昨年おこなわれた第200回臨時国会において、いわゆる「産後ケア法案」が全会一致で可決成立し、令和元年12月6日付で公布されました。
切れ目ない支援をおこなうために…
わが国では、妊婦健診、新生児訪問、乳幼児健診など、これまでさまざまな母子保健事業がおこなわれてきました。
しかし、少子・高齢社会、核家族化などに伴い、出産し、産院を退院した直後からひとりで育児に取り組まざるを得ないママも少なくなく、その影響もあってか、産後うつを発症し、自殺にまで追い込まれるケースも増えてきています。
このような現状から、妊娠・出産・育児期間に切れ目ない支援をおこなうために「妊娠・出産包括支援事業」が実施されるようになりました。
「産後ケア事業」って何?
妊娠・出産包括支援事業のなかには産前・産後サポート事業と産後ケア事業があります。
産前・産後サポート事業は、子どもを産み育てているママたちの不安や心配事を軽減するために専門家とともに地域の人たちが支援するものです。これには、ママ同士の仲間づくりや悩み事相談などがあります。
一方、産後ケア事業は、産院退院直後のママが心身ともに回復し、少しでも不安なく育児ができるように支援するものです。これには、産後の身体的なケア、授乳をはじめとする育児指導や育児に必要な社会資源の紹介などがあり、専門的な知識や技術を持つ助産師などの看護職が中心となっておこなわれます。
今回可決成立した「産後ケア法案」とは?
今回可決成立した産後ケア法案は、正しくは「母子保健法の一部を改正する法律」(令和元年法律第69号)と言います。今回の法案成立によってこれまで市町村の予算事業としておこなわれてきた産後ケア事業が母子保健法上に位置づけられました。
その結果、各各市町村では、
・出産後1年以内の女性と赤ちゃんに対して、産後ケア事業をおこなうように努めなければならないこと
・産後ケア事業をおこなう際には、厚生労働省令で定める基準に従っておこなわなければならないこと
・関連機関や母子保健に関するその他の事業との連携を図り、妊産婦さんや赤ちゃんに対する支援の一体的な支援や措置をおこなうように努めなければならないこと
などが規定されました。
この法律は、公布の日(令和元年12月6日)から2年を超えない範囲内で、政令で定める日から実際に法律をスタートするとされており、今のところ具体的な日時は明確にはなっていません。
ここ数年で「産後ケア」「産後ケア施設」という言葉をよく耳にするようになりましたが、認知度としてはまだまだ……といった印象も否めません。ですが、この法律によって育児支援事業がさらに充実し、少しでも多くのママたちが不安なく、妊娠・出産でき、赤ちゃんとの毎日がもっとラクに、もっと楽しくなるといいなと思います。
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