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手足に力が入らず、診察室で倒れた私。主治医に明かせなかった鎮痛薬の服用とは【医師解説あり】

私は2つの病気を抱えながら暮らしている40代後半の女性。数年前から体に現れるさまざまな症状に悩まされています。近ごろ耐えられなくなったのは、関節痛。私はあまりの痛みに、処方薬に加えて市販の鎮痛薬も服用してしまい……。その後、大変な事態を招き、自分の考えの甘さを思い知ることになるのです。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師菊池大和先生
医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長

地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
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鎮痛薬が腎機能に悪影響を及ぼすことも

私が抱える2つの病気は、腎臓の尿細管の機能異常により低カリウム血症や低マグネシウム血症などを引き起こす「ギッテルマン症候群」と、免疫が誤って自分の組織を攻撃する自己免疫疾患の「シェーグレン症候群」。どちらも長期的な治療や管理が必要となる病気です。

 

それぞれ症状や治療法が異なるため、一方の病気に対する治療が、もう一方の病状や腎機能に影響することがあります。

 

例えばシェーグレン症候群による痛みを抑えるために使用する鎮痛薬の中には、腎機能に悪影響を及ぼすものがあります。私の場合、主治医から鎮痛薬の使用は最小限にするよう指示されていました。

 

関節痛で鎮痛薬を手放せない私ですが、このリスクを軽く考えたことが、大変な事態につながっていくのです。

 

「鎮痛薬は絶対だめ!」と注意され深く反省

ここ数カ月、何をしてもすぐ疲れ、手足に力が入りにくく、体のあちこちの関節が痛む状態が続いていました。ある日、私は腎臓内科の定期受診のため、自宅から離れた大きな病院へ行きました。

 

採血の結果が出て診察室に呼ばれると、主治医は私の顔を見るなり、「具合がよくないんじゃない? ふらつきませんか?」と尋ねました。採血の結果、腎機能を示す数値が悪化し、ギッテルマン症候群の病状の目安となるカリウム値も、かなり低下しているというのです。

 

主治医は

「どのくらい鎮痛薬を飲んでいるの? 鎮痛薬は腎臓にダメージを与えることがあるから、最小限の処方にしているはずだけど」

 

「このまま腎機能の悪化が続けば、将来的に人工透析が必要になる可能性もあるよ。鎮痛薬はもう絶対にだめ。僕が今、処方している鎮痛薬も飲まないようにしてください。関節痛に耐えられないなら、一刻も早く別の方法で痛みを抑えることを考えなければなりません 」

 

と告げました。

 

実は私は、主治医から処方された鎮痛薬をすでに飲み切っており、その後、市販のロキソニンや、以前別の病院で処方されて残っていたセレコックスなど、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される鎮痛薬も服用していたのです。

 

しかし、そのことを主治医にはとても明かせませんでした。4時間ほど間を空ければ飲んでもいいだろうという安易な考えだったのです。あとで調べた際に、NSAIDsは腎臓への血流を減らすなどして、腎機能を悪化させることがあると知りました。

 

私はひどく後悔し、深く反省しました。そして診察を終えて退室しようとした、そのときです。

 

 

「大丈夫ですか!」遠くで主治医の声が…!

診察室の椅子から立ち上がろうとすると、手足に力が入りません。それでも私は何とか立ち上がり、主治医にあいさつをして振り返ったとき、一瞬、目の前が揺れたように感じ、倒れ込んでしまいました。

 

「大丈夫ですか!」

 

遠くで主治医の声が聞こえましたが、強い脱力感で起き上がることができませんでした。その後、車椅子で処置室に運ばれました。

 

私は、カリウムを含む点滴を受け、そのまま安静にして眠っていたそうです。

 

主治医からは、私が目を覚ました際に「血清カリウム値がかなり低かったことに加え、朝食を食べていなかったこと、薬の影響による低血圧など、さまざまな理由が重なったからではないか」と、説明を受けました。続けて「しっかり水分をとって、休みながら無理をされないでくださいね」と、気づかいの言葉まで……。

 

私は、痛みを我慢できず自己判断で鎮痛薬を服用したことが、今回の事態につながったのではないかと思い、自業自得だと感じました。私は2つの病気を抱えており、それぞれの担当医が状態や経過を見ながら、薬の種類や量を調整しています。それにもかかわらず、指示どおりに服用する必要性を甘く考えていました。

 

夕方、やや回復した私は、主治医の了解を得て何とか帰れることになりました。帰路、自らの失敗を悔やむ気持ちでいっぱいでした。

 

まとめ

「4時間ほど空ければ大丈夫だろう」と自己判断し、主治医に相談しないまま鎮痛薬を服用していた私。診察室で倒れたことで、薬の使い方を軽く考えていた自分に気づき、主治医に相談しなかったことを深く反省しました。

 

幸い、点滴後に体調は回復しました。2つの病気を治療する私にとって、担当医が病状や薬の影響を見ながら調整していることを改めて実感。市販薬を使用するときも事前に担当医へ相談し、用法・用量を守る大切さを身をもって学びました。

 

医師による解説:持病がある人が鎮痛薬を使う際の注意点

ギッテルマン症候群では低カリウム血症、シェーグレン症候群では関節痛が見られます。持病がある場合は、市販薬を含めた鎮痛薬の使い方に注意が必要です。

 

低カリウム血症で起こる体の変化

ギッテルマン症候群は、腎臓の尿細管の機能異常により、血液中のカリウムなどが不足しやすくなる病気です。カリウム値が低下すると、疲れやすさや脱力感、手足の力が入りにくいといった症状が現れることがあります。

 

一部の鎮痛薬は腎機能に影響する

鎮痛薬のうち、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、腎臓への血流を減らし、腎機能を悪化させることがあります。特に、もともと腎機能が低下している人や、脱水状態にある人は注意が必要です。ただし、すべての鎮痛薬が同じように腎臓へ影響するわけではなく、病状に応じて薬の種類や量を調整します。

 

市販薬も事前相談が大切

市販薬には、処方薬と同じ成分や似た作用を持つ成分が含まれていることがあります。服用間隔を空ければ必ず安全というわけではなく、重ねて服用すると副作用につながる可能性があります。

今回の体調悪化が市販の鎮痛薬だけによるものかは断定できませんが、持病があり、定期的に薬を服用している場合は、市販薬を使用する前に主治医や薬剤師へ相談することが大切です。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

監修:菊池大和先生(医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長)

著者:琥珀乃 たびと/40代独身女性。契約社員として働く。高齢の両親と3人暮らし。現在、父は介護施設に入所中。珈琲とパン、甘いものが好きな食いしん坊。

イラスト:sawawa

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)

 

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