借金を抱えても浪費が直らない夫
しかし、夫は「貧乏飯はテンションが下がる」と言って、私の作った料理に文句ばかり言います。節約のために作ったお弁当も「質素な弁当は恥ずかしい。まずそうで食いたくない」とわざと家に置いていき、外食で済ませてしまう始末でした。
借金を抱えても、夫の金銭感覚は以前とまったく変わりません。コンビニで新作のスイーツを毎回買ったり、日用品も割高な有名メーカーのものにこだわったりと、「節約」という言葉は夫の頭にはないようでした。
「誰のために節約していると思っているの……」とつい愚痴をこぼすと、夫は「俺だって好きで借金したわけじゃない!」と逆ギレ。一緒に返済を頑張ろうと誓った気持ちは嘘ではありませんでしたが、あまりにも非協力的な態度に、私のストレスは限界に達しつつありました。
ある日、私は料理上手な実家の母に電話で愚痴を聞いてもらっていました。もやしや鶏むね肉ばかりの料理を「貧乏飯だ」と批判される悩みを打ち明けると、母は私たちがお金にひどく困っているのではないかと心配してくれました。
母の手料理を「貧乏飯」と批判
その数日後、ここ最近私が残業で遅くなることが多いと知った母は、いくつかの料理を作ってくれて、届けてくれたのです。私は母の料理を冷凍ストックして、翌日の夕食用に、母の得意料理の煮物と自家製のぬか漬けを冷蔵庫に入れておきました。
そして翌日、私より早く帰宅した夫から、メッセージが届きました。
「は? 今日のおかず、煮物と漬物?」
「こんな手抜きの貧乏飯なんか食いたくないんだけど」
冷蔵庫の中を見た夫は、相変わらず文句を言ってきました。私はその時、仕事の一部を持ち帰り、実家で母と一緒にお茶を飲みながらリモートワークをしていました。あきれて母に夫からのメッセージを見せると、母は眉をひそめ、「こんなこと言ってるの? あれだけ生活が苦しいって言ってたのに……」とつぶやきました。
私が思わず「え? どういうこと?」と聞き返すと、母はハッとしたように私の顔を見て「あなた、知らなかったの?」と言うのです。私がもう一度「どういうこと?」と母に聞くと、母は「……あとでちゃんと話すわ。その前に、ひとこと言わせてちょうだい」と言い、私のスマホを手に取り、夫にメッセージを送りました。
「貧乏飯で悪かったわね」
「そんなこと言うならお金返して?」
「私が作ったのよ。もう食べなくていいわ」
夫からはすぐに「え?」と戸惑うような返信が来ました。私はひとまず夫に「今日の夕食はお母さんが時間をかけて作ってくれたものよ。手抜き貧乏飯なんて言いがかりはやめて」と送りました。
母がじっくり煮込んだ煮物と、丹精を込めて手入れしているぬか床で漬けたぬか漬けは、とても手抜きとは言えないものです。慌てて取り繕うようなメッセージが夫から連投されましたが、隣にいる母の怒りは収まりません。
「こんな男とは離婚しなさい」と肩で息をしています。母がここまで激怒しているのには、単に料理を批判されたからというだけではない、別の理由があったのです。
発覚した衝撃の嘘
激怒する母から、私は初めて知る事実を聞かされました。実は、私が節約料理について相談する少し前に、夫は私に断りもなく母に連絡し、お金を貸してほしいと頼んでいたというのです。
夫は「借金の返済で生活が苦しく、妻にも無理をさせている。これ以上負担をかけたくないから、お金を貸してほしい。情けないけど親を頼ろうと妻と話し合ったが、自分の親には余裕がなかった」などと、まるで私たちふたりの総意であるように言い、母から数十万円を受け取っていたそう。
母は、お金の話はしにくいだろうと私を気遣い、あえて私には何の確認もしなかったと言います。そしてその後、私から節約料理について相談されたことで、私たちが本当に切羽詰まっているのだと思っていたのです。
たしかに家計が苦しかったのは事実ですが、私は母にお金を借りようと考えたことはありません。夫が節約に協力さえしてくれれば、決して夫婦ふたりで返せない額ではないと考えていました。それなのに……私を苦しめるだけでなく、母の親心にまでつけ込み、私に黙ってお金を受け取っていた夫を、私は許せませんでした。
帰宅すると、夫はリビングで絶望した表情でうなだれていました。母からの返信で、自分の嘘が明るみに出たと悟ったのでしょう。母から受け取ったお金はどうしたのかと夫を問い詰めると、借金の返済には充てず、自分の趣味の買い物や交際費に使ってしまったと白状しました。夫は「返すつもりだった」「少し借りるだけのつもりだった」と言い訳をして泣きついてきましたが、私はその言葉を信じることはできませんでした。
後日、義両親を交えて話し合いの場を設け、私は夫に離婚を突きつけました。義両親は息子の借金のことすら知らされておらず、私の話を聞いて言葉を失っていました。母から受け取ったお金は、義両親が夫に代わって全額返済してくれました。その後、夫が同意し、離婚が成立しました。現在、私は実家で母と料理を楽しみながら、心穏やかな毎日を送っています。
◇ ◇ ◇
家計が苦しいときこそ、夫婦で協力し合うことが大切です。ましてや、相手に黙って家族からお金を借り、そのお金を自分のために使ってしまえば、夫婦の信頼関係そのものが揺らいでしまいますよね。お金の問題は生活そのものに関わるからこそ、隠し事をせず、夫婦で現状や価値観を共有することが大切ではないでしょうか。どちらか一方に負担を押しつけず、ふたりで納得できる方法を話し合っていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※一部にAI生成画像を使用しています。