イケメン御曹司とのお見合い
A男は私と同年代で、A男の父親が経営する会社に勤めていました。写真で見てもさわやかな印象でしたが、実際に会ってみると物腰もやわらかく、受け答えも丁寧な男性でした。
お見合い当日、父は仕事の都合で参加できず、私と母、A男とA男の父親の4人で食事をしました。
最初は仕事や趣味など、ごく普通の話をしていました。A男は私の話をよく聞いてくれ、母にも気さくに接してくれます。私はすぐに好感を持ちました。
食事も終盤に差しかかったころ、話題は家族のことになりました。そこでA男が、「お兄さんも独立しているんですよね。最近はA地区でも事業を進めているとか」と口にしたのです。
さらにA男の父親も、「お姉さんも会社を経営されていて、今度新しい店舗を出されるそうですね」と言います。
ずいぶん詳しいなとは思いましたが、父の知人から聞いたのだろうと、その場では深く考えませんでした。
帰り道、母も「感じのいい人だったね」と好印象。私も、もう一度会ってみたいと思っていました。
兄と姉だけが「考え直せ!」
帰宅後、父にそのことを話すと、「そこまで詳しく話した覚えはないな」と少し不思議そうな顔をしました。ただ、兄や姉の仕事については調べればわかることもあるため、その日はそれ以上気にしませんでした。
数日後、兄と姉にお見合いの話をすると、2人の表情が変わりました。
「俺のどの話を知ってた?」
兄に聞かれ、A地区で進めている事業のことだと答えると、兄は黙り込みます。さらに姉に、新しく店舗を出す予定まで知られていたと話すと、「……それ、まだほとんど外には出してないよ」と言われました。
兄は、「その縁談、少し待ったほうがいい」と言い、姉も「私もそう思う。考えなおしたほうがいいかも」と続けました。
調べてわかった違和感の正体
その後、兄と姉が仕事上のつながりを通じてA男の家について確認しました。
すると、A男の父親が以前から、仕事関係者に父の会社や兄、姉の事業について尋ねていたことがわかりました。
さらに兄によると、少し前にはA男の父親と関係のある会社から、共同事業について問い合わせがあったとのこと。姉も、仕事関係者から今後の事業展開について妙に詳しく聞かれたことがあったそうです。
姉は、「もしかして、お見合いが決まってから家族のことを調べたんじゃなくて、先に私たちのことを調べたうえで、この話を持ちかけてきたんじゃない?」と言いました。
その言葉に、私は背筋が寒くなりました。
「でも、家族になるんですよ?」
後日、私はA男と会い、兄や姉の仕事をなぜ詳しく知っていたのか尋ねました。
するとA男は、「父から聞きました。結婚って、本人同士だけの問題じゃないでしょう?」と答えました。さらに、「せっかく家族になるなら、将来的には仕事でも何か一緒にできたらいいですよね」と言います。
私は、「兄も姉もそれぞれ自分で事業をしています。私が結婚したからといって、あなたと仕事をするとは限りませんよ」と返しました。
するとA男は、不思議そうな顔をしました。
「でも、家族になるんですよ?」
さらに、「父も、これほど条件のいいご縁はなかなかないって喜んでいます」と言ったのです。
その瞬間、私はようやく気づきました。
A男たちが見ていたのは、私だけではなかったのかもしれない。父の会社や兄姉の事業まで含めて、「条件のいい家族」だと見ていたのではないか、と。
お見合いを断ることに
帰宅後、家族にすべて話しました。
父は、「仕事上のつながりと、娘の結婚を一緒に考える相手には賛成できない」とはっきり言いました。
姉も、「私もやめたほうがいいと思う」と言い、兄もうなずきます。私自身も、もう迷いはありませんでした。
その後、A男にお断りの連絡をしました。
最初は本当に素敵な人だと思っていただけに、兄と姉が違和感に気づいてくれなければ、そのまま話を進めていたかもしれません。
結婚を考えるときは、肩書きや第一印象だけでなく、相手が自分や家族をどんな目で見ているのかまで、慎重に確かめることが大切なのだと感じた出来事です。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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