彼女が弟と付き合う宣言
フリーランスで仕事をしていた僕は、恋人のA子からいきなり「あなたは安定した将来が見えないから、弟くんと付き合う」という理由で別れを告げられました。どうやら、大手企業に勤めている弟のほうが、将来の安定という意味で魅力的に見えたよう。
さらに、僕と弟は上京して以来、2人で賃貸マンションを借りてルームシェアをしていました。ところが弟からも、「悪いな兄さん。俺、A子と同棲することになったんだ。家賃は全額俺が払うから、兄さんはこの部屋を出てくれないか?」と言われてしまい……。
恋人だけでなく、弟にも裏切られたような気持ちになりました。それでも、心変わりした2人を責めても仕方ありません。僕は別れを受け入れ、仕事場も兼ねた手狭なアパートへ引っ越すことにしました。
僕が起業すると…
ひとり暮らしを始めて1年後、僕は以前からの夢であった起業を果たしました。
その後、わが社が開発したシステムが業界内で話題になり、大手企業との仕事も舞い込んでくるようになったのです。従業員を雇うまでに会社は成長し、ある日、僕はベンチャー企業の社長としてビジネス誌の取材を受けました。
すると、家を追い出されて以降、音沙汰がなかった弟から「雑誌を見たよ」と久しぶりに電話がかかってきたのです。
「実は俺、会社を辞めちゃってさ…。A子から『お金がないなら別れる』って言われてて…。兄さん、少しくらいお金を貸してくれない?」
僕を裏切っておきながら、あまりにも虫のよい話でした。聞けば、勢いで会社を辞めたものの転職活動がうまくいかず、A子との同棲生活で見栄を張って散財したせいで貯金も底をついてしまったよう。家賃すら払えない状態になっていたのです。
しかも、支えてくれるはずのA子はお金がない弟に興味をなくしたよう。彼女からフラれるかもしれないと思った弟は、焦っているようでした。
僕は、フリーランスのときよりは稼げるようになりましたが、お金をあげるほどの余裕はありません。弟に「お金は貸せない。生活に困っているなら、日雇いでもなんでもして自分で稼げ」と伝え、電話を切りました。
僕の金を欲しがるA子と弟
それから数日後、今度はA子から電話がかかってきました。
A子からも「社長になったんでしょ?」と言われ、僕は冷たく「そうだよ」と返答。A子が連絡してきた理由はなんとなく予想がついたので、「弟と何かあったの?」と聞きました。
「弟くん、会社を辞めちゃって…。私、弟くんには付き合いきれないから別れる! 私やっぱり、あなたのことが好き! 家に戻ってきてよ。弟くんのことは追い出すから」
僕はA子の発言にあきれてしまいました。安定した仕事をしていた弟を選んだはずなのに、弟が無職になった途端、今度は会社を経営する僕に戻ろうとしているのです。「金を求めて僕たち兄弟を振り回すのはもうやめてくれ」と一蹴し、電話を切ったのでした。
僕たち兄弟のその後
その後、僕はA子からの電話の内容を弟に報告。弟はA子の裏切りにとてもショックを受け、就職活動がうまくいっていないこともあり、体調を崩してしまったよう。
僕は仕方なく2人が住む家へ。A子に対して「もう僕たち兄弟から取れる金はないよ。金が欲しいなら他の男に寄生したほうがいい」と言って、家から出て行ってもらいました。
そして、弟は僕に「彼女を奪ったうえ、家から追い出して本当にごめんなさい。心を入れ替えて頑張るから、兄さんの会社で働かせてくれないか」と謝罪。プライドを捨てて謝罪してきた弟の謝罪を、僕は受け入れることに。
ただし、弟だからといって特別扱いするつもりはありません。「働くなら、アルバイトからだ」という条件で、弟を雇うことにしました。
恋愛により一度は縁が切れそうになってしまった僕たち兄弟。それでも、この出来事によって弟が一から仕事を覚え、一生懸命働いている姿を見ると僕たち兄弟の絆は以前より深まったのかもしれないと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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