増え続ける義弟への援助
私たちは共働きで、毎月それぞれ決まった額を、家計用として使っていた夫名義の口座に入れていました。家賃や光熱費などの支払いは夫がまとめて管理していたため、義弟への送金も夫に任せることにしました。
義弟が仕事を辞めて勉強に専念すると聞いた際、夫から「両親も金銭的に余裕がないし、受験までの間だけ、弟の生活費や受験にかかる費用を助けてやりたい。俺の小遣いだけでは難しいから、家計から出してもいいかな」と相談されました。
私も、期間限定で義弟の夢を応援するのであればと考え、了承しました。
当初の援助額は月に数万円でした。ところが半年ほどすると、夫から「講座代が必要らしい」「受験に向けて出費が増えたみたいだ」と聞かされ、月10万円、さらに15万円と次第に増えていきました。
それに伴い、夫から「今月はもう少し家計に入れてほしい」と頼まれることも増えていきました。私も義弟を応援したい気持ちから応じていましたが、仕送りを始めてから1年半ほどたつころには、私が家計に入れる金額も以前よりかなり増えていました。
夫からは毎月、「今月は12万円渡したよ」などと報告を受けていました。それまでに聞いていた金額を私なりに計算すると、義弟への援助として家計から出したお金は、合計で200万円近くになっていました。私自身の自由に使えるお金も減り、このまま同じように援助を続けるのは難しいと感じるようになったのです。
夫に相談しても、「弟も今が大事な時期だし、俺から減らすなんて言えないよ」と困った様子。そこで私は、義弟本人に事情を説明し、援助額について相談することにしたのです。
義弟「それより300万円は?」
私は義弟に連絡し、これまでの援助について話を切り出しました。
「応援したい気持ちはあるんだけど、うちの家計も厳しくなってきていて……。これまでかなりの額を仕送りしてきたでしょう? 今後は少し減らしても大丈夫かしら?」
すると義弟は、不思議そうにこう返してきました。
「仕送りって、何のことですか?」
私は耳を疑いました。夫から「今月も弟に送ったよ」と聞いていたため、家計から出したお金は当然、義弟に届いているものだと思っていたのです。ところが事情を説明すると、義弟は「兄さんからそんなお金、一度ももらってません」と言いました。
さらに戸惑った様子で、
「それより、兄さんに貸した300万円を返してほしいって伝えてくれませんか? 最近、連絡もつかなくて困っていたんです」
と続けたのです。今度は私が「300万円?」と聞き返しました。
義弟によると、夫は数年前から「家計が厳しい」「急な出費があって困っている」などと言って、何度かお金を借りていたそうです。義弟は退職するまで会社員として働いており、そのころに貯めたお金から、夫に何度か貸していたとのこと。その合計が約300万円になっていました。
さらに夫からは、「妻には心配をかけたくないから、このことは言わないでほしい」と頼まれていたそうです。
私はすぐには状況を理解できませんでした。私は義弟を支えるためだと思って家計からお金を出していたのに、義弟には一度も届いていない。一方で義弟は、私たち夫婦が金銭的に困っていると思い、夫に300万円ものお金を貸していたのです。
では、私が義弟のためだと思って出していたお金と、義弟から借りた300万円は、一体どこへ消えたのでしょうか。
夫を問いただして判明した使い道
その日の夜、私は夫に義弟から聞いたことを話しました。
「義弟は仕送りなんてもらっていないって。それどころか、あなたに300万円貸しているそうじゃない」
夫の顔色が変わりました。私は、これまで義弟のためだと言って家計から出していたお金と、義弟から借りた300万円を何に使ったのか尋ねました。
夫はしばらく言い訳をしていましたが、やがて観念したように話し始めました。夫は数年前から飲み会やキャバクラなどで出費を重ね、手元のお金が足りなくなるたび、義弟から借りたお金で穴埋めしていたそうです。それでも出費を抑えられず、約1年半前からは「義弟への仕送り」を口実に、家計からもお金を出すようになっていました。
「弟のためだって言えば、お前も反対しないと思った」
夫のその言葉に、私はあきれてしまいました。
「義弟の夢も、私が義弟を応援したいと思う気持ちも、自分がお金を使うために利用していたってこと?」
夫は何も言い返しませんでした。
遊びにお金を使っていたことももちろん許せません。しかし、それ以上に、家族を理由にして長期間ウソをつき、夫婦の家計と義弟の双方からお金を引き出していたことに、強い不信感を抱きました。
家族だからこそ見えなかったこと
その後、私は夫と何度も話し合いました。しかし、長期間にわたってお金の使い道を偽られていたことで失った信頼は、簡単には戻りませんでした。
最終的に私たちは離婚することになり、財産についても話し合いました。義弟から借りていた300万円についても、夫が義弟と返済について話し合うことになったと聞いています。
義弟には私からも事情を説明しました。突然仕送りの話を持ち出して驚かせてしまったことを謝ると、「お義姉さんも知らなかったんですよね」と言ってくれました。
今回の出来事を振り返ると、「弟のため」という夫の言葉を、私は疑うことなく信じていました。具体的な費用まで聞いていたため、まさか仕送りそのものがウソだとは考えもしなかったのです。
家族を助けたいという気持ちは、今でも間違っていたとは思っていません。ただ、今回の出来事を通して、お金の使い道について夫婦で共有することは、相手を疑うためではなく、お互いの生活を守るためにも必要なのだと感じました。
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家族を応援したいという気持ちがあると、「本人のためなら」と多少の負担も受け入れてしまうことがあります。しかし、お金の額が大きくなるほど、善意だけでは見えにくくなることも。今回の出来事は、信頼している相手との間でも、お金の流れを共有しておくことが、家族関係を守ることにもつながると感じさせるエピソードでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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