転職初日、職場にいたのは元カノ!?
声をかけてくれたのは、以前、仕事で関わったことのある企業でした。新しい責任者を探していたそうで、これまで私が担当してきたプロジェクトの実績を評価し、なんと部長として迎えたいとのこと。責任の重さに不安もありましたが、「自分の経験が役立つなら」と、転職を決意しました。
そして迎えた初出勤の日。新しい職場に足を踏み入れると、そこに見覚えのある女性がいました。
「え……?」相手も私に気づいたようで、驚いた表情を浮かべています。彼女は、学生時代に付き合っていた元カノでした。
元カノは有名大学の出身。一方、私はいわゆる有名大学を出たわけではありません。交際していたころから、彼女は何かにつけて学歴を気にしていました。そして最後には、「やっぱりあなたとは釣り合わない」と言われ、別れることになったのです。まさか、こんな場所で再会するとは思ってもいませんでした。
「コピーお願い」元カノが私を部下扱い!?
すると元カノは、「え、ここに転職してきたの?」「でも、まさか私の部下になったりしないよね? 低学歴の人が部下なんて恥ずかしいんだけど」と、遠慮なく言ってきます。
初日から相変わらずだな……と思いましたが、私は言い返しませんでした。すると元カノは、さらに続けます。「まあいいわ。新人なんだし、まずはコピーでもお願い」そう言って、手に持っていた資料を私に差し出してきました。
「いや、俺、君の部下じゃないけど」そう伝えると、元カノは吹き出しました。「何それ、負け惜しみ? 転職初日から見栄を張らなくていいって」私が説明しようとした、そのときです。
「皆さん、一度集まってください」役員から声がかかり、部署のメンバー全員が集められました。
「部下じゃないって」元カノが青ざめたワケ
役員はメンバーを見渡すと、私を前に呼びました。そして――。
「紹介します。今日からこの部署を率いてもらう、新しい部長です」
「……え?」元カノの表情が固まりました。
私はそのまま皆さんへのあいさつを済ませ、最後に元カノへ目を向けました。すると彼女は、先ほどまでとは別人のように青ざめています。その後、「だから言っただろ。部下じゃないって」私がそう告げると、元カノは何も返せませんでした。
とはいえ、過去のことで彼女に仕返しをするつもりはありません。そこでまず、メンバー一人ひとりがどのような仕事を担当し、どんな成果を上げているのかを確認することにしました。
すると、メンバーの声に耳を傾ける中で、気になる内容が次々と出てきたのです。「自分の仕事なのに、押しつけられます」「学歴を聞かれたうえ、見下すようなことを言われました」元カノについて、複数の社員から似たような話が出てきました。
もちろん、人の話だけで判断するわけにはいきません。そこで、これまでの案件の進捗表や業務分担、過去のプロジェクト資料などを確認し、本人からも事情を聞くことにしました。
「今まで通りじゃ通用しない…」元カノに変化
調べていくうちに、元カノは自分が担当すべき仕事の一部を後輩に任せる一方で、成果が目立つ仕事には積極的に関わろうとしていたことがわかりました。そこで私は、部署内の仕事の分担を見直すことに。
「今後は、自分の担当業務には最後まで責任を持って取り組んでもらう。それから、大きな案件を任せるかどうかは、普段の仕事ぶりも含めて判断するから」そう伝えると、元カノは一瞬言葉に詰まり、悔しそうに視線を落としました。
その後、元カノが担当する仕事は、これまでの実績や仕事への取り組み方に応じたものへと変わっていきました。しばらくして、元カノはぽつりと言いました。「私、今まで間違ってたってこと……?」
学歴や肩書きだけで、人の価値や仕事の能力は決められない――。元カノも今回の出来事をきっかけに、そのことに気づいてくれたのならいいなと思っています。
◇ ◇ ◇
学歴や役職だけで相手を判断してしまうと、その人自身の努力や長所を見落としてしまうことがあるかもしれません。また、自分の立場を利用して周囲に仕事を押しつけていれば、少しずつ信頼を失ってしまうことも。立場に関係なく、相手を尊重する姿勢を忘れずにいたいですね。
【取材時期:2026年9月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。