教えてくれたのは…京浜健診クリニック・小幡進一郎先生

医療法人啓仁会 京浜健診クリニック院長 小幡進一郎先生
1988年に北里大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院循環器内科で循環器診療に従事。その後、京浜健診クリニックで経験を積み、1998年に院長に就任しました。
現在は、人間ドックや企業健診、生活習慣病予防、地域医療などに取り組み、「病気を治すだけではなく、病気を防ぐ医療を実現する」をモットーに予防医療を実践しています。趣味はギター・ウクレレ演奏。
今回は小幡先生に、暑い日の停電時に知っておきたい体の冷やし方や、シャワー・窓の開け方などについて教えていただきました。
暑い日に停電!まずは「体温の上昇を防ぐ」対策を

停電してエアコンや扇風機が使えなくなったときは、体温の上昇を防ぐことが大切です。
小幡先生によると、氷水を入れたビニール袋などを用意し、首やわきの下を冷やす方法があります。
また、冷凍庫などに保冷剤や氷が残っている場合は、それらを水に入れて「冷却水」を作り、タオルを濡らして活用する方法もあるそうです。
冷却水で濡らしたタオルを使って、体を冷やす

小幡先生が停電時の対策として教えてくれたのが、保冷剤や氷を使って作った冷却水でタオルを濡らし、繰り返し活用する方法です。
まず、停電する前までに冷えていた保冷剤や氷を水に入れて、冷却水を作ります。その水でタオルを何枚か濡らしてしぼり、室内に張ったロープなどに並べて干しておきます。
干してあるタオルを順番に首などにかけて、体温の上昇を防ぎます。使用したタオルは再びしぼって干し、これを繰り返します。
さらに、干しているタオルをうちわなどで扇ぐのも効果的とのこと。
小幡先生によると、このように「部屋の温度上昇を防ぐこと」と「体温上昇を予防すること」を同時に行うことが、停電時の暑さ対策になります。
濡れタオルで冷やすなら「首の横側」

では、濡れタオルを首にかける場合、どのあたりを冷やすとよいのでしょうか。
小幡先生によると、特に冷やすとよいのは「首の横側」です。
タオルは細く折って首に巻くよりも、ある程度広げて使う方が効果的とのこと。
また、首だけでなく、わきの下や足の付け根を冷やす方法も有効です。
特別なものではなく「普通のタオル」でOK

使うタオルについては、速乾・吸水タイプなどの特別なものでなくてもよいそうです。
小幡先生は、できれば普通のタオルがよいと話します。
その理由は、タオルに含まれた水分が蒸発する際に熱を奪うためです。
タオルを干す際も、ロープを張る代わりに、洗濯物干しや物干しスタンドを使って構いません。
また、暑い日の停電に備えて、清潔なタオルを複数枚、すぐ使える状態にしておくと対応しやすくなります。
保冷剤を直接肌に当てるのは避けて
保冷剤を使う場合は、直接肌に当てることは避けましょう。
小幡先生によると、低温やけどの原因になるためです。
断水していなければ「ぬるま湯のシャワー」も有効

暑い日に停電していても、断水していなければシャワーを浴びることも有効です。
ただし、小幡先生がすすめるのは、冷水ではなく「ぬるま湯」のシャワー。
急に体を冷やすと、温度差によって体調が悪くなる原因になるためです。
温度は「37℃より少し低い程度」、時間は5分ほど

シャワーの温度は、37℃より少し低い程度が目安。
時間は5分ほどでよいそうです。
また、全身にシャワーを浴びず、手足や首だけを水で冷やす方法も「とても有効」とのこと。
一度浴びた後でも、少し汗ばんできたタイミングで再びシャワーを浴びることは有効です。
シャワー後は体を完全に拭く
シャワーを浴びた後は、体を少し濡らしたままにするのではなく、完全に拭いた方がよいそうです。
停電中でも、充電式のファンがあれば有効に活用しましょう。
また、高齢者や子どもがシャワーを浴びる場合は、急に冷やしすぎないことが大切とのことです。
停電したら窓をすぐ開ける?外気温との差にも注意

停電してエアコンが止まると、「まず窓を開けた方がいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、外気温が高く、停電直後の室内がまだ涼しい場合には、すぐに窓を開けない方がよいケースもあります。
たとえば、外が35℃、室内が25℃の場合。小幡先生によると、室内の温度を維持するため、まずは窓を閉めておくとのことです。
室温が29〜30℃を超えたら換気を
では、どのくらい室温が上がったら窓を開ければよいのでしょうか。
小幡先生によると、一般的には室温が29〜30℃を超えたら、風が流れるように換気をするとよいそうです。
室温の上昇を抑えるために、カーテンや遮光カーテン、雨戸、シャッターなどを閉める方法もよいとのことです。
窓は「5cm程度」開けて風の通り道を

窓を開ける場合、大きく開けるのではなく、5cm程度開けるのがひとつの目安です。
さらに、風が通りやすくなるよう、反対側の窓も同じように開けます。
大きく開けすぎると熱気が入る原因になるため、風を通す目的であれば少し開ける程度でよいそうです。
また、外で風が吹いていない日でも、室内と外の温度差によって空気は流れるため、外気温との差があれば窓を開けることは有効とのことです。
水分もこまめにとる

体を冷やす対策と同時に、水分をこまめにとることも重要です。
小幡先生は、停電時には冷蔵庫に残っている飲み物も有効に利用するようすすめています。
暑い日の停電時は、体温の上昇を防ぐことと、室内の温度上昇を抑えること、水分をこまめにとることをあわせて行うことが大切です。
「停電したら、とにかく窓を開ける」は正解とは限らない!
暑い日に停電すると、「窓を開けなきゃ」「とにかく冷たいもので体を冷やさなきゃ」と焦ってしまいそうですよね。
しかし、室内がまだ外より涼しいうちは窓を閉めておいたり、冷水ではなくぬるま湯のシャワーを使ったりと、意外と知らないポイントもありました。
停電前まで冷えていた保冷剤や氷を使って冷却水を作り、濡れタオルを活用する方法も、覚えておきたい対策のひとつです。
9月に入っても、まだ蒸し暑い日は続きます。台風や大雨などによる突然の停電に備えて、タオルや充電式ファンなど、自宅にあるものを今のうちに確認しておくとよさそうです。
※一部AI画像を使用しています。