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義父母が相次いで他界「家は俺がもらう」義兄に香典も盗まれ…絶望→しかし娘「よかったね」笑顔のワケ

義父に介護が必要になったのは、娘が3歳のころでした。義母も持病があり、ひとりで義父の身の回りの世話と家事を担うのは困難な状態でした。そこで、次男である夫と相談し、私たち家族は義実家で同居を始めました。

介護への不安はありましたが、義父母は穏やかで、私たちの生活にも気を配ってくれる人たちでした。訪問介護などのサービスも利用しながら、在宅している時間が長い私が日常の介助を担い、夫は通院の付き添いや各種手続きを担当。

娘も義父母になつき、一緒に折り紙をしたり、庭の花に水をやったりして、私たちは穏やかに暮らしていました。

一方、ほとんど顔を見せなかったのが、夫の兄である義兄夫婦です。義兄は事業の失敗で借金を抱えていた時期があり、それ以来、義父母にたびたび援助を求めていました。義父に断られると腹を立て、「長男なのに信用されていない」と距離を置くようになったそうです。それでも、お金が必要になると連絡してくるため、義父母は義兄の将来を心配していました。

 

同居を始めて3年後、義父が亡くなりました。私たちはすぐ義兄に連絡しましたが、義兄夫婦が病院に来ることはありませんでした。その後、義母も気落ちしていたせいもあってか持病が悪化し、他界しました。義母が体調を崩してから亡くなるまで、義兄夫婦は見舞いに一度も来ませんでした。

 

葬儀はいずれも夫が喪主を務めました。義兄夫婦は参列したものの、受付や親族へのあいさつにはほとんど協力せず、式が終わると早々に帰ってしまいました。

 

さらに、義母の葬儀後に香典帳と現金を確認すると、香典袋の一部が見当たりません。受付を手伝ってくれた親族に確認したところ、義兄が数通の香典袋を持って会場を出る姿を見たというのです。

 

夫が義兄に連絡すると、義兄は当初「知らない」と否定しました。しかし、夫が追及を続けると、義兄は「長男なんだから、少しくらい受け取る権利がある」と言い、香典を持ち出したことを認めたのです。夫は義兄に返還を求め、応じない場合は警察に被害届を出すと伝えました。義兄はしぶしぶ全額を返しましたが、私たちはあまりの身勝手さに言葉を失いました。

 

 

義兄の身勝手な主張

義母の四十九日の法要を終え、義父母それぞれの遺品整理や相続手続きを進めようとしていたころ、義兄夫婦が突然、義実家にやって来ました。

 

「この家は俺の実家だ。長男の俺が家と土地をもらう。お前たちには親の少ない預金をやるから出ていけ」

 

義兄は、玄関に入るなり一方的に言い放ちました。昔ながらの大きな一軒家だったため、義実家は価値があると思い込んでいるようです。しかし、長男だからといって、当然に家と土地をひとりで相続できるわけではありません。

 

夫がそのことを説明しても、義兄は「親父も長男が家を守るべきだと言っていた」と譲りませんでした。義父がかつて口にしていた言葉を、自分に都合よく受け取っていたのでしょう。義父母の介護には関らず、香典まで無断で持ち出した義兄の主張に、私は納得できませんでした。

 

しかし、家に強いこだわりがあるわけではありません。今後も住み続けるなら、老朽化した設備を修繕する必要もあります。夫と今後について話していると、そばで聞いていた娘が突然、笑顔で言いました。

 

「ママ、よかったね。もうアリさんのお家に住まなくていいんだね」

 

思いがけない言葉に、私は娘へ理由を尋ねました。

 

「じぃじがね、このお家はアリさんがたくさんいるから、ずっとは住めないって、ばぁばと話してたよ」

 

娘が言っていた「アリさん」とは、シロアリのことでした。娘のひと言をきっかけに、同居する前に義父から「業者に床下を点検してもらった」と聞いたことを思い出しました。書類を探すと、修繕の見積書と写真付きの報告書が見つかったのです。

 

報告書には、シロアリ被害が確認されたものの、当時は直ちに住めなくなる状態ではなく、将来的に大規模な修繕が必要になる可能性があると記されていました。義父母は費用の問題もあり、対応を先送りしていたようです。私も夫も、被害が確認されていたことは聞いていましたが、修繕の規模までは知りませんでした。

 

私たちは家の状態を隠さず、義兄夫婦にも報告書を見せ、家と土地の取得者を決める前に、改めて建物を調査しようと提案しました。しかし義兄は、「古い家なら多少の傷みはある。住みながら直せばいい」と取り合いませんでした。

 

そのうえで専門家に相談し、家と土地の名義や義父母それぞれの遺産、相続人を確認しました。義父の相続手続きが終わらないまま義母も亡くなっていたため、義父母それぞれの相続関係を整理したうえで、義兄と夫が遺産分割について話し合うことに。

 

最終的には、義兄が家と土地を取得し、夫は預金などを取得することで合意。内容を遺産分割協議書にまとめ、それぞれ納得したうえで手続きを進めました。

 

 

半年後、青ざめた顔で訪ねてきた義兄

その後、私たちは数カ月かけて家探しをし、中古マンションを購入して義実家を出ました。私たちが引っ越すと、義兄夫婦は「やっと自分たちの家になった」と喜び、義実家での生活を始めました。

 

ところが半年ほどたったころ、義兄夫婦が突然、私たちのマンションを訪ねてきました。義兄は青ざめた顔で、家の異変を訴えました。

 

「夜になると、あちこちからギシギシ音がするんだ。ふすまも閉まりにくいし、この前は仏壇の遺影まで倒れた。親父とお袋が、俺たちを恨んでいるんだ……」

 

義兄はそう言っていましたが、心霊現象ではなく、以前から指摘されていたシロアリ被害や建物の経年劣化を疑うべき状況でした。

 

夫は「点検報告書を見せただろう。まずは家から離れて、もう一度専門業者に調べてもらったほうがいい」と伝えました。すると義兄はうつむき、声を震わせました。

 

「親父たちに何度も金をせびって困らせた。見舞いにも行かなかったし、葬儀の香典まで勝手に持っていった。だから、罰が当たったのかもしれない……」

 

義父母は、義兄からお金を求められるたびに悩みながらも、いつか自立してくれることを願っていました。連絡が途絶えたあとも、義母は「元気でいるなら、それだけでいい」と寂しそうに話していました。

 

私は義兄に、「怖がる前に、専門家に調べてもらってください。ご両親が本当に望んでいたのは、家を無理に残すことではなく、お義兄さんが自立した生活を送ることだと思います」と伝えました。

 

 

軽く考えていた義兄に想定外の事態が

その後、義兄夫婦が改めて専門業者へ調査を依頼したところ、以前の報告書に記載されていた範囲を超え、柱や土台にも被害が広がっていることが判明。大規模な修繕になるため、一時的に家を空ける必要があると言われたそうです。修繕には多額の費用がかかり、売却する場合も建物の状態を買い主に説明しなければなりません。解体して更地にする選択肢もありましたが、解体費用を考えると簡単には決断できなかったようです。

 

義兄夫婦はひとまず賃貸住宅へ移り、家については、修繕、売却、解体のどれを選ぶか、不動産会社や専門家と相談しながら検討することにしたそうです。家を相続すれば得をすると軽く考えていた義兄にとって、被害が予想以上に広がり、維持や処分に多額の費用がかかることは想定外だったのでしょう。

 

それ以来、義兄夫婦は義父母のお墓参りを欠かさず、墓地の掃除もするようになりました。香典を無断で持ち出したことについても、親族へ直接謝罪したそうです。だからといって、これまでのことがなかったことになるわけではありません。私たち夫婦は、義兄夫婦と適度な距離を保っています。

 

現在は娘と3人、穏やかに暮らしています。娘が義父母と過ごした時間を楽しそうに話すたびに、同居を選んでよかったと感じます。これからも義父母への感謝を忘れず、家族で支え合っていきたいと思います。

 

◇ ◇ ◇

 

介護には関わらず、財産だけを自分のものにしようとした義兄。しかし、家や土地は、所有すれば必ず利益をもたらすものではありません。建物の維持管理や税金、売却時の手続きなど、相続にはさまざまな責任も伴います。また、「長男だから家を継ぐ」といった思い込みだけで話を進めると、家族間の対立につながりかねません。遺産の内容や建物の状態を正確に確認し、必要に応じて専門家の助言を受けながら、相続人全員で冷静に話し合うことが大切です。目先の損得だけで判断せず、故人の意思と残された家族の生活を踏まえて選択したいですね。

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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