夜泣きから逃げて義実家に通う夫
最初は、夫の希望で寝室を別にすることにしました。夫は書斎で、私は子どもたちと寝室で寝ることに。子どもたちの夜泣きで私は夜中に何度も起きて、ひとりでお世話をしていましたが、夫が様子を見に来ることはなく……。
寝室を別にしてから数日後、夫は「寝室を別にするだけでは疲れが取れない」と言い出し、平日の夜だけ車で30分ほどの距離にある義実家に泊まるようになりました。
「俺だって仕事で疲れているんだ」と不機嫌に言われると、私も言い返す気力がなくなってしまい、気がついたころには、月曜から金曜まで夫不在の生活となっていました。
高熱でのワンオペ育児
夫が平日家を空ける生活が始まって3カ月ほど経ったころ、私と子どもたちが同時に風邪をひいてしまいました。私は39度の高熱でふらふらになり、ひとりで子どもたちのお世話をするのは限界でした。
夫に事情を話し、「今日だけは家に帰ってきて手伝ってほしい」と頼みましたが、返ってきたのは「俺に風邪をうつされては困る。なおさら実家に行かないと」という冷たい言葉でした。
普段から育児を押しつけ、家事もせず、脱いだ服やゴミを散らかしっぱなしにする夫。そんな夫が、私や子どもたちが体調を崩したこんなときでさえ何もしてくれないことに、私はついに不満を爆発させました。電話口で泣きながら「こんなときくらい家族を助けてよ!」と訴えると、夫はしぶしぶ帰宅すると約束しました。
しかし、その夜、夫が家に帰ってくることはありませんでした。連絡もつかないまま、一晩中泣き叫ぶ子どもたちをあやし続け、あまりのつらさに私も泣きながら朝を迎えました。
翌朝、インターホンが鳴りました。私がボロボロの状態で玄関のドアを開けると、お隣の奥さんが立っていました。
「昨夜からお子さんの泣き声がずっと聞こえていて……大丈夫?」
心配して訪ねてきてくれたのです。私は必死に謝りましたが、そんな私の様子を見て事態を察した奥さんは、「謝らなくていいのよ。それより無理しないで? せっかくお隣同士なんだから困ったときは声をかけてね? うちにリンゴと頂き物のゼリーがあるから持ってくるわね!」と言い残し、自宅へ戻って行きました。
数分後、再び訪ねてきてくれたお隣の奥さんは、すりおろしてくれたリンゴとゼリーを私に渡してくれたのです。そのあたたかさに、思わず涙があふれてしまいました。すると奥さんは、泣き出してしまった私の肩にそっと手を置き、こう言いました。
「最近、外に旦那さんの車が停まってない日も多いみたいだから気になってたの。おせっかいだと思うんだけど、ご実家を頼ることはできないの?」
その言葉にハッとした私。ひとりでなんとかしなきゃと張り詰めていましたが、素直に両親を頼ろうと思いました。奥さんに感謝を伝え、リビングに戻った私は、すぐに実家に連絡し、事情を説明しました。
すると、両親が急いで車で駆けつけてくれて、私と子どもたちを病院へ連れて行き、当面の生活に必要な荷物をすべて車に積んで、そのまま実家へ連れて帰ってくれたのです。
うそがばれた夫の末路
夫から連絡があったのは、その日の夜でした。
「昨日、仕事で疲れてて無意識に実家に帰っちゃったわ」
「熱、大丈夫そう? 夜泣きがうるさいから今日も帰らないわ」
高熱で苦しむ私たちを放置しておきながら、あまりにも能天気な発言に怒りすら湧きませんでした。私は静かに告げました。
「もう引っ越したから帰ってくれば?」
「え?」
戸惑う夫に、実家に身を寄せていること、もう戻る気がないことを伝えました。焦った夫は「双子って大変だよな。俺も協力するからさ! やっぱり今からケーキを買って帰るよ! だからお前も戻ってこいよ! な?」と機嫌を取ろうとしてきましたが、一番苦しいときに私を見捨てた夫の言葉など、私には響きませんでした。
その後、義母から私に心配の電話がありました。私が事実を伝えると、義母は絶句していました。実は、夫は義両親に対して「産後うつでヒステリックになった嫁に家を追い出された。俺は被害者だ」とうそをついて義実家に通っていたのです。週末の帰宅も「話し合いのため」と説明し、「嫁は不安定だからそっとしておいてほしい」と言うため、義母は私への連絡を控えていたと言います。
真相を知った義母は電話口で泣きながら謝罪し、「必ず息子に責任を取らせます」と約束してくれました。
現在、私たちは弁護士を通して離婚に向けた話し合いを進めています。養育費については、金額や支払方法を取り決め、支払いが滞った場合に備えて、強制執行認諾文言を盛り込んだ公正証書を作成する予定です。義母も「必ず払わせる」と言ってくれています。
あの日、限界だった私に声をかけてくれたお隣の奥さんや、すぐに駆けつけてくれた両親、そして真実を知って味方になってくれた義母には感謝の気持ちでいっぱいです。
◇ ◇ ◇
育児や体調不良が重なると、「自分が頑張らなければ」と、ついひとりで抱え込んでしまうこともあるかもしれません。お隣さんのひと言をきっかけに両親を頼ることができたことで、ようやく追い詰められた状況から抜け出すことができました。
身近な人の異変に気づいて声をかけることも、助けを求める側がその助けを受け取ることも、どちらも大切です。自分だけではどうにもならないと感じたときは、無理を重ねる前に、家族や周囲の人を頼ることも考えたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。