招待されていない式で非常識な依頼
その日、私は自宅で休日を過ごしていました。すると突然、A子から電話がかかってきたのです。久しぶりの連絡に驚きながら電話に出ると、彼女はあいさつもそこそこに言いました。
「今どこにいるの? すぐ式場に来てくれない?」
聞けば、その日はA子の結婚式当日。友人代表のスピーチを頼んでいた人が、体調不良で急きょ欠席することになったそうです。A子は、学生時代から自分を知る友人に代役を頼みたかったものの、式に出席する予定のほかの友人たちからは断られたと言いました。
「中学から私を知っているのは、あなたでしょう。短くていいから、今から来て話してよ」
私は耳を疑いました。招待状も届いていないばかりか、A子本人からは結婚の報告も受けていませんでした。もちろん、式場の場所や開始時刻すら知らなかったのです。
「私、結婚式に招待されていないよね。今から急にスピーチを頼まれても無理だよ」
そう答えると、A子は不機嫌そうな声を上げました。
「式場の場所は今から送るから。まだ挙式前で、披露宴は午後からだから間に合うはず」
「中学からの友人なんだし、こういうときくらい助けてくれてもいいじゃない」
話を聞くと、席札などは用意できないものの、欠席になった友人の分の料理などは用意されるため、私が参加しても問題ないと、式場のスタッフから許可が下りたのだとか。
しかし私は、事前に何の相談もなかったことや、準備をせずに人前でスピーチはできないことを説明しました。
しかしA子は、「せっかく仲直りするきっかけをつくってあげたのに」と、まるで私のほうに非があるかのように言うのです。
私はしばらく黙った後、落ち着いて伝えました。
「結婚式に招待もされていないのに、当日いきなり頼まれても対応できないよ。いくら中学からの友人でも、さすがに非常識だと思う」
そして、これ以上話しても平行線だと思い、電話を切りました。
疎遠になった本当の理由
私とA子の関係が壊れ始めたのは、数年前のことです。高校時代から、私はある先輩に長く思いを寄せていました。A子にもそのことを話しており、何度も相談に乗ってもらっていたのです。ところが後になって、A子がその先輩と交際していることを、同窓会の席で突然知らされました。
もちろん、誰と交際するかは本人たちの自由です。私がA子に交際をやめてほしいと言える立場でもありません。
ただ、A子自身の話から、私の相談を聞いていたころには、すでに先輩と連絡を取り合っていたことがわかりました。それを長い間隠したまま、大勢がいる場で突然交際を発表されたことに、私は深く傷つきました。
後日、気持ちを正直に伝えると、A子は謝るどころか、笑いながら言いました。
「自分が告白できなかっただけでしょ。いつまで気にしているの?」
「そんなに私の顔を見たくないなら、もう連絡するのもやめるから」
それ以来、私はA子と距離を置くようになりました。A子と先輩はその後も交際を続け、結婚することになったと共通の友人から聞いていました。しかし数年前から疎遠になっていたため、A子が結婚式を挙げることを聞いても、招待状が届かないことにも疑問を感じていなかったのです。
それなのに、式の当日になって突然、「中学からの友人なんだし、こういうときくらい助けて」と言われても、応じることはできませんでした。
SNSに書かれた一方的な主張
その後、結婚式に出席していた共通の友人から、私のもとに連絡が入りました。友人によると、友人代表のスピーチは取りやめになったものの、式自体は予定通り進んだそうです。
「A子がSNSに『親友に裏切られた』って書いているけれど、もしかして、あなたのこと?」
その友人は結婚式に出席しており、やはりA子から代役を頼まれていたそうです。しかし、突然の依頼で準備もできていなかったため、引き受けられないと断ったとのことでした。
「私も当日いきなり頼まれて断ったんだけど、もしかして、あなたにまで連絡していたの?」
驚いた様子で尋ねられ、私は、結婚式に招待されていなかったにもかかわらず、当日になって突然スピーチの代役を求められたことを説明しました。
すると友人は、あきれたように「招待していない人にまで頼んでおいて、断られたら『裏切り』って書くのはおかしいよ」と言いました。
その後、ほかの友人たちにも事情が伝わり、何人かがA子に投稿の経緯を確認したようです。
後から聞いたところ、A子は最初、「親友なら助けてくれて当然だと思った」と説明していたそうです。しかし友人たちから、「招待していないのに親友扱いするのは都合がよすぎる」「相手だけを悪者にする投稿はよくない」と指摘され、ようやく自分の言動を振り返ったようでした。
その後、A子から「自分の都合ばかり考えていた。急なお願いをしてごめんなさい」と連絡が届きました。
私は謝罪を受け止めた上で、「謝ってくれたことはわかった。でも、以前のような関係に戻るつもりはないよ」と伝えました。それ以降、A子からの連絡には応じていません。
関係を終えて気付いたこと
私は長い間、「昔からの友人なのだから、いつかまたわかり合えるかもしれない」と考えていました。
しかし、付き合いの長さだけで、相手との関係を続けなければならないわけではありません。困ったときだけ親友として頼られ、こちらの気持ちは軽く扱われる関係を、無理に維持する必要はないのだと思いました。
今回、私はA子を言い負かしたかったわけでも、困らせたかったわけでもありません。できないことを断り、事情を尋ねてきた友人に事実を説明しただけです。
共通の友人たちも、私の説明を聞いた上で変わらず接してくれています。そのことから、誰かの一方的な言葉に振り回されず、自分の気持ちや事実を落ち着いて伝えることの大切さを感じました。
A子との友情が終わったことには寂しさもあります。それでも今は、互いを尊重し、無理を押し付け合わずにいられる人たちとの関係を大切にしています。
--------------
付き合いの長さだけで、信頼関係が保たれるわけではありません。都合のよいときだけ「親友」として頼り、一方的な主張で相手を責める姿からは、相手への敬意が失われていたように感じます。主人公が感情的に仕返しをするのではなく、事実を伝えたうえで関係を終わらせたことは、自分の心を守るための大切な決断だったのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!