旅行中に上司から鬼電がきて…
義家族との北海道旅行の前日のことです。終業間際、直属の上司であるB田部長から声をかけられました。
「お前、明日から休みなのか?」
「はい。4日間の有給休暇を取っています」
するとB田は、「いいよなあ。俺は忙しくてそんなに休めないのに」と嫌みを言ってきたのです。僕は笑って受け流しましたが、その後のB田の「せいぜい楽しめよ」という言葉が、なんとなく引っかかりました。
翌日、僕たちは北海道へ向かいました。旅館に到着してからはのんびりと過ごし、久々の休みを満喫していました。しかしそのとき、僕のスマホが鳴り響きました。なんと、B田からの鬼電が始まったのです。
「社長命令だ」とまさかのクビ宣言!?
緊急事態かもしれないと思い、僕が電話に出ると、B田はいきなり怒鳴りました。
「商談の日程が変わったから今すぐ会社に来い!」
僕が「いつに変更になったのですか?」と質問しても、B田は答えてくれません。
「上司の命令を無視するのか?」と言い出し、さらには「従わないならクビだからな。これは社長命令だ!」とまで言い放ったのです。
僕が驚いていると、B田は「のんきに有給なんか取りやがって!」と責め立ててきて……。「でも、その商談は営業担当が対応する予定ですよね。なぜ僕が戻る必要があるんですか?」と尋ねても、B田は「言い訳するな!」の一点張り。
B田の怒鳴り声は大きく、隣にいたA子や義父にも聞こえていました。
電話を代わった人物は…
すると義父が手を差し出し、「私に代わってくれ」と言いました。
「もしもし。私がその社長だが、B田君、私はいつ彼を呼び戻せと命じたのかな?」
「クビとはどういうことだ?」
電話の向こうが、静まり返りました。
「しゃ、社長!? どうして……」
実は、義父はわが社の社長なのです。A子は社長の娘であることを周囲に明かしていないうえ、僕たちは夫婦であることも同僚に公表していませんでした。社長の身内だからと特別扱いされたり、仕事ぶりを正当に見てもらえなくなったりするのを避けたかったからです。
義父は「有給休暇中の社員に、解雇をちらつかせて無理やり働かせようとするなんて、おかしいだろう」と、B田を厳しく叱責しました。
B田が言葉を失っている間に、僕は「その商談は営業担当が対応する案件です。必要な企画資料も、すでに担当者へ共有しています」と改めて説明しました。
義父は「この件は人事にも共有する。改めて事情を聞かせてもらう」と告げ、通話を終えました。
嫌がらせ目的の嘘がバレて!?
後日、聞き取りによってB田が僕への嫌がらせのため、「商談の日時が変更になった」と嘘をついていたことが発覚しました。さらに、B田がほかの社員にもパワハラを繰り返していたことも明らかに。
就業規則に基づいてB田は降格処分を受け、別の支店へ異動となりました。
それからしばらくして、僕はこれまでの実績を評価され、B田の後任となる新部長に抜擢されました。もちろん、公平性を保つため、義父は人事選考に関与していません。
昇進祝いの食事へ向かう途中、僕はA子に言いました。
「立場が上になったとしても、部下とはできるだけ同じ目線で会話したいと思ってる」
A子は笑って、「あなたなら大丈夫よ」とうなずきました。今回の出来事を忘れず、誰もが安心して働ける職場をつくろうと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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