妊娠をきっかけに豹変した夫
夫の態度が変わり始めたのは、妊娠してしばらく経ったころのこと。
夕飯の準備が少しでも遅れると、「おい、メシまだ?」と声を荒らげたり、食卓に並んだ料理を見て「おかず、これだけ?」とため息をついたりするようになったのです。
さらに、「家にいるんだからマッサージくらいしてくれよ」「同僚の奥さんは、お前と違ってよくできた嫁らしいぞ」など、私を見下すような発言まで増えていきました。
体調が優れない日でも、夫にいろいろ言われたくなくて、私はできる範囲で家事をこなしていました。
しかし、夫の態度は改善するどころか、次第にエスカレートしていったのです。
あるとき私がスマホを見ていると、夫は画面をのぞき込みながら「誰と連絡してるんだ? 男じゃないだろうな」と言いました。
最初は冗談だと思っていましたが、その後も同じようなことが何度も続きました。妊婦健診でいつもより帰宅が遅くなった日には、「本当に病院に行ってたのか? どうせ男と会ってたんだろ?」とまで言われたのです。
もちろん、浮気などしていません。何度否定しても、夫はささいなことを疑いの材料にして私を責めました。
そして出産が近づいたころ、ついに夫から耳を疑うような言葉を投げつけられました。
「その子、本当に俺の子なのか? 浮気したなら出ていけよ!」
あまりにもひどい言葉に、私はすぐには何も言い返せませんでした。
おなかの子を大切に育てながら出産の日を待っていた私にとって、夫からそんな疑いをかけられたことは大きなショックでした。
ひとりで抱えきれなくなった私は、学生時代から付き合いのある友人に相談することに。
すると友人は、自分も以前、交際相手から突然浮気を疑われるようになった経験があると話してくれました。そして、そのときは相手自身が浮気をしていたことが後からわかったそうです。
「旦那さんも何か隠しているんじゃない?」
そう言われたものの、私はすぐには夫の浮気を疑うことはできませんでした。しかし、これまでの夫の言動を思い返すと、どうしても引っかかるものが残りました。
友人から届いた1枚の写真
その後も夫の態度は変わりませんでした。それでも、「子どもが生まれたら父親としての自覚が芽生えるかもしれない」と私は期待していました。
そして私は無事に娘を出産。
しかし、私の期待とは裏腹に、夫の態度が以前のように戻ることはありませんでした。それどころか、仕事を理由に帰宅が遅くなる日が増え、休日にも外出するなど、次第に家にいる時間が短くなっていったのです。
そんなある日、以前相談に乗ってくれた友人から連絡がありました。
「この前、旦那さんを見かけたんだけど……」
メッセージには、1枚の写真が添付されていました。そこに写っていたのは、若い女性と腕を組んで歩く夫の姿でした。
写真を見た瞬間、頭が真っ白になりました。信じたくないという気持ちはありましたが、同時に、これまで感じていた違和感が一気につながったようにも感じました。
とはいえ、その写真だけで夫と女性の関係を断定することはできません。
私は今後のことも考え、夫には何も言わず、調査会社に相談することに。
しばらくして調査結果を受け取ると、夫が特定の女性と何度も会い、ホテルへ出入りしていたことを示す記録が残されていたのです。
この事実を知り、私は夫との離婚を現実的に考えるようになりました。
あれほど私の浮気を疑い、「男と会っているんだろう」「本当に俺の子なのか」と責め続けていた夫。そんな夫自身に別の女性との関係があったことを知り、私は怒りよりもあきれた気持ちになりました。
言い逃れする夫に証拠を突きつけた結果
その後、私は弁護士にも相談。今後の対応について助言をもらい、必要な準備を進めたうえで、ある晩、帰宅した夫に女性と一緒に写っている写真を見せました。
夫は一瞬表情をこわばらせましたが、すぐに「ただの同僚だよ」「浮気なんてしてない」と否定。そこで私は、調査会社から受け取った資料も示しました。
「証拠はそろってるの。離婚して。私に『浮気したなら出ていけ』なんて言ったけど、出ていくのはあなたのほうじゃない?」
すると、それまで必死に否定していた夫は黙り込んでしまったのです。それでもしばらくすると、「だからって離婚なんて勝手に決めるなよ!」と声を荒らげました。
以前なら、夫に怒鳴られれば怖くなって言い返せなかったと思います。しかし、そのときの私の気持ちはすでに固まっていました。
「今後のことは弁護士を通して話したい」
そう伝えると、夫は私がそこまで準備を進めているとは思っていなかったのか、再び黙り込んでしまいました。
幼い娘を育てながら離婚に向けて動くのは、決して簡単ではありませんでした。それでも周囲にも助けてもらいながら夫と話し合いを進め、最終的には離婚が成立。慰謝料についても弁護士を交えて協議し、娘の養育費については金額や支払い方法などを取り決めました。
離婚後、私は医療事務の仕事に復帰し、娘との新しい生活をスタートさせました。
妊娠中から夫に浮気を疑われ、最後には夫自身の裏切りを知ることになったあの出来事は、今でも忘れられません。それでも離婚を決断したことで、夫の機嫌や言葉に振り回される生活から離れることができました。
娘との暮らしを守るためにも、これからは自分の人生を自分で立て直していこう――そう思えるようになったことが、私にとって新しい生活への第一歩になりました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。