私だけを除け者にする夫
そんなある日、夫が出張先から高級なお肉を持ち帰ってきたことがありました。普段キッチンには立たない夫が肉を焼き、普段節約ばかりしている私も久々の牛肉を内心楽しみにしていました。
ところが、出されたのは子どもたちと夫のお皿だけ。「子どもに焼いたんだ。お前の分じゃない」という冷たい言葉を聞いた瞬間、自分の中の気持ちが一気に冷え込みました。その場では何も言わず、私は自分で用意していたごはんを黙々と食べました。
すると、お肉を夢中で食べていた上の子がふと気づいたようで、「ねぇ、なんでママのお肉ないの?」と言いました。夫は「いや、ママはいらないって……」と言いかけましたが、真ん中の子も気づいて「なんでママだけないの! かわいそう! パパひどい!」と口々に言い始めました。夫はバツが悪そうに黙り込み、慌てて私のお皿にお肉を取り分けようとしましたが、もうほとんど残っていませんでした。子どもたちの純粋なひと言に、さすがに夫も自分のしたことの身勝手さに気づいたようで、「……ごめん、俺が悪かった」と小さな声で謝りました。
最終的に、子どもたちが食べきれなかった冷たく固いお肉が回ってきました。もちろん、子どもたちがおいしく食べてくれるのが一番だと思っています。それでも、家族みんなで囲む食卓で、私にだけお肉を用意しないというのは意地が悪すぎると思いました。
あとで夫に理由を聞いたら、「子どもたちにたくさん食べさせたかったし、自分がもらったのだから自分も食べたかった。そしたら足りなくなった。子どもたちが残すかもしれないし、お前の分は残りでもいいかと思ってしまった」とのことでした。さすがに幻滅してしまいました。
ただ、これ以降、夫がお土産を持ち帰るたびに子どもたちが「ママの分はある?」「またママにいじわるするの?」と真っ先に確認するようになりました。あの日のことをしっかり覚えている子どもたちに、夫は毎回苦笑いするしかない様子です。図らずも、子どもたちが一番のお灸になってくれたのでした。
この一件で気づいたのは、身近な存在だからこそ、気遣いを忘れてしまいがちだということです。毎日そばにいる家族だからこそ、「ありがとう」や「お疲れさま」といった小さな心遣いが、関係をつなぎとめる大切な糸になるのだと思います。思い返せば、私も感謝やねぎらいの言葉を普段あまり口にしていなかったかもしれません。今後はお互い言葉にして、自然と思いやりの言葉が聞こえる家庭にしていきたいと思った出来事でした。
著者:秋山 千智/30代女性・主婦
1歳と4歳、6歳の子どもを育てるママ。インドア派で、映画やドラマを見るのが好き。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)
※AI生成画像を使用しています