Oさんの信じがたい勤務態度とは

私が小学生のころ、頻繁に実家に訪問してくるOさんという女性がいました。当時50代だったOさんはとても派手な身なりで、喫煙者のいない私の実家でも、換気扇の下でたばこを吸うような人でした。私が高校生になったときにOさんと思いがけず再会し、その日から予想もしなかった出来事が始まりました。
高校生になった私は、実家近くの観光ホテルで、土日の早朝だけ朝食バイキングを手伝うアルバイトを始めました。厨房で作られた料理を並べたり、お客さまの食べ終わった皿を下げたりする業務内容でしたが、その部署のトップにいたのが、なんとOさんでした。
小学生のころの私しか知らないOさんは、私に気付かなかったようですし、私もOさんに怖いイメージがあったため、あたかも初対面のように振る舞いました。
Oさんは業務中にも換気扇の下でたばこを吸い、お客さまから下げた皿に残っていた、ほとんど手のつけられていない料理を裏で食べていました。高校生だった私から見ても、信じがたい勤務態度でした。
支配人に呼び出されて突然、解雇!?
そんなある日、仕事を終えた私はホテルの支配人に呼び出され、突然
「来週から来なくていいよ」
と告げられました。理由を聞いても教えてもらえず、モヤモヤとした気持ちを抱えつつも帰宅した私は、一連の話を母や祖母に話しました。
すると2人はいぶかしげな表情をしながらも顔を見合わせ、「残念だったけど、その件は私たちに任せて。悪いようにはしないから」と、私に言いました。
私が働いていたホテルは、実は私が小学生のころに母が経理として働いていたホテル。母の娘であることは、支配人にすら言わずに働いていましたが、昔の仕事仲間に母がいろいろと聞いてくれた結果、驚がくの真実が明らかになったのです。
母と祖母がOさんに事情を確認
母から聞いた解雇に至るまでの経緯は、次のようなものでした。
誰かがOさんの勤務態度を支配人に報告したようで、問題視した支配人はOさんを呼び出しました。
しかしOさんは、問題とされた行動について「あの子(私)がやったことだ」と説明したそうです。Oさんの説明を鵜呑みにした支配人は、私に解雇を告げた、という流れであったことを母から聞きました。
高校生なりに頑張ってきたのに、まったく信用されていなかったことへの絶望でいっぱいでした。しかし、「やっていない」と証明するものがなく、高校生の立場でできることも限られていたことから、理不尽さを感じながらも、泣き寝入りするしかないと腹をくくりました。
その後、母と祖母は地元の総合病院でOさんと偶然会ったそうです。世間話も早々に、祖母が
「Oさん、私の孫をいじめてくれたようじゃないか」
と先制パンチ。Oさんも「私はアンタの孫なんか知らないよ!」と応戦しましたが、「ホテルの朝食バイキングで働いてた高校生、あれは私の孫だよ」と告げたそうです。
ここでOさんは一瞬焦ったものの、「あの子が勤務中にたばこを吸ったり、食べ残しを食べていたから支配人に言っただけだ」と開き直ったそうです。
そこですかさず母が「あの子は昔から神経質な子なんだよ。ごはんの前にキレイに拭いた食卓の上に落としたおかずですら嫌がって食べないよ。人の食べ残しなんて、頼まれても食べないだろうね」と追撃。
Oさんは「とにかく私は知らない!」と逃げるように帰っていったそうです。
その後、ホテル側にも事情が伝わったようで、支配人から直接謝罪を受け、別の部署で働かないかと打診されました。しかし、別の部署であっても元部署の方々と顔を合わせる機会はたくさんあります。Oさんからの逆恨みも怖かったため、お断りをすることにしました。
◇◇◇◇◇
一度はとても理不尽な気持ちを味わったものの、悪い部分を指摘されたときは、人のせいにしたりウソをついたりせず、まずは自分を省みることが大切であるということを学びました。高校生のうちにこの教訓を得られたことは、大人になった今でもとてもよかったと思っています。
今もホテルで朝食バイキングをいただくたびに思い出しては、過去に得た教訓を胸に刻み直す時間としています。
著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害のある夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている
イラスト:ゆる山まげよ
新人の私が突然、草むしりを命じられて

転職したばかりの会社で、人件費削減の方針が打ち出されました。一部の正社員がパートへと切り替わることになり、社内は落ち着かない雰囲気に包まれていました。その騒動の渦中にいたのが、長年勤めている事務の女性でした。
私には、彼女が自分の正社員としての立場を守ろうとして、他の社員に責任を押し付けたり、パートへの切り替えに戸惑っていた社員に強く当たったりしているように見えました。
さらに、他の正社員を辞めさせ、自分と親しい同職種の経験者を上司に紹介し、パートとして入社させるなど、職場の人間関係は次第にゆがんでいきました。誰もが本音を言いづらい空気が広がっていたと思います。
私もその影響を受けました。彼女が上司に何かを伝えたようで、ある日突然仕事を外されました。代わりに任されたのは草むしりで、それが1カ月ほど続きました。
転職したばかりの私は状況を理解できないまま、ただ黙々と作業を続けるしかありませんでした。悔しさと虚しさを抱えたまま、やがて退職を決意しました。
退職後に聞いた話
退職してしばらくたったころ、偶然元同僚から近況を聞く機会がありました。例の女性は正社員として残ったものの、パート社員がいない時間帯は休日に出勤して仕事をしているそうです。助けが必要でも、正社員からパート勤務に切り替わった元同僚から、「私はパートなので」と協力を断られることもあると聞きました。
さらに、自分が引き入れた親しい人も期待ほどには仕事ができなかったようですが、契約上パートとして迎え入れた手前、強く言えない状況だそうです。
日々体調を崩し、いろいろな病院に通いながら、さまざまな薬を服用してかろうじて仕事を続けているとのことでした。
◇◇◇◇◇
あの職場での出来事を振り返ると、自分の立場だけを守ろうとして周囲との信頼を損なえば、必要なときに協力を得にくくなることもあるのだと感じました。日ごろの人との関わり方は、職場の人間関係や働きやすさにも影響するのかもしれません。これからは目先の損得だけで動くのではなく、周囲との信頼を大切にしながら働いていきたいと思います。
著者:百目鬼律/30代女性・主婦
イラスト:ほや助
まとめ
2つの体験からは、職場での信頼が日々の言動によって築かれ、時には損なわれることも伝わってきます。理不尽な状況が改善されず、負担を抱え続ける場合には、その職場を離れることも、自分を守るための選択肢の一つなのかもしれません。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
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