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「おしりに挟まっているのは何?」温泉で気付いた母の異変。翌日の受診でわかった病気【医師監修】

婦人科系の疾患の中には、自覚症状が乏しかったり、前兆があっても病気とは気付きにくかったりするものがあります。今回は、知らない間に同じ病気を患っていた2人の体験談を紹介します。

 

度々トイレへ駆け込む…気になった母の頻尿

子宮脱体験談 イメージカット

 

母が50代のとき、父と母、私、妹の家族4人で温泉旅行へ行きました。隣県の泉質が良いと評判の温泉で、わが家からは1時間ほどのドライブで到着です。

 

出発前、父は「山道を通るから、トイレに行っておけよ」と家族に告げ、私たちもトイレを済ませてから車に乗り込みました。ところが車が走り出して15分したとき、母が「トイレに行きたい」と言いだしたのです。「先に行っておけって言っただろう」と父はイライラしています。しかし、母は「さっきも行ったのに、また行きたいのよ。年のせいかもしれないわ」と悲しそうでした。

 

仕方なく父は山道をUターンして、最寄りのコンビニで母を下ろしました。「最近、頻尿なのよね」と悩む母。しばらくして旅館に到着してからも、母は急いでトイレへ向かっていました。

 

湯船に向かう母の後ろ姿を見てびっくり!

旅館到着後、温泉好きの私たちは早速大浴場へ向かいました。せっかちな母は私たち姉妹よりも早く体を洗い、湯に入ろうとしています。私は「本当に温泉好きだよね」と言いながら、母の後ろ姿を見ました。

 

すると、母のおしりのあたりに何か赤い丸いものが挟まっているように見えるのです。タオルを挟んでいるのかと思いましたが違います。妹に話すと「お母さん、もしかして子宮脱ってやつなんじゃない?」と言いました。

 

慌てた私は母のもとに駆け寄り

 

「お母さん、もしかして子宮脱になってない?」

 

と確かめました。すると、母は「え! どういうこと?」と聞き返してきました。「おしりに何か挟まってるように見える」と話すと、母は、おそるおそるおしりを触ってみました。

 

すると

 

「あ、何かあるわね。おかしいとは思ってたのよ……」

 

と悲しそうな声。「頻尿もこのせいだったのかしら」と言い、次の日に病院へ行ってみることにしました。

 

告げられた病名は?

温泉でゆっくりした翌日、私は母を婦人科へ連れて行くことに。予想どおり、骨盤臓器脱の一種である子宮脱との診断でした。

 

骨盤臓器脱は、出産や加齢などにより骨盤底の支持組織が弱くなり、骨盤内の臓器が下がる病気で、頻尿や尿漏れも症状の一つだそうです。母も、最近頻尿に悩み、くしゃみやちょっとした動作でも尿漏れが起きるのが気になっていたと言います。

 

「恥ずかしくて家族には言えなかったけど、ずっと悩んでいたの」と話していました。幸い、母の場合はすぐに手術が必要な段階ではなかったようで、まずは婦人科で指導された骨盤底筋体操で筋力の維持を図りながら、経過を観察することになりました。

 

 併せて、病院のアドバイスで購入した骨盤底サポーター(専用の下着)で下から支えることで、臓器の脱出による違和感や尿漏れが軽くなり、以前よりもずっと快適に暮らせるようになったそうです。

 

◇◇◇◇◇

 

温泉旅行で判明した母の意外な病気。子宮脱という言葉は聞いたことがありましたが、実際の病状を目にしたときは、ただ驚いてしまいました。

 

股に何かが触れるような違和感や、腟から何かが出ているように感じる場合は、骨盤臓器脱の可能性があります。ただ、症状の尿漏れや骨盤周りの不調は、母のように恥ずかしくて人に話せない場合も多いでしょう。

 

しかし、症状が進行する可能性もあります。体に異変があるときは、恥ずかしくても、早めに病院で診てもらうようにしなければ、と思わされた出来事でした。

 

監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)

2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。

 

著者:田川ゆうこ/30代女性。体型の悩みは出産がきっかけなのか自分がきっかけなのか、悩む三姉妹の母ライター。今年こそダイエット卒業したい。

イラスト:ほや助

 

 

「子宮が出てしまう!?」医師から告げられた病名

子宮脱体験談 イメージカット

 

32歳で長女を産み、子育てに仕事に忙しくしていた私。本当はもう1人子どもが欲しかったのですが、自然に任せているうちに42歳に。毎月規則正しく来ていた生理も不順になり、いよいよ閉経を意識する年齢となってしまいました。「もう子どもを産めないのか……」と実感した途端、どうしても子どもが欲しくなった私は、産婦人科を受診することにしたのです。

 

まずは相談だけでもと思い、不妊治療専門のクリニックではなく、家の近くの産婦人科へ行くことにしました。

 

ところが、「受診目的」の欄で思わず手を止めてしまいました。いい年をした私が「妊活希望」と書く勇気はなかったのです。そこで、その日はひとまず「定期健診」という名目で診察を受けることにしました。

 

待ち時間の合間に、思い切った行動を取った自分に驚きつつも、夫へ妊活のことをどう切り出そうかを考えました。「いきなり妊活したいと言ったらびっくりさせてしまうかな……」とも思いましたが、年齢的にはもう後がない私。「なるべく早く夫に相談しなければ」と妊活に向けてある程度覚悟が固まっていくのを感じました。

 

しばらくして名前を呼ばれたため、診察室へ。何回受診しても慣れない診察台に緊張しながら腰かけると、すぐに医師の診察が始まりました。しかしそこで私は、医師から衝撃の病名を言い渡されたのです。

 

私が言い渡された病名は…

診察を受けた私が医師から伝えられた病名は「子宮脱」。子宮脱とは、子宮を支える骨盤底の筋肉や靱帯などが弱くなり、子宮が腟のほうへ下がり、進行すると子宮の一部または全部が腟の外へ出ることもある病気だと説明されました。分娩経験者に多い病気だそうですが、閉経後に多くみられ、50代以降で増えると説明されました。

 

私は程度が軽く、自覚症状もなかったため、医師に指摘されるまで気付かなかったのです。話についていくのが精いっぱいの私に、医師は「子宮脱の治療は、症状の程度や生活への支障に応じて、ペッサリーによる保存的治療や手術を検討します」と説明しました。

 

ペッサリーとは、腟に挿入するリングのこと。ペッサリーを腟内に挿入することによって、下がってきた子宮を支える治療のようです。ですが、ペッサリーは症状を軽減するための保存的治療。ペッサリーで経過を見る中で、症状が進行したり日常生活への支障が大きくなったりした場合には、手術が選択肢になることもあるということでした。

 

さらに医師は手術について「子宮脱の手術は、症状や希望に応じて子宮摘出や子宮温存手術がおこなわれます」と話を続けました。

 

たしかに、閉経前後は、妊娠・出産を望んでも年齢的に難しさが増していく時期ではあるのかもしれません。ですが、妊活目的で受診した私にとっては、あまりにも衝撃的な話でした。

 

幸い私の場合は症状が軽いため、現時点ではペッサリー療法や手術のどちらも必要がなく、日常生活で困っていないのであればこのまま様子を見ていいとのこと。ですが、発症年齢が早かったことから、いずれは何かしらの治療が必要になるかもしれない、と医師に告げられました。

 

子宮脱と診断されたその夜

妊活のことを相談に行ったつもりが、まさかの子宮脱。自分の体がそんな状態になっていることを知り、私はショックを受けました。

 

やさしい医師だったため、もしかしたら妊活について相談しても、きちんと話を聞いてくれたのかもしれません。ですが、閉経前後の女性に発症しやすい病気であることと、手術の方法によっては、将来的に子宮を摘出する可能性もあると聞き、私はまるで自分が大切なものをひとつ失ってしまうような気分になったのです。

 

私はこれ以上「妊活」の相談をする気にはなれず、医師にお礼を言い、そのまま診察室を後にしました。

 

思ってもみなかった子宮脱という病気。まさか妊活を始めようと覚悟したタイミングで、判明するとは思いませんでした。突然の出来事に、私は自分が思った以上にショックを受けていたのかもしれません。どうやって病院から帰ってきたのかよく覚えておらず、気付いたら家の前に立っていました。

 

家に帰ってからの私は、なるべく病気のことを考えないように努めました。いつもと同じように食事を作り、いつもと同じように娘と夕食を食べ、いつものように入浴……。産婦人科へ受診した事実など、まるでなかったかのように振る舞いました。もちろん、仕事から帰ってきた夫にも、産婦人科に行ったことは伝えていません。

 

◇◇◇◇◇

 

本当は2人目が欲しかった私ですが、これまで自然に任せていてできなかったことや、子宮脱を指摘されてしまったことから、「これは神様がもう諦めるように言っているのかも……」と思うようになりました。

 

調べたところ、子宮脱になったからといって妊娠できないと決まったわけではなさそうです。とはいえ、自然妊娠を望もうにも、毎月の生理はバラバラ。夫婦生活もほとんどないため、私が妊娠することはもうないのかもしれないと思いました。

 

ですが、私たち夫婦の元に来てくれた長女が、たった1つの大切な宝物であることに変わりはありません。娘の寝顔を見ながら、これまで以上に大切にしていこうと思いました。

 

監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)

2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。

 

著者:いけがきみく/30代女性。不妊治療を経て結婚7年目に待望の第1子を出産。産婦人科で勤めていた経験を活かして、寄せられた体験談をわかりやすく伝えられるよう執筆している。

 

まとめ

骨盤臓器脱は、軽い違和感や下垂感から始まり、症状が進むまで気付きにくいこともある病気です。今回の2つの体験談からは、自覚症状が乏しくても、体の小さな変化が病気に気付くきっかけになることがあると感じられました。受診をためらう気持ちを抱える人も少なくありませんが、異変に気付いたときに相談できる環境の大切さを改めて考えさせられるエピソードでした。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています

 

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