私の父は会社を経営しており、将来跡取りとなる2歳年下の弟を溺愛。いつもひいきしていました。一方、母は子育てや家庭のことにあまり関心がなく、私を助けてくれることはありませんでした。
「失敗作は出ていけ!」父に追い出され…
弟はもともと何でも器用にこなすタイプで、運動神経も良く、成績も優秀。さらに、周囲の大人にかわいがられる術をよく知っていて、いつも私のことを見下すような態度をとっていました。
一方の私は、不器用なタイプ。人一倍コツコツと勉強を続け、高校生のころには、ようやく学年トップの成績を取れるようになりました。
その後、大学受験に向けて勉強に励んでいたある日、父から突然、「高校まで出してやったんだから、これ以上の進学は認めない。お前が優秀な大学に進学したら、弟がかわいそうだろうが」と言われたのです。
あまりにも理不尽な理由でしたが、父は「大学の学費は1円も出さない」と言い切りました。さらに、「失敗作は出ていけ!」とまで言われ、私は半ば家を追い出されるような形で、ひとり暮らしを始めることになったのです。
「失敗作」から大手企業へ
しかし、私は大学入試でトップの成績を収め、特待生に選ばれたことで、学費を全額免除してもらえることになりました。生活費を稼ぐためにアルバイトにも励み、「失敗作だと言った両親を見返してやる」と必死に勉強を続けます。
その結果、大学を首席で卒業し、大手企業への入社も決まりました。
社会人になって8年ほどがたったある日のこと。高校卒業以来、一度も連絡を取っていなかった父から、突然電話がかかってきたのです。電話に出ると、あれほど偉そうな態度をとっていた父が、「頼む、助けてくれ!」と必死な様子。どうやら、何か大変なことが起きたようで――。
「助けてくれ!」父がまさかの土下座
話を聞くと、弟が父の会社を継いだ途端、業績が一気に悪化。社内の雰囲気も悪くなり、優秀な人材の流出が止まらないのだそうです。
ひと通り事情を話したあと、父は「お前は姉なんだから、なんとかしなさい」と言い放ちました。そのあまりにも身勝手な言葉に、私はあきれるばかり。「私は失敗作なので無理です!」そう言い返し、そのまま電話を切りました。
それからさらに3カ月後。今度は父が突然、私の家に押しかけてきたのです。
「本当にすまないと思っている……だから、助けてくれ!」そう言って、父はなんと私の前で土下座。会社は赤字経営に陥り、借金も膨らんでいるようで、父もすっかり追い詰められていました。
「失敗作」と呼ばれた私のその後
これまで抱えてきた怒りや寂しさが一気にこみ上げてきた私は、父に「もう二度と会うつもりはない」と伝え、そのまま玄関の扉を閉めました。それから間もなく、借金の返済に充てるため、実家は売りに出されたと親戚から聞きました。
一方、私の仕事は順調です。家族に住所を知られてしまったこともあり、今度はセキュリティのしっかりしたマンションへ引っ越す予定です。
幼いころはつらい思いをたくさんしてきましたが、努力を重ね、自分の力で今の生活を手に入れることができました。どんなにつらい状況でも、自分の人生を諦めずに進み続けることで、道が開けることもあるのだと実感しています。
◇ ◇ ◇
誰かと比べて「優れている」「劣っている」と決めつけたり、まして「失敗作」などと傷つける言葉を投げかけたりすることは、決して許されることではありません。一人ひとりの個性を尊重し、自分らしく歩んでいけるよう見守っていきたいですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。