年が明けて2019年分(平成31年1月1日~令和元年12月31日)までの還付申告の受付が始まり、書類を整理している方もいらっしゃると思います。その中で医療費控除の対象となるかどうか分かりにくい項目もあります。その中で妊娠・出産に関わる項目を中心にお伝えします。
医療費控除とは
医療費控除とは、所得税・住民税(市区町村民税・都道府県民税)に適用され、自身や家族のために医療費を支払った場合に対象となる所得控除です。手続きは原則として医療費が10万円を超えた場合、住所を管轄している税務署に確定申告書を提出し、その後所得税・住民税が減額または還付されます。医療費控除の対象となる医療費には該当するもの、該当しないものがあります。
次の項目で妊娠・出産に関して該当するもの、該当しないものの概要をお伝えします。
妊娠・出産について医療費控除に該当する主なもの
医療費控除に該当する「医療費」の範囲は医療機関に支払わないものでも、病院までの公共交通機関の交通費のように該当するものがあります。妊娠・出産時に主に医療費控除に該当する費用等は以下のとおりです。
①妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用
②妊娠と診断されてからの通院費用
③通院・入退院時に電車、バスなどの通常の交通手段での通院・入退院が困難な場合、タクシーを利用した場合、そのタクシー代
④病院に対して支払う入院中の食事代
⑤助産師による分娩の介助費用
⑥病院都合による差額ベッド利用料、個室利用料
⑦不妊治療の費用
なお、平成29年分の確定申告から、医療費控除に関する領収証は提出が不要となり、「医療費控除の明細書」を添付する代わり領収証は申告者が保管することとなりました。
妊娠・出産について医療費控除に該当しない主なもの
医療費控除に該当しない「医療費」の範囲は医療機関に支払うものでも、診断書の費用や予防接種費用のように該当しないものがあります。妊娠・出産時に主に医療費控除に該当しない費用等は以下のとおりです。
①里帰り出産するために実家に帰省する交通費
②通院・入院時の自家用車のガソリン代、駐車場代
③入院の際の寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用
④病院食以外の外食、出前、売店などで購入した食事費用
⑤無痛分娩講座の受講費用
⑥予防接種の費用
⑦自己都合で希望する場合の差額ベッド利用料、個室利用料
⑧診断書の作成費用
該当しないものの考え方としては、治療・療養・分娩に直接関わらない費用です。予防や美容に関する費用、テレビ料金や文書料金などの医師や看護師等の治療行為に該当しない費用は原則医療費控除の対象外と考えてください。不明な点は最寄りの税務署への確認または国税庁ホームページをご参考になさってください。
出産時には普段よりも医療費がかかるケースが一般的で、家計への負担も少ない場合があります。そのためにも医療費に関する領収証をまとめ、お早めに還付申告をしてその負担を軽減できるようになさってください。また、出産直後で手続きが難しい場合でも確定申告期間にかかわらず5年間は申告できますので、余裕のあるタイミングで還付申告をすることをおすすめします。