元ヤンだけど、実は…
僕が所属する営業課に新しく後輩がやってきたのですが、僕は少し驚いてしまいました。なぜなら彼女は「元ヤン」で……。社内でもかなり異色の存在だったAさんのことを、最初は皆怖がっていました。
Aさんの教育係を決めようとしたときのこと。僕は、「どうか自分じゃありませんように!」と心の中で祈っていましたが、課長が指名したのは僕でした。
気が進みませんでしたが、指名されてしまったものは仕方がありません。僕は、Aさんにいろいろと仕事を教えることに。最初、彼女は挨拶すらまともにできず、パソコンにもほとんど触ったことがなく、正直先行きが不安で……。
ところが、一緒に過ごすうちにAさんはとても素直で努力家だと判明。スポンジが水を吸うように、僕が教えたことをどんどん吸収し、日に日に成長していきました。そんな姿を見ているうちに、僕のAさんの見方は大きく変わりました。今では、営業部に欠かせない優秀な後輩だと思っています。周囲の同僚たちも、Aさんの頑張りを認めていました。
ただ、上司だけは違いました。いつまでも彼女の経歴に偏見を持ち、頑なに冷たい態度を変えようとしなかったのです。
上司VS元ヤン後輩&教育係の僕
ある日、僕はAさんと共に上司に呼び出されました。指定された会議室に入ると、そこには僕たち3人以外誰もいませんでした。
どうやら上司は、仕事の話ではなく、Aさんについて話したかったよう。後輩が会議室の扉を閉めた後、いきなり「元ヤンだかなんだか知らないが、こんな髪色じゃ取引先から信用されないんだよ!」と説教開始。「これは地毛です!」とAさんが反論しても聞く耳を持ってくれず……。
「なんでこんな子を雇ったのか…まったく理解に苦しむな」と上司が言ったときには、僕もすかさず「最初はいろいろ戸惑うこともありました。でも、彼女は今、本当に真面目に頑張っています」と口を開きました。上司は僕が反論してくるとは思っていなかったのでしょう。
「お前だって最初はこいつの教育係になるのを嫌がっていただろ!」と、今度は僕に怒りの矛先を向けてきました。
その後も上司の罵声はどんどんエスカレート。「どうせ高校でろくなことしてなくて大学にも行けなかったんだろ?」と、彼女の人格を否定する発言まで飛び出します。しまいには、彼女や僕に「俺に刃向かうなら、2人ともクビにするぞ!」とも。
その瞬間、僕は我慢の限界を迎えました。
意外な人物現る!?
そんな上司のもとで働く意味を完全に見出せなくなった僕は、「そんな職場なら辞めます」と返答し、Aさんを連れて会議室を後にしようとしました。ところが、僕がドアノブに手をかける前に、「待ってくれ!」の声と共に勢いよくドアが開いて……。
僕たちの目線の先にいたのは、まさかの社長でした。
実は、上司が後輩に対しての当たりが強いことを以前から危惧していた僕は、他の上司に相談していました。そして社長もそれを耳にしていたらしく、前々から気にかけてくれていたよう。廊下から僕たちの言い争う声を聞き、会議室に入ってきてくれたとのことでした。
明かされた上司の悪事
上司に向かって「君に人事権はあったのかな?」と尋ねた社長は、続けて「彼女は人事部長と話し合って私の判断で入社させたんだ。私の判断が間違っていたということかな?」と質問。また、社長は今回の上司の発言を重く受け止めたよう。
そこで僕は後輩に目配せをし、彼女がポケットからスマートフォンを取り出し、録音した音声を社長に聞いてもらいました。実は、Aさんに上司との会話を録音しておくよう事前に指示を出していたのです。
社長は「彼女に対する言動はパワハラと言われても仕方ない」と告げました。
言い逃れできないと察した上司の顔は一気に真っ青に。肩を落としながらトボトボと会議室を立ち去っていきました。
その後、上司は営業課のほかの女性社員にセクハラをしていたことも発覚。しかし、会社から重い処分が下される前に、「これ以上バレたらまずい」と思ったのか自主退職しました。おかげさまで職場の空気は良くなり、僕はもちろん彼女も毎日生き生きとしながら働き続けています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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