家計を管理したいと言い始めた
元夫と結婚して3年ほどたったころのことです。当時の私は仕事が忙しく、夫婦で過ごす時間は減っていたように思います。
そんなある日、元夫から「これからは俺が家計を管理する」と言われました。わが家では、それまで私が生活費や貯蓄を管理していましたが、「忙しい君の負担を減らしたい」と元夫。
少し不安はあったものの、私は家計用口座の通帳を彼に預けることにしました。すると、それまで自由に使えていた生活費についても、細かく確認されるようになったのです。
「今月は外食を控えよう」
「洋服を買うのは来月にして」
節約のためだと元夫は言っていましたが、特に大きな買い物の予定などもありませんでした。そのため、元夫の言動に違和感を抱き始めたのです。
「タワマンに引っ越そう」
しばらく経ったころ、元夫が突然こう言い出しました。
「高層マンションに引っ越そう。いい部屋を見つけたんだ」
購入ではなく賃貸でしたが、今より家賃が大幅に上がる物件です。今の私たちには少し背伸びしているかも……と思うものだったので私は反対したのですが、元夫は「俺も昇給する予定だし、君の収入なら問題ないと思う」と譲りませんでした。
勝手な言い方にモヤモヤしたものの、通勤しやすい場所ではあり、何度も話し合った末に転居することに。入居審査では私の収入が主に考慮され、賃貸契約の名義も私になりました。
引っ越し後、元夫は友人たちに「俺が選んだ部屋だ」と自慢していたようです。私は見栄を張りたいだけなのだろうと思い、深く追及しませんでした。
友人が元夫とマンションを略奪
転居して2カ月ほどたったころ、私は数日間の出張へ出かけました。すると、高校時代からの友人A子から室内の夜景写真が送られてきたのです。
「すごくいい部屋だね。これから私と彼が住むから、あなたは出ていって」
見ると、そこに写っていたのは私たちの部屋から見える夜景。どうしてA子がそんな写真を送ってきたのか……意味がわからずどういうことなのかと尋ねると、A子は「元夫と交際している」と言うではありませんか。
結婚の際、私を通じて知り合ったあと、SNSで連絡を取り合うようになったそうです。
「彼から離婚するって聞いてる。マンションも彼が買ったんでしょ?」
勝ち誇るA子に、私は思わず返しました。
「何か勘違いしているかも。見つけてきたのは夫だけど、賃貸だし、契約者は私だよ」
私の言葉に慌て始めたA子。その後、互いの話を突き合わせると……。
なんと元夫は、A子に「自分の収入で購入したタワマン」と嘘をつき、さらに「妻とはすでに離婚の話が進んでいる」とまで言っていたようです。そればかりか、A子に多くのブランド品のバッグやアクセサリーをプレゼントしていたこともわかりました。急な節約は、きっとこのためだったのです。
私にとって、離婚の話などまったく身に覚えがありません。元夫の突然の節約の理由までわかり、怒りを通り越して呆れてしまいました。
明かされた嘘に、元夫は…
「私は騙されたってこと!?」
私の説明を聞いたA子が、最初に口にしたのはこの言葉でした。元夫から嘘をつかれていたのは事実でしょう。しかし、「離婚の話が進んでいる」と聞いていたとはいえ、既婚者だと知りながら関係を続けていた事実は消えません。
私はA子とのやり取りを保存し、出張先から元夫に連絡しました。
元夫は最初こそ関係を否定していました。けれど、A子とのやり取りを見せると、「A子とは遊びだった」「もう別れるから許してほしい」と謝り始めたのです。
家計を管理すると言いながら、その裏で私たちのお金を使い、友人との関係を続けていた元夫。当然、もう信じることはできませんでした。帰宅後、私は部屋を解約する準備を進め、専門家にも相談したうえで離婚について話し合いました。
その後、A子とは連絡を絶ち、元夫とも離婚が成立。金銭面についても記録を確認しながら清算しました。あれからしばらくたち、今は新しい住まいで落ち着いた生活を送っています。
仕事が忙しいからと家計を任せきりにし、違和感を見過ごしていたことは反省しています。ただ、信頼とは相手の言葉を無条件に信じることではありません。お金や生活に関わることだからこそ、夫婦でも状況を共有し、確認することが大切だと痛感しました。
イラスト:藤まる
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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