突然、娘の送迎に協力的になった夫
ある日、私が体調を崩して娘を迎えに行けなくなり、たまたま休みだった夫に娘の迎えを頼みました。この日を境に自らすすんで娘の送迎をするようになったのです。
娘のピアノの先生は、音大を卒業したばかりの20代の美しい女性。夫は少し見栄っ張りなところがあり、普段から身なりに気を使っていたのですが……。ただ娘の送り迎えに行くだけなのに、わざわざ髪をセットしたり、香水をつけたりして出かけるのです。
夫が若い先生に心を奪われている気配をうっすらと感じ取りつつも、先生は夫の一回り以上も年下で、何より大切な娘の講師です。いくら夫でも、そこまで非常識なことはしないはず……。
私は、そんな夫に対して不快感はありましたが、若い先生の前でかっこつけたいのだろうと思い、目をつぶっていました。このときは、まさか本気になるとは思ってもみませんでした。
しかし、夫は自分の羽振りの良さや収入の多さを少しずつアピールし、必死に先生の気を引こうとしていたようなのです。
レッスン休講の日、駐車場での密会
そんなある日、レッスンの直前になってピアノ教室から、先生に外せない急用が入ったとのことで、急きょ休講になったと連絡がありました。
夫はその日、仕事帰りに直接車で娘を迎えに行くと言っていました。すれ違いになってしまってはいけないと思い、私は何度か夫に連絡を入れました。しかし、電話はまったくつながらず、メッセージも既読になりませんでした。
お迎えの時間が近くなっても夫と連絡が取れなかったため、私は娘を近所に住む母に預け、ピアノ教室へと向かいました。教室はすでに閉まっていましたが、裏の駐車場に夫の車が停まっているのを見つけました。近づいて中をのぞき込むと、信じられないことに、夫と先生が車内で抱き合い、キスをしていたのです。
衝撃の光景を目にして、私が立ち尽くしていると、なんと車の中でシートを倒し始め、今にも……という状況に。
気づいたときには、私は夫の車の窓をノックしていました。すると、2人は血相を変えて車の外へ出てきました。言い逃れができない状況で、夫は開き直ったように「俺は運命の相手を見つけた! 離婚でも慰謝料でもお前の好きにしていい! 愛のためなら何でもできる!」と言ったのです。
さらに、「娘とはもう会えなくなってもいい! この街から出て行ってもいい! 彼女と離れたくない!」とまで言いました。悲しいとか、腹が立つとかではなく、完全にあきれてしまい、返す言葉が見つかりませんでした。
先生も夫の腕にしがみつき、夫の言葉を喜んでいるかのように見えました。
愛の代償は1千万円の借金
そのとき、教室のオーナーであり先生の恩師でもあるベテラン講師が、騒ぎに気づいたのか、教室に隣接する自宅から出てきました。状況を察したオーナーは怒りをにじませた低い声で先生を一喝しました。
「生徒の保護者と不適切な関係になるなんて言語道断ですね。教室の信用を著しく傷つける行為です。外せない急用と聞いたので今日のレッスンは休講にしましたが、このことだったのですね。今日限りであなたとの講師契約は解除します」
そして、青ざめる先生と夫に向かって、冷静に言い放ったのです。
「プロを目指して演奏活動をするために購入したグランドピアノ代の約1千万円は、私が個人的に立て替えていますよね? 彼女にはまだ多額の返済が残っていますよ。愛のためなら何でもできるとおっしゃるのなら、それも運命ですね? そちら(夫)が返済してくださるのですか?」
先ほどまでの勢いはどこへやら、1千万円という数字を突きつけられた夫は驚愕し、顔面蒼白に。私は静かに「離婚ね、わかったよ。先生には慰謝料、あなたには慰謝料と養育費を請求するので、そのつもりで」と伝えました。
すると夫は、「ごめん! うそだよ、気の迷いだった! 離婚はなし!」と懇願してきましたが、不倫現場を目撃した私の決意が揺らぐことはありませんでした。
その後の弁護士を通した話し合いで、夫と先生は以前から肉体関係があったことを認めました。私は、先生には慰謝料を請求し、夫には慰謝料と養育費の支払い、親権などについて同意を取り付け、離婚しました。娘はオーナーの配慮で別の信頼できる講師を紹介してもらい、新しい環境に胸を躍らせながら、以前にも増してピアノに情熱を注いでいます。
◇ ◇ ◇
娘の習い事の先生と不倫し、家族を捨てる宣言をしながら、多額の借金を知るや否や態度を翻す夫の姿にはあきれてしまいますね。自分の身勝手な欲望で家族を裏切り、娘の環境まで壊そうとする行為は決して許されるものではありません。パートナーの不誠実な裏切りに直面したときは、弁護士などの専門家を頼りながら、自分と子どもの未来を守るための選択をしたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。