両親の葬儀後、私がさまざまな対応に追われている隙に、実家で何かを探していた姉。姉は父の書斎で遺言書を見つけ出してきたようで——。
父の遺言書の内容
両親の葬儀が終わったばかりだというのに遺産のことで頭がいっぱいの姉……。そんな姿に、私は少なからずショックを受けていました。
遺言書には具体的なことは特に書かれておらず、「どうかこの家だけは売らないでくれ。相続して大事にしてくれ」という父からのメッセージのみ。姉は嬉々として話を進めます。
「でね、遺産についてなんだけど……現金は私、実家はあんたってことで分けようと思うの」「私は入籍してこれから結婚式も控えてるし、何かと現金が必要じゃない? それに、あんたはどうせ貰い手がなさそうだし、いっそのこと実家に帰っちゃえば? 家賃も浮くじゃない!」
あまりにも一方的な決めつけに、さすがの私も黙っていられず反論しました。しかし、姉は一切聞く耳を持ちません。
「長女の私が一番権利があるんだから、黙って私の言うことを聞きなさいよ!」と、勝手な理屈を振りかざしてくる始末。あまりの理不尽さに反論する気力すら失ってしまった私は、諦めて言葉を返しました。
「……もういいよ。お姉ちゃんの言った通りでいいよ」
「ふふっ、あんなボロ家だけじゃさすがにかわいそうだから、実家にあるものはセットで全部あげるわね!」
結局、私は一人暮らしの家を引き払い、実家に戻ることにしたのでした。
姉の大誤算
私が実家で暮らし始めてしばらく経ってからのこと。姉から焦った様子で「実家に通帳はないか?」と連絡が入ります。姉の手元に入った金額が想像より少なかったよう……。私も一通り家の中を調べましたが、通帳なんてありませんでした。
実際の預金が1,000万円ほどしか残っていないと知るや否や、「何億かはあると思って、もう車買ったりハイブランドのバッグ買い占めたりしてたのに!」と不満を爆発させた姉。両親が亡くなったばかりだというのに散財していた姉に、私は呆れて開いた口が塞がりませんでしたが、本人は「切り替え上手って言ってちょうだい!」と悪びれもしません。
それどころか、姉は「とりあえず実家を売りなさいよ。土地代を2人で半分こするなら文句ないでしょ?」とさらなる勝手を言い出しました。
しかし、父の遺言書には「実家は手放すな」とありました。だから私は「お父さんの遺志もあるから実家は売るつもりないし、万が一売ることになったとしてもお姉ちゃんにはお金は渡さないよ」ときっぱり告げました。
「そんな非常識なこと言わないでよ!妹のくせに!」と怒鳴る姉に、私も負けじと言い返します。
「非常識なのはどっちよ! 引っ越しで荷物を整理していたら借用書が出てきたのよ。お姉ちゃん、お父さんたちから何千万円も借りてたんだってね? だから貯金も減ってたんじゃない?」
痛いところを突かれた姉は顔を真っ赤にし、「もういいわよ! あんな古い平屋、売りに出さないなら好きにすれば? その代わり二度と借用書の話はしないでちょうだい!」と理不尽な態度で怒りをぶつけてきたのです。
そこで私は、後から撤回されないよう「過去の借金清算を含め、お互いこれ以上遺産請求しないこと」「預金は姉、実家とそこにあるものはすべて私」と明記した協議書を、専門家を介して作成したのです。
「あんなボロ家、売っても大した金額にならないけどね。はいはい、それで確定で文句ないわよ!」と、姉は馬鹿にするように笑いました。
父が家を手放したくなかったワケ
それから数か月後のことです。テレビのニュースで、実家周辺の再開発が正式発表されました。実家の周りの地価は一気に跳ね上がるでしょう。
実は、父が「この家だけは絶対に手放すな」と遺言を残していたのには、ちゃんとした理由がありました。生前、地元の情報に詳しかった父はこの都市計画の動きをいち早く察知しており、「家を守っていれば、将来妹である私を助ける大きな資産になる」とよく話していました。
実家にも両親にも寄り添おうとせず、お金のことしか頭になかった姉だけが、この事実をまったく知らなかったのです。
地価高騰のニュースを見た姉から、青ざめた様子で電話がかかってきたのは、それからすぐのことです。
「ちょっとあんた! ニュース見た!? 実家の周りが再開発されて地価が爆上がりするって言ってるじゃない! 遺産、一から分け直しなさいよ!」
興奮して怒鳴り散らす姉に、私は冷ややかに返しました。
「何を言ってるの? お姉ちゃん『現金1000万円は自分がもらうから、あんなボロ家と実家のものは全部あんたにあげる』って自分で決めたよね?」
「騙されたのよ! 知ってたら実家をもらってたわよ!」
「騙したわけじゃないよ。お父さんは昔から街の変化をよく見ていたから知っていたの。お姉ちゃんがお父さんや実家に少しでも関心を持っていれば、話を聞く機会だってあったはずでしょ? それに、私は話し合おうって言ったよ!」
「ぐっ……!」と絶句する姉に、私は続けます。
「約束通り、もう二度と遺産の話はしないでね」と告げて電話を切ると、それ以降姉から連絡が来ることは二度とありませんでした。
目先の現金に目がくらみ、親の思いも実家もバカにして捨て去った姉。私は父の遺言通り、思い出の詰まった大切な実家と土地を守りながら、これから豊かで穏やかな人生を歩んでいこうと思っています。
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お金目当てで親や実家をぞんざいに扱った姉は、最後に大きな後悔を残しました。見返りのためではなく、純粋に親を大切に思い、遺してくれた言葉を大事にすること——そんなやさしい思いやりの心こそが、自分の人生をあたたかく守ってくれるのかもしれませんね。
【取材時期:2026年5月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。