仕事中にいきなり「お義姉さんに私のことをとやかく言われる筋合いないから」と連絡をよこしてきた義妹。
送られてきたメッセージを読み進めると、わが家に置いてあった通帳を発見したそうで……?
通帳の持ち主
「お義姉さんの通帳見ちゃったんだけど、残高327円?」
「仕事してるのに貧乏すぎてウケる!」
「それ、誰の通帳だと思ってる?」
「え?」
義妹がわが家に住むようになってから、私は自分と夫の通帳を寝室のクローゼットの奥にしまうようにしていました。人目につく場所には置いていなかったので、義妹が見られるはずはなかったのです。
唯一、鍵なしの引き出しに保管していたのは義妹本人の通帳。義妹が実家に置きっぱなしにしていたものを、夫が義両親から預かってきたのです。義妹は、それがわが家にあるとは知りませんでした。だから引き出しの通帳を見て、てっきり私のものだと思い込んだのでしょう。そして、私の貯金額が327円しかないと思い込み、「そんな私に自分のことをとやかく言われる筋合いはない」と、あのメッセージを送ってきたのです。残高の額に飛びついて、表紙の名義を確かめようともしなかったのでしょう。
「……ほんとだ、私の名前だ」「これ、私の口座だったの……?」と義妹は気まずそうに黙り込みました。共働きで、それなりに貯金もしている私の残高が327円のはずもありません。
「何度も言ってるけど、そろそろ本気で仕事を探したほうがいいと思う」と伝えると、義妹はばつが悪そうに「……はい」とだけ返しました。
こりない義妹
1週間後――。
ことの経緯を知った夫からもこってり絞られ、しばらくおとなしくしていた義妹。そんな義妹から、「そろそろ仕事を探そうと思って……」と切り出されたのですが、続く言葉に私はあ然としてしまいました。
「それでね……面接用に、ちょっとお金を貸してもらえないかな」
目をまん丸にしていると、さらに義妹は続けて「面接用のバッグ、ちゃんとしたブランドのが欲しくて」と切り出してきたのです。金額を尋ねると、義妹は悪びれる様子もなく「5万とか、10万とか」と口にしました。
やんわり断ると、義妹は「じゃあこのまま働かなくてもいいってこと?」と、こちらが折れるのを待つような言い方をしてきました。
就活にそこまでの出費は要らないと伝えても、義妹は納得しません。それどころか「でも来月同窓会もあるし……」「みんなの前でみすぼらしい格好はしたくないんだよね」と、本音は別のところにあるような言い方で食い下がってきました。
それでも私が首を縦に振らないでいると、義妹は苛立った様子で「もういい、お兄ちゃんに頼むから」と言い放ちました。さらに「お義姉さんにきつく当たられて働く気をなくした、とでも言おうかな」と、こちらを試すような口ぶりで付け足したのです。
義妹に喝を入れた人物
「そんなこと言っても、僕はお金は貸さないよ。むしろ、そういう態度なら本気で出ていってもらうことになる」
私と義妹のやり取りに割って入ったのは、夫でした。私たちの口論の最中に帰宅して、リビングのドアの向こう側で様子をうかがっていたそうです。
「うちに転がり込んできたとき、僕の前では泣きながら謝ってたのに……あれもその場しのぎだったんだな」
「前から父さんたちとも話してたんだ。お前がこの家に甘えてる限り、いつまでも変わらないってことは、みんなわかってる」「悪いけど、そろそろこの家を出て、自分で生活してみたほうがいい」
本気の口調に、義妹の表情が固まりました。これまで何を言われても最後は兄が味方してくれると思っていたのでしょう。その兄からはっきり突き放され、義妹は言葉を失っていました。
「父さんたちにも、もう甘やかさないでほしいと伝えてある」「このままだと本当にお前のためにならないんだ」と言う夫に、義妹は「それはちょっと待って……」「ちゃんと仕事は探すから」と動揺した様子で食い下がりました。
しかし夫は「今回ばかりは本気だからな」と、取り合いませんでした。
その後――。
さんざん抵抗していた義妹でしたが、夫も義両親も本気だと悟ったのか、最後はしぶしぶわが家を出ていきました。いまは実家に戻り、義両親のもとから仕事を探しているそうです。
やはり妹のことが気になるようで、夫は時折実家に連絡して様子を聞いています。「あの図々しさや金銭感覚が少しでも直っていればいいんだけど……」と言っていました。
夫には言えませんが、義妹の性格がそう簡単に変わるとは思えません。それでも、少しずつでも変わってくれることを願いつつ、また同じことが起きないよう、私なりに備えだけはしておこうと思っています。
◇ ◇ ◇
家族だからこそ、遠慮のなさが行き過ぎてしまうことがあるのでしょう。関係のこじれは、どちらか一方が悪いというより「なんとなく我慢して受け入れてきた」積み重ねから生まれることが多いのかもしれません。身近な相手でも、線を引くべきところは引く——そんな姿勢も時には必要なのだと、考えさせられますね。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。