会社の規模や学歴で見下す担当者
初回の打ち合わせには、A田先輩と私、そして父の会社から担当者のB山さんとC川さんが参加しました。
ところが、2人は席に着いても私たちとほとんど目を合わせず、どこか面倒くさそうな様子。「コンペで選ばれたとはいえ、ずいぶん小さい会社だな」「本当にここに任せて大丈夫なのか?」と小声で話しているのも聞こえてきました。
さらに、会話の流れで出身大学の話になると、「なるほどね。だから聞いたことのない会社なのか」「俺たちは有名大学を出て、この会社に入ったんだ。まあ、小さい会社なら学歴なんてあまり関係ないのかもな」と、会社の規模や学歴を持ち出して私を見下すような発言までありました。
打ち合わせ後、私はA田先輩に2人の言動について相談しました。先輩も取引先への態度として問題があると考え、父の会社の責任者へ状況を伝えることに。その後、2人は直属の上司から注意を受けたそうです。
先方からは担当変更の提案もあったそうですが、企画がすでに動き始めていたこともあり、A田先輩は「今後きちんと対応してもらえるなら、このまま進めたい」と話していました。私は先輩の判断を尊重し、しばらく様子を見ることにしました。
注意されても変わらない態度
後日、B山さんとC川さんが再び打ち合わせにやって来ました。
「先日はどうも、すみませんでした」と一応は謝罪されたものの、言い方はどこか軽く、その後もこちらを見下すような態度は続きました。
そこで、A田先輩から先方の責任者へ改めて状況を伝えました。それ以降は上司も打ち合わせに同席するようになり、大きなトラブルはなくなりました。
そして企画が一区切りついたころ、私はA田先輩の会社を退職することに。実は、父の会社で働くことは以前から決まっていました。大学卒業後すぐに父の会社へ入るのではなく、まず外の会社で経験を積み、その後入社するという話を父としていたのです。
会場で担当者に再会
父の会社への入社を控えたころ、創立30周年を記念するパーティーが開かれました。私も父から招かれており、近く父の会社へ入社することになっていました。
会場に入ると、B山さんとC川さんに再会しました。2人は私を見るなり、驚いたような顔をしました。
するとB山さんは、「もしかして、うちに転職したの? あの学歴でよく入れたね」と、ニヤニヤしながら言いました。C川さんも「前の会社よりずいぶんいいところに入れたじゃん」と、相変わらず人を見下すような口調です。
そのとき、少し離れたところにいた父がこちらへやって来ました。どうやら、2人とのやりとりが聞こえていたようです。
B山さんは父が近づいてきたことにも気付かず、「まあ、これでも飲んでれば?」と、ワインの入ったグラスを乱暴にこちらへ差し出してきました。その勢いでワインがこぼれ、私の服にかかってしまいました。するとB山さんは謝るどころか、「うわ、派手にこぼしたな」と笑いました。
そこへ父がやって来て、「どうしたんだ?」と聞かれました。私が事情を説明すると、父は表情を変えました。
「君たち、私の娘に何をしているんだ?」
「……娘?」
2人の顔から、一気に笑みが消えました。父が「こちらは私の娘だ。来月からこの会社で働くことになっている」と説明すると、2人は言葉を失いました。
私は「前職ではお世話になりました。来月からはこちらで働きますので、よろしくお願いします」とだけ伝えました。
その後、会社ではパーティーでの出来事や、これまでの取引先への言動について改めて事実確認がおこなわれました。その結果、2人には社内規定に沿った対応が取られ、取引先への接し方についてもより厳しく指導されたそうです。
肩書きだけで人を判断しないように
今回の出来事を通して、相手の学歴や所属する会社によって態度を変えることの危うさを感じました。立場がわかった途端に態度が変わる様子を目の当たりにしたからこそ、人への接し方には普段の考え方が表れるのだと思います。
私自身も父の肩書きに頼るのではなく、これまで培った経験を生かしながら、1人の社員として信頼を積み重ねていきたいと思っています。
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肩書きや学歴、所属する会社だけで相手を判断してしまうと、その人自身を見ることができなくなってしまうこともあります。今回の出来事は、相手の立場によって態度を変えるのではなく、どんな相手にも同じように敬意を持って接することの大切さを考えさせられるエピソードでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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