相手は小学生のときからの同級生でした。その同級生は昔から私のことが憎かったようで……?
同級生が私の婚約者を略奪した理由
「あんたは私の人生の邪魔でしかなかったのよ!」「高校受験も、大学のときも、就活のときも私の邪魔をしていたじゃない!」と言って、私の婚約者を奪った同級生。
しかし、私は何もしていないのです。同級生は、高校受験や大学の試験ではカンニングなどの不正をして自滅。就活も空回り。しかし、同級生はなぜか私が先生にカンニングを密告した、人事部にカンニング事件を広めたなどと思い込んでいるのです。
「あんたのせいで大学を出てもろくな仕事が決まらなかったのよ。なのにあんたはいい会社で出世し続けて、ついには社長の息子と婚約だなんて、絶対に許せないわ」
「彼は私に夢中だし、今度は私の番!私が次期社長夫人になるのよ!」
「やっとあんたを見返せるわ~!」
人の幸せを踏みにじった人が幸せになれるわけない……。そう思いながらも、私は何も同級生には言いませんでした。
その日の夜――。
今度は別れたばかりの元婚約者から連絡が。
「お前に頼みたいことがあるんだ」
「俺たちの婚約破棄の理由、お前が浮気したってことにしてくれないか?」
思わず「はぁ?」と返してしまった私。
「俺は地元ではそこそこ知られた会社の社長息子だろ? お前と違っていろいろと立場もあるんだ」「俺の浮気が原因で婚約破棄だってことが広まるとまずいんだよ!」と元婚約者。嘘の婚約破棄の理由をでっちあげて、私に責任を押しつけるなんて……と私はため息が出てしまいました。
「もう両親や友だちには、お前が浮気したってことで話をしてるから」
「もし何か聞かれたらお前もいい感じに話を合わせておいてくれ!」
「嫌なら、ひとりで否定して回れば? まぁ、全員社長息子の俺の言葉を信じるだろうがな!」
元婚約者のあまりの身勝手さに、私は閉口しました。と同時に、こんな人と結婚しなくてよかったのかもしれない……とも思い始めました。
豪華な結婚式への招待
2週間後――。
「ねぇねぇ、私たちの結婚式の招待状ってもう届いた?」とメッセージを送ってきた同級生。私が受け取った招待状はとてもいい紙でできた、おしゃれなものでした。
「プロのデザイナーにお願いしたの! 特急でお願いしたから料金もすごく高かったんだけど、彼が全部払ってくれたんだぁ~!」
どうやら2人は、私と元婚約者がもともと予約していた式場と日取りを、そっくりそのまま使うことにしたようです。
「友だちみーんな呼んで、たくさんの人にお祝いしてもらうの」
「彼が根回ししてくれてるおかげで、婚約破棄の原因は全部あんたってことになってるし、略奪婚のことなんて誰も知らないから」
「むしろ、あんたがのこのこ会場に来たらみんな驚くでしょうね~?」と同級生。
さらにこう続けました。
「社長息子の婚約者を奪ってごめんねw」
「1000万円の超豪華挙式にするから絶対来てよね♡結婚式台無しにしないでよ~♪」
思わず私が「大丈夫。中止になるから」と返信すると、さすがに驚いたのか、腹が立ったのか、「は?」という一言。
私が強がっていると思ったのでしょうか、同級生は「あ~、あんたは大事な婚約者を奪われた負け組だもんね?」「私の結婚式が台無しになれーって祈ることしかできないなんてかわいそう!」と言ってきました。
けれど、私は祈っていたわけでも、強がっていたわけでもありません。実はこのころ、共通の知り合いから「あの式に出るつもりはない」という声が、ちらほらと私の耳にも入ってきていたのです。
そして――私の予想は、見事に当たることになりました。
誰も来ない結婚式
そして、結婚式当日――。
「どうして……なんで社長息子の結婚式なのに、友だちも会社関係の人も来てくれないの!?」「1,000万もかけた結婚式が台無しじゃない!」と叫ぶドレス姿の同級生。招待客からの欠席連絡は式の前から相次いでいたそうですが、元婚約者はそれを同級生に隠しており、彼女は当日まで何も知らされていなかったようです。
私は約束どおり、結婚式に参列しました。しかし、私以外の参列予定だった人たちや社員、そして新郎のご両親までもが結婚式に来なかったのです。とても広くてきれいで豪華な式場だっただけに、あまりに違和感のある光景になっていました。
「あんたが何かみんなに言ったんでしょ!」と私を責める同級生に、私は「うん。聞かれた人には、あなたが私から婚約者を奪って結婚するんですって、本当のことを話しただけだよ!」と返しました。
「彼は『みんな俺の言うことのほうを信じる』って言ってたけど、みんな私の言葉を信じてくれたみたい」「日ごろの行いのおかげかな?」「ちなみに、彼のお父さん……現社長は最初から気づいていて、社員たちにも『参加しなくていい』って言っていたみたい」
「そ、そんな……それじゃ、私たちの結婚は……誰も祝ってくれないの?」と激しく動揺する同級生。私が「ガラガラの結婚式で、あなたのご両親も困惑してたから私から状況を説明しておいたよ」「最初はびっくりしてたけど、この光景を見て納得してくれたみたい」と畳みかけると、同級生はくずれてしまいました。
結局、その日の挙式は取りやめとなったのです。
その後――。
社長は自分の息子に会社を継がせないことを宣言。「息子が誰と結婚しようがそれは息子の自由だが、私たちは断じて認めたわけではない」と言っていました。
もともと、式場と契約したのは元婚約者本人で、その費用を父親である社長が負担する予定だったそうです。元婚約者と同級生は、それをあてにして豪華な式を計画していました。けれども息子の愚行にお怒りの社長は「自分たちで払いなさい」と宣言。
すでに予約や準備が進んでいたぶんの支払いは取り消せず、2人は約1,000万円もの負債を抱えたまま新婚生活をスタートすることになったのです。元婚約者は跡継ぎの座を失ったうえ、会社にも居づらくなって自ら辞めたようなので、今は転職活動中でしょう。地元は顔見知りも多いので、どこへ再就職しようにも働きづらいのではないでしょうか。
一方の私は、気持ちを切り替えて仕事に打ち込みました。そのおかげで、来春には昇進が決定。ますます生活が充実しそうだと期待に胸を膨らませています。
◇ ◇ ◇
誰かを傷つけてまで手に入れた幸せが、心からの満足につながるとは思えません。嘘やごまかしで築いた関係は、どこかでほころびが出てしまうのかもしれません。声を荒らげて誰かを言い負かさなくても、日ごろの行いや積み重ねてきた信頼は、いざというときに自分を支えてくれるものなのでしょう。相手を変えようとするよりも、自分なりに誠実に過ごしていくこと。その積み重ねが、めぐりめぐって自分を守ることにつながるのだと感じさせられますね。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
編集部も考えて記事にしようぜ