会話が減った息子
中学生のころまでは、学校であったことや友人の話をしてくれていた息子。しかし高校生になると、家でほとんど話さなくなりました。
「今日は学校どうだった?」「部活、遅くなるの?」と声をかけても、「別に」「うるさい」と返されるばかり。息子にも息子なりの事情があるのだろうと思いながらも、以前のように会話ができないことを寂しく感じていました。
心配していることを伝えたくても、話しかければ機嫌を悪くさせてしまいます。次第に私は、必要なこと以外は声をかけないようになっていきました。
弁当に添えた短いメモ
ある朝、いつものように息子の弁当を作っていたときのことです。前の晩も遅くまで勉強していた息子のことが気になり、小さな紙に「無理しすぎないで」とだけ書きました。直接言えば、また「うるさい」と言われるかもしれません。けれど、メモなら読んでもらえるかもしれないと思い、弁当箱の上にそっと添えたのです。
その日の夜、息子は何も言わずに空の弁当箱を台所へ置きました。メモについての反応もありませんでしたが、捨てずに紙が弁当袋の中に入っているのを見つけ、少しだけうれしくなりました。
それから私は毎日ではなく、時々「今日もお疲れさま」「寒いから気を付けて」と短いメモを添えるようになりました。返事を求めず、伝えるだけでいいと思うことにしたのです。
雨の日のひと言
ある雨の日、息子は部活動で帰りが遅くなりました。びしょ濡れになって帰ってきたため、私は玄関にタオルを置き、「おかえり」とだけ声をかけました。息子はいつものように無言で通り過ぎるかと思いました。ところが靴を脱ぎながら、小さな声で「弁当、ありがと」と言ったのです。
ほんのひと言でしたが、私は驚いてすぐに返事ができませんでした。慌てて「うん」と答えると、息子は照れたように自分の部屋へ入っていきました。
それ以来、急に会話が増えたわけではありません。それでも、私の気持ちは息子に届いていたのだと思うと、以前ほど寂しさを感じなくなりました。
まとめ
反抗期の息子のそっけない態度は、私を嫌っているからではなく、成長の途中で距離を取ろうとしていたのかもしれません。親の思いを押し付けるのではなく、少し離れたところから見守ることも大切なのだと感じました。言葉を交わす時間が減っても、相手を思う気持ちは、ささやかな方法で伝わることがあるのだと思います。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:倉田沙苗/50代女性・パート
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)
※一部、AI生成画像を使用しています。
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