A子さんは何かと人にお金を出してもらおうとするところがあるようで、以前も私たちがカフェでお茶をしていたところへ突然やってきたことがありました。
「私も同じものをお願い!」
そう言って勝手にケーキセットを注文すると、食べ終わったあとに「ちょっと席を外すね」と言って席を立ったA子さん。しばらくすると、「急な用事ができたから先に帰るね」とメッセージが届き、そのまま戻ってこなかったのです。
仕方なくその日は私たちが代金を立て替えました。後日、何度か返してほしいと伝えましたが、「今度払うね」とはぐらかされるばかり……。
そんなことが続いていたため、私たちも次第に距離を置くようになっていたのです。
誘っていないママ友が待ち合わせ場所に
ある週末、仲の良いママ友2人と、高級ホテルの日帰りプランを利用する予定を立てていた私。ランチしたり、ホテル内の施設でのんびり過ごしたりする予定で、久しぶりの息抜きを楽しみにしていました。
もちろん、例のママ友・A子さんには声をかけていません。ところが当日、待ち合わせ場所へ向かうと、そこにはなぜか彼女の姿があったのです。
「私も行くから!」
あまりにも当然のように言われ、私たちは言葉を失いました。どうやら以前、保育園で私たちが予定について話しているのを偶然耳にし、待ち合わせ場所まで聞いていたようです。
「予約してあるから、急に人数を増やすのは難しいよ」と説明して断ろうとしましたが、彼女は「1人くらい増えたって大丈夫でしょ」と聞く耳を持ちません。
さらに、ホテルには自分で掛け合うと言い出したため、あきれた私たちは「費用も予約も自分で手配するなら好きにして」と伝えました。すると彼女は勝手にホテルまでついてきたのです。
勝手に部屋を確保し、観光へ出かけたママ友
ホテルへ到着し、フロントで受付を済ませた私たち。A子さんは私たちとは別にフロントへ向かい、空室があるか確認しているようでした。
その日はたまたま、通常の客室より広い部屋に空きがあったようで、A子さんは「すごくいい部屋取れた!」と大喜び。
念のため、私たちが「あなたの費用はあなた自身で払ってね」と伝えると、彼女は「はいはい」と軽く返事をしただけ。そして「明るいうちに観光してくるわ~」と言って、そのままA子さんはホテルを出て行ってしまったのです。
しばらくの間、私たちは顔を見合わせていたものの、その後は予定通りホテルでのランチやマッサージなどを楽しむことに。帰りがけにフロントに寄った際には、改めて私たちはA子さんのホテルステイとは無関係であることを伝えておきました。
翌朝かかってきた電話
翌朝――。
私のスマホにA子さんから電話がかかってきました。出るなり聞こえてきたのは、焦ったような声でした。
「ねえ、ホテル代が思ったより高くて、お金が足りないの! いったん立て替えてくれない?」
「あんたたち、今どこにいるの!? あとで返すから、とりあえず来て払ってよ!」
あきれながら、「私たちは昨日帰ったよ。それに、自分の費用は自分で払ってって伝えたよね?」と言うと、
「……え? 帰ったって、泊まってないの!? 日帰りだなんて聞いてないわよ!」
と驚くA子さん。
どうやらA子さんは、私たちもそのままホテルに宿泊すると思い込んでいたようです。そして、自分の支払いが足りなくなれば、いつものように誰かに立て替えてもらえばいいと考えていた様子。ほかのママ友2人にも「あとで返すから貸して」と同じように連絡を入れていたそうです。
さらに、A子さんが泊まったのは高額な客室。ルームサービスなども利用したため、想像以上の金額になってしまったようでした。
結局、誰にも立て替えてもらえず困ったA子さんは夫に連絡。事情を説明せざるを得なくなり、私たちに勝手についてきたうえ、ホテル代まで立て替えてもらおうとしていたことが夫に知られてしまったのでした。
夫婦そろって謝罪に来たママ友
その後、A子さんの夫から私に連絡が。話を聞くと、今回のホテル代だけでなく、以前から友人との食事代などを立て替えてもらったまま、返していないことも判明したそうです。私もカフェ代を立て替えたままになっていることを伝えました。
数日後、A子さんは夫と一緒に私のところへ謝罪に来ました。
「今まで本当にごめんなさい」
以前の強気な態度とは違い、かなり気まずそうな様子。立て替えていたカフェ代も、そのときにきちんと返してもらえました。
「自由に使えるお金が少なくて、つい人に甘えてしまっていた」
そう説明されましたが、それは他人に支払いを押しつけていい理由にはなりません。A子さんの夫からも謝罪され、私は返金を受け取ったうえで、これ以上深く関わるのはやめようと決めました。
その後、A子さんとは保育園で顔を合わせればあいさつをする程度の関係になりました。ほかのママ友たちも同じように距離を置くようになったため、以前のように誰かが支払いで困らされることもなくなったようです。
今では娘も成長し、当時のママ友たちとの付き合い方も変わりました。
あの一件以来、私はどれほど親しい相手であっても、お金に関することだけは曖昧にしないよう心がけています。少し冷たいと思われたとしても、最初にはっきりと線引きすることが、結果的には自分自身を守ることにつながるのだと実感した出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。