突然届いた「旅館キャンセル」の連絡
ある日、私のスマホにA男から突然メッセージが届きました。
「友だちとの集まりで、お前の実家の旅館を10人分予約してたんだけど、やっぱりキャンセルで! よろしく!」
突然の連絡に何のことかわからず、とりあえずキャンセルする理由を聞いてみることにしました。
するとA男は、「せっかくの集まりなのに、お前の実家みたいな古い旅館じゃ恥ずかしいから! だから“もっと高級な旅館”を予約した」と、嫌味たっぷりに言い放ったのです。
「うちの旅館、去年廃業したけど?」
A男の見下すような発言を聞いた後、私は冷静に事実を伝えました。
「あのさ、うちの旅館、去年廃業したけど?」
実は、実家の旅館は前年に廃業していました。その後、建物は別会社に売却され、現在は別の旅館としてリニューアルされています。A男は県外に住んでいたためか、そのことを知らず、いまだに「私の実家の旅館」だと思い込み、嫌がらせ目的で予約していたのでした。
私が「もう実家の旅館じゃない」と伝えると、A男は慌てて旅館へ連絡したようです。しかし、直前のキャンセルだったため、規定通り10人分のキャンセル料が発生することに。
A男は「お前の実家だった旅館だろ! なんとかしろよ!」と私に食ってかかってきました。しかし、私は「今はもううちとは関係のない会社だから」と一蹴。A男は泣く泣くキャンセル料を支払う羽目になったようです。
翌朝、A男の前に現れたのは…!
A男たちは、別に予約していた“高級旅館”に宿泊しているようですが……。実家の旅館をたたんだ後、私はその“高級旅館”に転職し、現在、責任者として働いています。
翌朝、チェックアウトの時間になったころ、スタッフから「宿泊料金について、お客様がお話ししたいとのことです」と声をかけられました。フロントに向かうと、そこにいたのはなんとA男。キャンセル料まで支払うことになり、予想以上に出費がかさんだのか、「10人で泊まったんだし、少しくらい安くならない?」と値引き交渉をしていたのです。
私が「お待たせいたしました。責任者の私がお話を伺います」と声をかけると、A男は目を見開いて絶句しました。つい前日まで「お前の実家みたいな古い旅館じゃ恥ずかしい」「もっと高級な旅館に泊まる」と散々見下していたA男。その“高級旅館”で宿泊料金を負けてほしいと頼んでいるところを、よりによって私に見られてしまったのです。
もちろん、特別な値引きはできないことを丁寧に説明しました。A男は気まずそうに視線をそらし、その後は何も言わずに会計を済ませて帰っていきました。誰かを見下して嫌がらせをしようとすれば、思わぬところで自分が恥ずかしい思いをすることもあるのだと感じた出来事でした。
◇ ◇ ◇
嫌がらせ目的で予約を入れたり、安易にキャンセルしたりする行為は、お店に大きな迷惑をかけるだけでなく、悪質な場合には罪に問われる可能性もあります。予約する際は、お店やほかのお客さんへの影響も考え、責任ある行動を心がけたいですね。
【取材時期:2026年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。