赤ちゃんは誰でもハイハイすると思っていた私。おすわりは早かったものの、うつ伏せは苦手でなかなか動こうとしない娘は、座ったまま不思議な方法で移動するようになりました。すべてが初めてで手探り状態の育児のなか、「自分の子どもが周りとは違う」ということに悩み、気持ちが沈む日々でした。今回は、娘が生後9カ月でシャフリングベビーと診断されるまでの経緯や周囲の反応、そして当時の私の心境と葛藤をお伝えします。
わが子はシャフリングベビーかも?
生後5カ月でおすわりができるようになった娘は、一方で生後7カ月を過ぎてもなかなか寝返りをしませんでした。ハイハイもする気配がなく心配していたら、いつの間にか座ったまま移動をするように。
持っていた育児書には、体の発達の順序が入れ替わったり、ハイハイをしなかったりする場合もあるとあり、赤ちゃんの成長は個人差が大きいと頭では理解していたつもりでした。しかし、実際にわが子が一般的な成長過程とは異なる現実を突きつけられると、冷静ではいられなくなるものです。
検索魔になって不安な日々
当時は海外で出産・子育てをしていたので、日本語の育児書が入手困難な上に、子育て支援センターで気軽に相談にのってもらうような機会もありませんでした。それゆえ、情報収集は主にインターネットからでした。
知識は得られても、調べた情報が正しいものなのか判断が難しく、不安は拭えなかったことを覚えています。夫が赤ちゃんのころに同じ移動方法をしていたことを義母から聞いたあとは、遺伝かもしれないから仕方がないと自分に言い聞かせて過ごしていました。
好奇の目で見られることが耐え難い
娘の独特な移動方法は好奇の目で見られ、次第に外で遊ばせるのがおっくうになりました。周囲の人がおもしろがる反応に対して、「恥ずかしい、隠したい」という気持ちになり、そのたびに自己嫌悪に陥りました。幸運にも否定的な言葉を言われたことはありません。
しかし、「動きがおもしろい」「珍しくてかわいい」というポジティブな意見をもらっても前向きになることは難しかったです。当事者でなければ、この苦悩はわからないと思い込み、表現しがたい負の感情に捉われていたのです。
小児科医に相談した結果を受けて…
不安な気持ちが和らぐきっかけをくれたのは、娘の主治医です。9カ月健診のときに相談し、骨や筋肉、股関節を調べてもらいました。結果、シャフリングベビーという診断でしたが異常はなく、1歳健診まで様子を見ることになりました。
不安を感じたら「座って移動するのは彼女の個性で、医者の観点からはノーマルだから安心しなさい」という医師の言葉を思い出すように心がけました。私の考えを見透かしたように、立ち上がるのも遅い可能性が高いこと、フィジカルセラピーでの訓練も可能なことを説明してもらえたことも大きいです。結局、娘はハイハイしないまま1歳2カ月でつかまり立ちを始め、1歳4カ月でひとり歩きするようになりました。現在は4歳になり、健康に過ごしています。
当時は視野が狭くなり気が付かなかったけれど、皆それぞれ違う点で子育ての悩みを抱え、向き合っているのだと今ならわかります。専門家の意見を聞き、冷静に物事を見ることの大切さを実感しました。親身に寄り添い、そのことに気付かせてくれた小児科医には感謝の気持ちでいっぱいです。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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イラスト/おんたま
監修/助産師REIKO
著者:新居はるみ
1男1女の母。パートナーの転勤でアメリカ滞在中に2人の子どもを出産。自身の経験をもとに旅行、海外生活、子育て系の記事を中心に執筆。