろか、声をかけることすらできませんでした。
弟から聞かされた衝撃の話
とぼとぼと帰ろうとしていた私を、後ろから呼び止める声。振り向くと、そこには弟がいました。
夫と弟の会社は取引関係にあり、弟はちょうどその日、打ち合わせのために夫の会社を訪れていたそう。
「姉ちゃん、どうしたの?」
心配する弟に、事情を話した私。すると、弟は深刻な表情で「実は前から気になっていたことがあるんだよね」と言ったのです。
弟は仕事で夫の会社へ出入りする中で、夫が受付の女性と親しげにしている様子を何度も見かけ、不倫を疑っていたそうです。
「協力して、証拠を押さえよう」と申し出てくれた弟に、私は深くうなずきました。
明らかになった真実
数日後――。
私は夫と弟にまったく同じお弁当を作りました。その日は弟が夫の会社へ行く予定だったため、昼休みに自然なかたちで夫へ話しかけてもらうことにしたのです。
弟は、夫やその同僚たちに「一緒に食べませんか」と声をかけて回ったそう。そしてお昼休みに、夫たちの前で笑顔でこう言ったのです。
「今日は姉が作ってくれたので、義兄さんと同じお弁当なんです」
「……あれ? 義兄さんのお弁当、僕のとおかずが違いますね?」
目をそらした夫と同僚。やはり、私が作ったお弁当は、夫ではなく同僚の手の中にあったそうです。
弟が「でも、めちゃくちゃ豪華でおいしそうですね! 姉のよりクオリティ高くありません? まさか彼女の手作りとか? 義兄さんくらいイケてる男はどうせ彼女もいるんでしょ?」とふざけた調子で鎌をかけ、妻(私)の味方ではなく“男同士の味方”であるかのように振る舞って油断させると、夫は気をよくしたのか得意げな表情に。
「実は受付の○○ちゃんが俺に惚れちゃってさ。毎日弁当作ってきてくれるんだよ」と、夫は口を滑らせたのだとか。
弟が驚いたふりをして「うわ、さすがですね! 俺もあんなかわいい彼女ほしい〜」と、さらに持ち上げて完全にガードを下げさせると、夫は義弟が自分の味方だと信じ切ったのか、受付の女性と不倫関係にあることや、私のお弁当を同僚に500円で売ってそのお金をポケットマネーにしていたことまで、ヘラヘラと自白したそうです。
さらに夫は、「このことは妻には絶対に言わないでくれ」と弟に口止めまでしていたとのこと。弟はそのやり取りをすべて録音しており、後日その音声データを私に渡してくれました。
前を向くための決断
私は録音データなどの証拠をもとに弁護士へ相談し、夫と話し合うことに。夫は「本気じゃなかったんだ」「本当はお前のお弁当を食べたかったけど、彼女が譲ってくれなくて」などと言い訳ざんまい。
どれだけ言い訳を並べられても、謝られても、私の心はもう動きませんでした。結果、夫との離婚は成立。夫と不倫相手の両方に慰謝料を請求しました。
毎朝心を込めて作っていたお弁当が、お金と引き換えに売られ、その裏で不倫相手の手料理を食べていた――。その事実を知ったときのショックは今でも忘れられません。
それでも、真実を明らかにするために協力してくれた弟には感謝しています。あのとき勇気を出して現実と向き合ったからこそ、私は新しい人生を歩き始めることができたのだと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。