両親の店を乗っ取った兄夫婦
長年料亭で修行してきた父が和食料理店を立ち上げたとき、僕も母もそこで働くことになりました。常連客も多くて忙しい日々でしたが、毎日充実していて、このままずっと両親と共にお店を続けていけると思っていました。
ところが、ある日長年実家に寄りつかなかった兄夫婦が突然帰省したことで、大きく変わりました。
兄夫婦は「自分たちが店をもっと大きくしてみせる」と巧みな話術で両親を言いくるめました。過去に兄の進学費用を十分に援助できず、僕の修行ばかりを応援してしまったということがあったため、両親は兄夫婦に負い目を感じていたよう。兄夫婦の熱意を信じ、店の代表を兄に交代することを決めてしまったのです。
さらに兄は、「こんな古臭い和食料理店は儲からない。俺たちがコンサルを入れて『映え重視』のモダンダイニングにするから、お前らはクビだ」と吐き捨て、僕たちを店から追い出しました。 突然居場所を失った僕と父、母の3人は、途方に暮れてしまいました。
声をかけてくれたのは
新しい職場を探し始めた僕たちに声をかけてくれたのは、とある女性でした。彼女は以前会社員をしていて、かつての店に来てくれるたびに僕の料理の腕を褒めてくれた常連客です。
その一方で僕は、いつも笑顔で料理を食べてくれる彼女に、密かに心惹かれていました。 ある日、暗い表情で街中を歩いていた僕たちを心配した彼女が、「何かあったんですか?」と尋ねてくれて……。
僕たちは近くの喫茶店に入り、兄夫婦に店を奪われたことを素直に打ち明けました。 すると彼女は「なんですか、それ!」と顔を真っ赤に。まるで自分のことのように怒ってくれた彼女に、僕は少しだけ心が救われました。 そんななか、彼女から「もしよかったら、私のお店で一緒にやりませんか?」と、予想外の言葉が飛び出てきて……。
詳しく話を聞くと、実は彼女は半年前に祖母を亡くしており、会社を辞めて祖母が経営していた店を継いだものの、なかなか経営を軌道に乗せられず悩んでいたとのこと。腕の確かな料理人を探していたようです。 彼女の提案は僕たちにとっても願ってもないことでした。僕たちはすぐに承諾し、ここから4人で一緒に頑張っていくことになりました。
突然やってきた兄夫婦の要望は?
新メニューを開発し、おいしい料理を提供し、温かい接客を心がけました。4人で力を合わせて店を盛り立てていった結果、僕たちの店は次第に評判に。かつての和食料理店に来てくれていた常連客も戻ってきて、にぎやかな毎日を送っていました。
そんなある日のこと。僕たちが開店準備をしていると、突然兄夫婦がやってきました。 かつての常連客から、僕たちのことを聞いてきたようでした。「なんでこんなところにいるんだ!」という兄に、僕は「だって、新しくお店を始めたからね」と事の顛末を説明。
実は、僕たちを追い出したあとに始めた兄夫婦の店が、経営危機に陥っていたそうで……。 見栄えはよくても料理の味が落ちたようで、素人同然の接客態度も最悪。あっという間に客足が途絶えたようでした。
兄は「お前は弟なんだから、俺の店でタダで働け!」などと、図々しい要求をしてきました。 僕は「料理は小手先のレシピだけで作るものじゃない。料理のことも経営のことも何もわかっていないお前らに、店を任せることはできない」と、きっぱり拒否。 それでも兄夫婦は、僕たちにすがりつこうとしました。 そこで僕は、「これ以上ここで騒ぐなら営業妨害になるので、警察を呼びます」と伝えました。 さすがに警察沙汰になるのは避けたかったのか、兄夫婦は渋々店から出て行きました。
僕たちと兄夫婦の現在
その後、兄たちは店を立て直すために一生懸命働いているようです。
一方僕は、僕や両親に声をかけてくれた彼女と共に苦楽を乗り越えていくうちに、彼女への思いがより一層強くなっていきました。 そして彼女も同じ気持ちだったようで、正式に交際がスタート。 これからも4人で力を合わせて店を切り盛りしながら、笑顔の絶えない日々を送りたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!