元婚約者と部長親子の嫌がらせ
Aと恋人になった元婚約者は、事あるごとに僕をあざ笑うようになりました。さらに最悪なことに、Aの父親である部長も一緒になって僕をターゲットにし始めたのです。
「おい、この雑務はお前がやっておけ。どうせ暇なんだろ?」
「お前みたいな無能がうちの部署にいること自体が、部署の恥なんだよ」
部長は僕の企画をAの手柄として横取りし、代わりに膨大な雑用を押し付けてきました。ある日、オフィスの中央で部長とA、そして元婚約者に囲まれ、僕は彼らから罵倒されていて……。
「お前みたいな底辺男、彼女にフラれて当然。本当に惨め」
「私は、優秀なA君を選んでよかった!」
周囲の社員も部長の権力を恐れて目を伏せる中、理不尽な言葉の暴力に僕が唇を噛みしめていた、そのときでした。
僕を救ってくれたのは
「随分と楽しそうだね。就業時間中に何をやっているのかな」
響き渡った威厳のある声に、オフィスが静まり返りました。現れたのは、滅多に現場に姿を見せない社長だったのです。慌てて媚びへつらう部長とAを完全に無視し、社長はまっすぐ僕の前に立ちました。
「□□さん(僕)。いつも周囲が敬遠する仕事も嫌な顔ひとつせず引き受けてくれているそうですね。先日の取引先の件も、君が会社を救ってくれたと報告を受けています。本当にありがとう」。
誰も見ていないと思っていた僕の地道な努力を、なぜ社長が知っているのかと驚いていると、社長は部長たちに向き直り、冷ややかな視線を送りました。
「さて、君たちには説明してもらうことがあります。監査部から君たちの業務に関して重大な報告が上がっていてね。詳しい話は別室で聞かせてもらいましょう」。
その瞬間、部長とAは顔面蒼白になって……。彼らはそのまま社長と共に別室へ連行されていきました。 後から同期に聞いた話によると、複数の社員がコンプライアンス窓口へ部長親子のパワハラや不正を通報しており、監査部が以前から内偵を進めていたそうです。僕の働きぶりも、その調査の中で社長に報告されていたと知りました。
自業自得の末路
後日、監査の結果、部長とAによる不正が発覚し、2人は会社を辞めていきました。
エリートの座から転落したAを見限った元婚約者は「もう一度やり直せない?」と僕にすがりついてきましたが、当然僕に今さら戻るつもりはありません。その旨をきっぱり伝えると、彼女も社内に居場所がなくなったのか、逃げるように退職していきました。
地道な努力が結んだ実
騒動が落ち着いたころ、僕は社長室に呼ばれました。改めてこれまでの働きに対する感謝の言葉をかけられた後、社長から穏やかに「今度ゆっくり食事でもどうですか。実は娘も同席する予定なんです。仕事に真面目な人と話してみたいと言っていてね」と驚きの提案を受けました。
その食事の席で出会った娘さんとは、お互い映画や旅行が好きだとわかり、会話が自然と弾みました。その後も何度か食事を重ねるうちに距離が縮まり、数カ月後、僕から思いを伝えたところ、自然な流れで交際がスタートしました。
仕事でも正当な評価を受け、今では重要なプロジェクトのリーダーを任されています。地道な努力は、すぐには報われないこともあります。それでも誠実に仕事へ向き合い続けたからこそ、仕事も大切な人も手に入れることができました。あのとき諦めなくて、本当によかったと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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