突然現れた妹
A美は私より4歳年下です。子どものころから容姿を褒められることが多く、それを本人も自信にしていました。
その一方で、お金づかいは荒く、欲しい物があれば後先考えずに買ってしまうタイプ。お金に困るたび両親を頼り、何度注意されても改まらず、気づけば家族とも疎遠になっていました。
ある休日、B男と結婚後に使う家具を見に出かけていると、偶然A美と鉢合わせしました。久しぶりとは思えないほど親しげに話しかけてきたA美でしたが、その視線は私ではなくB男へ向いていたのです。
「へぇ、この人がお姉ちゃんの婚約者なんだ」
そう言いながら、A美はB男の腕時計や財布へ何度も視線を向けていました。当時は「相変わらずブランド好きなんだな」くらいにしか思いませんでしたが、今思えば、あのときからB男を品定めしていたのでしょう。
別れたあと、私はB男へA美について話しました。
昔から、お金のことで家族を振り回してきたこと。今はほとんど付き合いがないこと。そして、もし偶然会うことがあっても、関わらないでほしいこと。
しかしB男は、「考えすぎだよ」と笑うだけで、私の話を深刻には受け止めませんでした。
待ち合わせ場所に現れない婚約者
それから数週間後。私たちは結婚後に住むマンションを探すため、不動産会社で待ち合わせをしていました。しかし、約束の時間になってもB男は現れません。最近は「仕事が忙しい」と言って連絡が減っていたものの、この日の予定は以前から決まっていました。
心配になって電話をかけると、B男は慌てた様子で「ごめん」と謝ります。その直後、電話の向こうから女性の笑い声が聞こえたのです。
聞き覚えのある声に胸騒ぎを覚えた私は、そのままB男のマンションへ向かいました。インターホンを押すと、玄関から現れたのは部屋着姿のB男。そして、その後ろにはA美が立っていました。
私の姿を見るなり、A美は勝ち誇ったように笑って言いました。
「やっぱり、美人な私のほうがよかったんだよね♡」
その横で、B男は否定することもなく、A美に寄り添っていたのです。
その瞬間、すべてを悟りました。
さらにA美は、「昔からお姉ちゃんにいじめられている」「家族から自分だけ嫌われていた」など、事実とは違う話をB男へ吹き込んでいたのでした。そしてB男は、長年付き合ってきた私ではなく、知り合って間もないA美の言葉を信じたのです。
私を信じてくれない相手と、この先結婚しても幸せにはなれない。そう思い、その場で婚約解消を告げました。
1カ月後…勤務先に一本の電話が
それから約1カ月後。仕事中、受付から私宛てに電話が入っていると呼ばれました。
受話器を取ると、相手はB男でした。私が着信を無視し続けていたため、勤務先にまで電話をかけてきたのです。
B男は焦った様子で、A美と連絡がとれなくなったと話し始めました。「後で返すから」と頼まれ、ブランド品や旅行代だけでなく、A美が知人から借りたお金まで肩代わりしていたそうです。しかし、A美はある日突然失踪。電話もつながらず、途方に暮れているといいます。
あきれて言葉を失っていると、B男は突然、「なんで教えてくれなかったんだ!」と、私へ怒りをぶつけてきたのです。
私は落ち着いて答えました。
「A美がお金のことで家族を困らせてきたことも、『関わらないで』ということも、最初に話したよね?」
するとB男は、「姉妹げんかで悪く言っているだけだと思ってた……」と小さく答えました。
それは私の責任ではありません。私の忠告を信じず、自分の判断でA美を選んだ結果です。
さらにB男は、法律事務所に勤めている私なら何とかできるのではないか、弁護士を紹介してほしいと頼んできました。私は「必要でしたら、相談窓口へどうぞ」とだけ伝え、電話を切りました。
その後、B男から何度か連絡がありましたが、一度も応じていません。
最後まで自分の過ちではなく、人のせいにする姿を見て、婚約を解消した判断は間違っていなかったのだと改めて感じました。
結婚してから裏切られるより、結婚前にB男の本当の姿に気づくことができた。それだけは、不幸中の幸いだったと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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