友人の「食べ尽くし夫」が、後日…
学生時代からの友人Aの3歳になった長男くんの誕生日パーティーに招待され、同じく友人のBと一緒に訪ねることにしました。前日からAは「息子のために頑張って準備するね!」と張り切っており、夫にも「明日は長男のお誕生日会でお友だちが来るから冷蔵庫のご馳走には手をつけないでね」と何度も念押ししていたそうです。
パーティー当日、A宅に到着すると、家の中から長男くんの大きな泣き声が聞こえてきます。困惑する私たちに、Aは午前中に起きた信じられない出来事を打ち明けてくれました。
Aは朝から長男くんが大好きな唐揚げやサンドイッチなどのご馳走を準備していました。しかしその後、予約していたケーキを受け取りに行き帰宅すると、寝ていたはずのAの夫が、朝から用意し冷蔵庫に入れていたはずの料理をテーブルに広げ勝手に食べ荒らしていた、というのです。「食べないでって言ったよね!? もうみんな来ちゃう時間なのに……!」と怒るAに対し、Aの夫は「おなかが空いてたんだよ。ちょっと味が薄かったから俺が消費してやったんだ。感謝すべきだね。それにたかが唐揚げだろ、むしろ今から作ったほうがいいじゃん。作りたてのほうがおいしいに決まってる」と悪びれもせず言い放ったそう。見ると唐揚げやポテトはほぼ全滅。楽しみにしていた主役の長男くんがショックで大泣きすると、夫は「食い意地が張ってるなぁ」と吐き捨てたというのです。
Aが「せっかく来てもらったのに、もてなすものがなくて……」と申し訳なさそうに肩を縮めていると、2階から噂のAの夫が降りてきました。すると、Bが咄嗟に機転を利かせます。Bはあと2つしか残っていない唐揚げを指さして「この唐揚げおいしそうですね!」と言いました。Aの夫は「いや、でもちょっと薄味かもしれないっす~」と笑いながら返すと、Bは状況が分かっていないふりをして「あ、ご主人が作ってくださったんですか? すご~い! でも、少ししかないようだから、ぜひ私たち用におかわり作ってくださいます?」と、詰め寄りました。
当然Aの夫は表情を一変させます。「まずい」と思ったのか黙り込んでしまいました。即座に長男くんが、「違うよ! 作ったのはママ! パパが全部食べた!」と喚きます。さらにAも「1ミリも関与しなかった人が『味が薄い』だの何言ってるのかしら」と強い口調で迫りました。
周囲の冷ややかな視線を浴び、逃げ場のない状況になったAの夫は、引きつった笑いを浮かべるしかありません。「うーん、唐揚げは無理だけど、お寿司なら……」と苦し紛れに呟きます。すかさず、Aが言葉尻を捉え「わかった、お寿司ね。すぐ特上をテイクアウト注文するから買ってきて!」と一喝。私がすかさず「うわぁ、お詫びにお寿司を奢ってくれるなんて、やっぱりご主人は太っ腹ですね!」と同調すると、もはや断れない空気に。Aの夫は渋々急いで注文品を取りに走り、結局、全員分の特上寿司を自腹で奢る形になりました。
戻ってきたAの夫は気まずそうに「俺は少し出かけてくるから」と言い残し、お寿司を置いて外出。届いたお寿司を前に長男くんにも笑顔が戻り、無事にパーティを楽しむことができました。
後日、Aから「あの事件以来、夫は食べる前に必ず確認するようになった」との報告が。しかしあの日、何度も口頭で伝えていたにもかかわらず食い荒らされたAは、夫のことを全く信用できないようで、「話して通じない相手にはこうでもしないと」と、しばらくは冷蔵庫用の鍵を購入してつける徹底的な対策をとったそうです。Aが不在になると、冷えた飲み物はウォーターサーバーの水だけ、さらに冷蔵が必要な食べ物にも手を出せなくなった夫は、その不便さにさすがに観念したのかAに「もう勘弁してくれ! 俺が悪かった!」と必死に謝罪。二度と食い尽くしはしないと約束し、今では鍵は取ってあるようですが、ゲスト用の料理にはデカデカと『食べるな危険』の付箋を貼っているのだとか。それから食い尽くしも起きていないとのことなので、相当堪えたのでしょう。
Aは、結果的に夫婦のルールを再構築する良いきっかけになった、と言います。私も、夫婦間での認識の共有やルールを守る、破らせないための工夫が大切だな、ということを改めて学んだ出来事でした。
著者:工藤小夜/30代・ライター。1歳の女の子を育てるママ。好奇心旺盛でおちゃめな娘に振り回されながら、日々癒されている。口癖は「今日の夕ご飯何にしよう……」であり、日々の献立に頭を悩ませている。
作画:ryo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)