父に頼まれてお見合いへ
その日、父は少し申し訳なさそうに、「友人から縁談の話を持ちかけられてな。顔合わせだけでもどうだ?」と切り出しました。相手は父の友人の息子、A男です。
A男の父親が、私の勤め先や仕事ぶりを話すと、A男が「そんな女性がいるならぜひ会ってみたい」と興味を示したそうです。父の顔を立てるためにも、私は「まあ、一度会うだけならいいか」と、お見合いを受けることにしました。
顔合わせには、私とA男に加えてお互いの両親も参加しました。A男は整った顔立ちで物腰も穏やか。「父がいつもお世話になっています。今日はお会いできてうれしいです」と丁寧にあいさつしてくれました。
私が「結婚してもしばらく仕事を頑張りたいんです」と話すと、A男は「すてきだと思います。結婚しても、お互いに仕事を続けながら支え合えたらいいですね」と言ってくれたのです。会話も自然に弾み、帰るころには「A男となら結婚を考えてもいいかもしれない」と思うほどでした。
母が知ったA男の過去とは!?
お見合い後、私は両親に「すごくすてきな人だった。彼とならうまくやっていけるかも」と話しました。父も「もう一度会ってみてもいいかもな」と、すっかり上機嫌です。
ところが数日後、母が突然、「A男さんとの縁談はお断りしましょう」と告げたのです。私と父が驚いていると、母は「実は……」と話し始めました。
母が友人にA男とのお見合いについて話したところ、なんと、友人の娘がA男の元カノだったと判明! 娘さんの了承を得た上で、当時のやりとりを見せてもらったそうです。なんとそこには、
「今月きついから、家賃を払ってくれない?」
「俺、金ないから代わりにゲーム機買ってよ」
「だから、あの子の家には泊まったけど何もないって」
「もう裏切らないから信じてほしい」
などと、A男が元カノにお金をせびる内容や、浮気を疑わせるやりとりが残っていたのです。
A男に過去を問いただすと…
とはいえ、元カノの話だけでA男を決めつけたくはありません。そこで、後日予定されていた食事会で、A男本人に確認してみることに。
しばらく会話をしたあと、A男に「私が大手企業に勤めていると聞いて、自分から会いたいと言ったそうですね」と尋ねてみました。すると、彼は一瞬驚いた表情に。しかし、すぐに笑顔を浮かべて「仕事を頑張っている方だと聞いて、興味を持ったんです」と答えます。
続けて、過去の交際について切り出しました。
「前に付き合っていた女性に、家賃を払わせたり、ゲーム機を買わせたりしていたそうですね。ほかの女性の家に泊まったこともあるとか」
その瞬間、A男の顔から笑みが消えました。そして、「それはまあ……昔の話ですから。彼女も納得して付き合っていましたし」と言い訳を始めたのです。
A男は明らかに動揺しています。そこで私は、「私に会いたいと思ったのも、大手企業に勤めているからですか? 私の収入を当てにしていたんですか?」と、さらに問い詰めました。
するとA男は、黙り込んでしまったのです。その様子を見て、私はきっぱりと伝えました。
「申し訳ありませんが、この縁談はお断りします」
縁談は白紙に
A男の両親は、彼の過去の事情を知らなかったようです。「交際相手になんてことをしたんだ」とA男を叱り、私たち家族にも謝罪してくれました。
こうして縁談は白紙に。初めて会ったときのA男は、私の仕事に理解があり、気づかいもできる理想的な男性に見えました。でも、数回会っただけで、その人のすべてはわかりません。
もし母が友人に話していなかったら、A男の素の姿を知らないまま、結婚に向けて話を進めていたかもしれません。気づけば、私がお金を出すのが当たり前になっていた可能性もあります。
今後、結婚を考える相手に出会ったときは、「いい人そう」という最初の印象だけで決めず、時間をかけて相手を知っていこうと思った出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています。
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